気が付くと、そこは身に覚えのない場所だった。

だが、すぐに己自身のことも思い出せず、困り果てることになった。

「ボクはいったい誰だ?」

誰もいないその場所でその疑問に答えてくれるものはいない。

 

ズキッ

 

突然痛む頭。浮かんだ知らない相手のぼんやりした姿と言葉。

『…あの世界を見たい。』

『……を、……う。もう一度、……いい。』

 

ボクは、誰かに何かを望んだ。その望みの結果、今ここにいる。

けれど、ボクはその望みもボク自身のことも忘れてしまっている。

「困ったな。」

本当に困った。望みがわからなければ、頼んだ意味がない。

とにかくボクはここから離れ、誰か人がいる場所を目指した。

 

北へ

南へ

東へ