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「ん?」 そこに、なぜかこんなにも晴れているのに雨傘をさして歩いている少女がいた。 「琴詠…お客さん?」 「ああ。ある意味そうだな。迷子らしい。これから主様に逢うつもりだ。」 「そう。…その子が望むなら、それでもいい。」 じっとしばらくボクを見ていた彼女はそう言ってどこかに歩いて行った。 「あの子…。」 「あまり気にするな。」 「えっと…。」 「俺にはわからない見えない世界があいつにはある。それでお前に何かを感じたとしても、お前の好きにしたらいい。」 そう言って再び歩き出した。 そんなボクの背中を見つめる視線が合ったことに気づかなかった。 『死者が紛れ込むなんて珍しい。』 『でも、永くはもたないよ。』 『うん、そうだ。』 『だって、仮初の器じゃ、壊れるのはすぐだもの。』 小さなささやき声。それは誰のものか。それとも、ここには最初から存在しなかったのか。 |