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「…他人に理解してもらうつもりもないし、どうでもいいこと。私がただ、人間ではなく、精霊で、氷を司る冷たい世界の住人であるってだけ。」 だから、冷たいのは当たり前のことだと冷たく言い返される。先程までとはっきりと変わった、突き放すような言い方。 「まぁ、害がないのなら好きにしたらいいわ。けれど、私の近くにいられることは不愉快だわ。」 そう言って、女はこの先に道があるからさっさと出て行けと言った。 急に変わった態度に少し傷つきはしたが、きっとボクの言ったことが悪かったのだろう。 今もわからない。精霊というものが何なのか。けれど、人間ではないけれど人間と同じ心があるものなのだということだけはわかった。だから、ボクが先に彼女を傷つけたから嫌われたのだと思うことにした。 その後あてもなくぶらぶらと歩いていた。 どれだけ歩いただろうか。かなり先程のところから遠いところへきたのかもしれないし、あまり進んでいないのかもしれない。 けれど、何もないボクにとっては楽しい時間だった。 思ったより、知らない周りの景色はボクを楽しませてくれた。 ふと、前方にうずくまる人がいた。 ボクはどうしたんだろうと声をかけようと近づいた。 すると、それはボクが知っている人とは違っていた。 まさしく化け物というやつだ。 あわててひっくり返って、ボクは転んだ。襲い掛かってくる奴にさすがにボクはもうだめだと思った。 死にたくない。そう思ったけど、もう死ぬとも思った。 |