最初は、彼女を亡くしたままで、凛々と二人きりの静かな館だった。

今では賑やかで、明るく温かみのある場所へとなった。

それは、自分と凛々だけでは決してできなかっただろう。

「あ、主さん。」

「シャルテ、それは?」

「ああ、これはですね。」

目についた先にいたのはシャルテ。珍しい植物を手にして歩いていた。

「人の言葉を食べて残すんですよ。」

食べてというのは少々表現としてはわかりずらいが、つまりは口にした言葉を記憶する植物で、その試作品だという。

伝言用とかにできないかと、実験でできた試作品を今から依頼者であるホーレインに私に行くのだという。

「確かに、不在の際でも伝達できる手段というのは、大事だな。」

「でしょう?なかなかの傑作だから、実装も近いですよ、主さん。」

そう言って、楽しそうに廊下を進んでいったシャルテを見送り、自分もまたあてもなく館内を進んだ。

少し進むと、今度は翔世がこちらへ歩いてきた。

「あ、丁度良かったです。」

そう言って、話しかけてきた彼。聞くと、今度の季節のイベントの際に出す食事や飾りの件で報告に来たのだという。

「いつみても、おいしそうだし、楽しそうだな。」

「ありがとうございます。」

誰かと月折々の変化を楽しむことも、騒ぐこともしなかった連中の集まりだ。

だからこそ、反対に盛大に誰もが楽しんで率先してよくなるように行動する。

本当に、いい縁に巡り合えたと思う。

 

 

ふと空を見上げる

→腰を掛ける