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これからも、ずっと一緒。 それが当たり前だと思っていた。 初めてであったあの日から、今日この日まで、疑いなど持つ事を知らなかった。 現実ってどうしてこう、上手くいかないのだろうか。 ずっと一緒にいたいなんて、簡単な事なのに、なぜ叶わないんだろうか。 初めてあったあの日、とてもひかれるものがあった。 よく、両親が言っていた。運命の輪が導き出す道の事を・・・。 運命の輪は、自分にとっての一番いい未来へと導いてくれる物だと言う。 そして、今、お母さん、お父さん。出会えたのは運命の輪のおかげだと言う。 私が彼と出会ったのは運命の輪が導いて、出会いを作ってくれたの? この出会い、私はとても感謝している。 だけど、こんな事になるという事が始めから決まっていた運命なんていらない。 運命の輪は確かに私と彼を出会わせてくれた。 だけど、こんなのってない。あまりにも酷すぎる。
こんなことなら、言っておけばよかった。 まだ、「好き」だって言っていないんだよ?最近やっと気付いたんだよ? どうして、どうしてなのさ。言わせてくれないの・・・?
外では輝く太陽が真上に昇っていた。 「カルステ・・・。一向に目が覚めないわね。」 ちょうど、昼食の時間になった為、ミルフィアを部屋から連れ出して食堂に集まった一同。 「あと、どれだけ持つかわかるか、シュネルア。」 「そんなんはわからん。だが、時間がないんは事実や。」 暗く思い雰囲気だ。誰もが、ミルフィアの暗い顔をさせない為に気を配るが、今までこんな経験は無かった為、戸惑う。 そもそも、ガーディアンと言うのは国を守るそれぞれの術者の事だった。今では人間であるが、その半分は四獣の力を持っている者。国を守る事は、民や自然や全ての生命を幸せに導く為に守る者。 そのガーディアンが、今目の前にいるたった一人の少女の笑顔を取り戻す事が出来ない。
『 いったい、何の為にいるんだろうか・・・。 』
三人ともその言葉が頭の中でぐるぐる回っていた。 暗い顔のミルフィアにガーディアン三人。そんな四人を見ていてだんだんといらいらしてくるナオ。 「おい、そんな事してたって何にもならないだろ!今出来る事が何なのか考えろよ。」 と、怒鳴った。静かな食堂で彼の声は廊下まで響いていた。 「今がそんなのでどうするんだよ。カルステが起きないのは何か原因があるんだろ?なら起きれるようにしてやればいいだろ。お前等と一緒であいつもきっと苦しんでいるんだよ!」 うるさいほどのネアルドが静かだと落ち着かない。それにまた、弟を失ってしまうような気がしてならない彼だからこそ言う言葉。しかし、その一言で目が覚めたような四人。 「確かに、そうですね・・・。なってしまった物は確かにどうしようもありません。」 「わかった。ミルフィア、何か覚えが無い?カルステがこんな事になった事は無い?」 考える。その問いに一生懸命考えた。覚えている記憶を思い出しながら。 その時、ミルフィアの腕の中で眠っていたルウが急に目を覚ました。 「キュ・・・。」 と、言った後、ルウは突如変身をした。 耳・尻尾・羽は付いたままだが人型妖精のようになっている。皆驚いていた。 「ミルフィア、・・・カルステが危ない・・・。」 変身しただけでも驚いているのだが、なんとしゃべった。 「どういう事?ルウ、何かわかるの?」 「あいつが・・・。あいつがまた現れた。」 と言うのだ。それも、かなり切羽詰ったような言葉で。 「・・・カルロ・・ですか・・。また現れたとなると彼ぐらいでしょう。」 それを聞いた誰もが納得した。カルロならばありえる。
慌ててカルステが眠っている部屋に行ってみたが、遅かった。 そこには、すでに蛻の空だった。 ナオとマオは神殿に残りルウの面倒を見る事になり、ミルフィアとガーディアンの三人はまだ続く山の奥へと足を踏み込み、闇の入り口を目指していた。 「大丈夫よ、カルステは指定された条件が満たされるまでは殺されない。」 指定された条件とは、あの部屋に残された紙に書かれたカルロからの手紙。 や、また会ったね。しかも、今日は彼は寝てて起きないね。珍しい。 さて、俺様はこいつとあんたが持っているブレスレットがほしいわけ。 だから、交換だよ。この山の奥にある『 闇の入り口 』で待ってるよ。 時間は太陽が沈むまでね。沈んだら、もうこいつと会えなくなっちゃうかもね。 じゃ、そろそろばいばいだよ。 と、書かれていたのだ。 だいぶ歩いた。日はかなり傾いている。急がないといけない。 「あまり使いたくは無いですが、今は仕方がありません。」 と、ネアルドは風の呪文を使って移動する事にした。そして、十分もしないうちに闇の入り口と呼ばれる洞窟の入り口についた。中は名前の通り、闇のようだった。 「さ、行くわよ。覚悟はいいわね、ミルフィア。」 覚悟、それはティアラであるこのブレスレットを渡す事。 「大丈夫。それに、アクマルスがついてるし、ネアルドもシュネルアもね。」 と、笑顔で言う。今は朝や昼に見た彼女の顔ではなかった。少し表情が戻りつつあった。
シュネルアの魔法の火空球で足元は見える。 「結構長いみたいやな。しっかし、いつ来てもここはけったいな所やな。」 「大体どの辺りだと思う?」 「たぶん、この先に有る大きい空間の場所や思う。あそこにはな、その先進もう表もずっと水が溜まっとるさかい、そこまで奥はいかんやろ。」 その目的の場所はもうすぐだと言う。 歩いているうちに、確かに少し広い場所についた。 「キャ、な、何?」 と、急にその場所に足を踏み込んだとたん光がついた。 「や、ようこそ。俺様の宴へ。」 と、前にはカルロが立っていた。後ろにはカルステがいる。しっかりと、魔法で動けないようにしてある。 「さ、約束通り、渡してくれる?」 と、右手を前に差し出す。ミルフィアはブレスレットを手に握りながら大きく息を吸った。そして、投げつけて渡した。 「おっと、乱暴だね。」 と言って、空中で受け止めた。そして、ミルフィアが投げつけたブレスレットを見つめている。 「どうやら、ちゃんと本物のようだね。でも、すごいね。」 と言って、左腕を前にまっすぐ伸ばして呪文を唱えた。 「 レイス 」 いきなり、黒い矢が四人を襲う。 「ちょ、ちょっと!何するのよ、カルステを早く返してよ!」 と、アクマルスの結界でなんとかなっているミルフィアが叫ぶ。 「何?だって、時間は過ぎてるよ・・・?」 その言葉が耳に入り通過した。時間が過ぎている?ならさっき渡したのはなんだったのだろうか。カルステはもう戻ってこないのか・・・。 「ちょ、ミルフィア!自分を見失わないで、まっすぐ前を見て。カルステに伝えるって決めたんじゃないの?」 と、必死で叫ぶアクマルス。その声はミルフィアの耳に届いたようだ。 「カル・・・。」 と、眼から涙をながす。この洞窟にいるから余計になのか、二度と会えないような闇に囚われる気がした。 「しっかりして、今やらないといけない事がなんなのか、あなたが一番わかっているでしょ?」 ミルフィアは小さくうなずく。今はカルロをどうにかしてカルステを起こして連れて帰る。 「あはは、抵抗なんて無駄だよ!だって、ここは君たちガーディアンは力を制限されて俺様は増えるんだからさ。」 と、攻撃を止めない。カルロが言っているのは事実だ。この闇の入り口と呼ばれる洞窟は光の世界。つまり、守護する国である地上と違って、ハデアが封印されている闇の世界。よって、地下の世界の方が有利なのだ。 「え、アクマルス!駄目じゃない、自分を守らないと。」 と、カルロの言葉で気付いたミルフィア。今自分をかばっているアクマルスだって今の状況ではしんどいだけではすまない。 「私はいいから!人が傷つくのもいなくなるのも見たくない!」 と、その場で泣き出した。昔両親が急にいなくなってしまったように、アクマルスもネアルドもシュネルアもそしてカルステも、大事な人がいなくなるなんて嫌だ。 そう泣いていると、アクマルスがバカと言って続けて言う。 「人はいつかは死ぬんだよ。だけどな、希望や望みがあるから生きていけるんだよ!誰だって死を恐れない奴なんかいないさ。そいつは怖いと言う感情を無くしているんだ。いいか、今泣いてたってしょうがないんだよ。あんたはカルステを助けるって決めたんだろ?なら、助けなさいよ!何回もいうけどね、今のあんたがするべきことがなんなのか、考えなさいよ。」 いつものようにけんかごしだ。だが、それがうれしかった。なんだか、その方が彼女らしいからかもしれない。 「そうだよね・・・。私はカルを助けるんだもん。アクマルスも大事だもん。皆助けるもん。」 と、涙を拭いた。今日は、何回もアクマルスに涙を見せて励まされた。なんだか、お姉さん・・・いや、お母さんのように思えた。さっきのあの表情がとても似ていた。 「絶対にカルを連れて帰る!そして、あいつを倒す。」
この闇の中、カルステはずっと夢を見ている。遠い昔の自分・・・。 「真っ暗・・・か・・・・・。」 辺りは光などまったくない闇が広がっていた。しかも、どこまで続いているのかも、ここがどこなのかもわからない。 「僕はいったいどうしてここにいるんだ・・・?」 思い出そうにも思い出せない。思い出せるのは名前だけ。だが、それには少し違和感があった。前にもこんな事があった? 今まで何があったのかも覚えていない。自分が何者なのかもわからない。ただわかるのは、カルステアと言う名前だけ。 「僕は・・・カルステア・・・?」 少し歩いてみる。だが、いつまでたっても出口らしい物は見当たらない。いつまでたっても暗い闇が広がっているだけだ。 だが、急にどこからか声が聞こえてきた。 『 カルステ・・・。 』 声はそう言う。どこかで聞いた事の有る声だった。だが、自分はカルステア。カルステではない。 『 カルステ、思い出すんだ・・・。君はカルステアじゃない。間違えるな、カルステアは僕の名前だ。君はカルステ。僕の生まれ変わりのクラウンの主。 』 いったい何の事だろうか。何も思い出せないしわからない。自分はカルステ?カルステアではないのか・・・。 『 ほら、君には過去が消えている。だが、今は過去にこだわるより先を見ろ。クライスマスターはティアラとクラウンの主二人で成り立つ者。お前がそうではもう一人が可愛そうだろう?ずっとお前が目を覚ますのを待っている。 』 「何の事だ、僕は何も知らないしわからない。過去ってなんだ、先ってなんだ。それに、クライスマスターってなんなんだよっ!」 と、声に訴える。この声には聞き覚えあるから、知っているはずだ。自分が誰なのかも、それと何もかも。 『 僕が答える事ではない。ほら、思い出すんだ。君はカルステ。過去はいらない。先を見ろ。お前の帰りを待っている子がいるだろう? 』 と言われる。何の事だ・・・?だが、その疑問を尋ねる前に声の主の気配は消えていた。
必死でミルフィアをかばっているアクマルス。 「ミル・・フィア・・・。カルステを、起こしなさい。今、側にテレポートさせるから・・・。」 と言って、一瞬でカルロの後ろに移動し、カルステの側に立っていた。今は驚いているひまは無い。 「カル、カル!」
闇の中をさまよっているカルステ。どこからか声がした。それはさっきの声とは違っていた。 「・・ル、カル!ねぇ、カルってば!」 さっきと声が違うが、この声の主は知っている。誰だっただろうか。 「カル、お願い、一人にしないで・・・。」 やはり、聞き覚えがある。だが、なぜ思い出せない。 「カル―――――――。」 あまり見たくはない彼女の泣き顔。それといつも真っ直ぐな彼女の声。 |