この思い、永遠に叶う事はないだろう。

 


   私は、自由を持つな事が許されない身。

   一生を主に捧げ、祈り続ける者・・・。

 


   叶わないと思っていた。



   自由に動けるという、あんな気持ちは今まで知らなかった。

   知らない方が良かったのかもしれない。自由とあの人が恋しい。

   あの人に出会って、自由の幸せを知り、外へ出たいと思った。




自由を知ってしまったあの日から、もう後戻りはできない。意思を持ってしまった。

   運命の輪は私の中で逆の方に回り始めた。もう、ここにはいられない。

   私は主にそむき、命令に従えない裏切り者なのだから・・・。

   だけど、忘れないで下さい。私は本当に主様の事が大切だったと言う事を・・・。

   これが、私の最後の望みでわがままです。どうか、お許し下さい・・・。

 


   私は心から誓います。主はあなただけ。これからも、この先も、この身が滅びようとも。

   主様の幸せをお祈りいたします。

 


   それでは、さようなら・・・。


 




     ティアラ×クラウン×ガーディアン
          朱紅の翼−叶わぬ願い









 今日は、昨日と違ってパラパラと雨が降っている。雨宿りをしている変なメンバー達は雨が降り出す前にちょうどこの宿舎についたのだった。

「なんで雨って急に降ってくるんだろうねぇ。」

と、雨に文句を言っている。アクマルスはしょうがないわよ。と言ってお風呂に行って来るといって部屋を出た。相変わらず自分のペースの人達だ。

「じゃ、私もお風呂に行って来ようかな。」

と言って用意をしてアクマルスの後を追った。残った男四人。シーンと静まり返っている。

 部屋の端で本を読んでいたカルステ。彼に近づいた人影があった。その影は背後に回り、何読んでるの?と聞いてきた。ちょうど肩に両手を乗せてのしかかっている状態だ。

「何を読んでいようと僕の勝手じゃないですか。それより、のいてください。重いです・・・。」

と言って、のいてもらおうとしたが、彼はのかなかった。その人とは、ネアルドだった。それにむっとなったナオは近づいてきて、カルステを自分の方へ引っ張る。

「べたべたとくっつかないで下さい。」

ナオはカルステが弟のように思えて気に入っている。それをこんなわけのわかんない奴に任せてられるか。という感じだ。

ネアルドはというと、ガーディアンになってからティアラとクラウンの主とは仲良くしたいと思っていたし、何より、二人の反応が楽しいのだ。

しかし、カルステはあまり話をしてくれないので寂しい。だから、こうすると、彼は困るのでそれをみて楽しむ。しかも、ナオがいるので、なおさら楽しい。

彼がカルステの事を弟みたいに大事にしているって事はわかっているからだ。

「暑苦しいです、離れてください・・・。」

と、少し声を低くして言うカルステ。だが、一向に離れる気配はなかった。

 だんだんと、ここにいるのが嫌になったカルステは立ち上がって部屋を出る。

「どこへ行くんだい?」

「どこでもいいでしょう。」

と、言って部屋を出た。その後、部屋の中では言い合いが起こっていた。だが、知らない不利をしておく。

「カルステが怒ったじゃないか。」

「何を言うのさ?僕はただ単に仲良くしているだけですよ。」

「黙れ!お前は自分の国に帰れ!」

と、言い合いをしている。それをマオは止めようとしない。しても無駄だと言う事がわかっているからだ。

ここへ来る前にも何回もあったので経験済みと言う奴だ。

 




 その頃、部屋を出て外をぶらりとあるいているカルステ。雨は小降りだがまだ降っている。これぐらいならば、すぐに風呂に入るので少々は問題ない。

ただ、あの二人と一緒は嫌だ。それはゆっくりできないからだ。

「こんなので、本当に大丈夫なのだろうか・・・。」

と、悩むカルステ。きっと、こんな事を思っているのは自分だけだろうと思っている。

あきらかにあの五人はそんな事は気にしていない。自分が優先と言う人間ばかりだからだ。

 そう考えながら、ぼんやりと少し雨で霧がかかったようになっている森の道を歩いていた。

「あ・・・。え?」

と、前方に何かを発見した。あれは見るからに人だろう。明らかに人だ。あんな所で倒れている。

「ったく・・・。」

と、慌てて駆け寄ってさすって起こそうとする。

「すいません、ちょっと・・・。ここでどうしたのですか。風邪を引きますよ。」

だが、反応がない。宿舎へ連れて行こうと思っても運んでは結構距離が有る。

「しょうがない・・・・。」

と言って、腕をまっすぐに前に伸ばして少し小声目に言う。

「 チェンジオーバー・クライス 」

その後すぐに、風と言ってその場所の空気の流れを綺麗に整えてその場所だけ雨が降らないようにして、服を乾かした。

 しばらく、このままになりそうだ・・・。

 




 その頃、お風呂で楽しく?お話をしているミルフィアとアクマルス。

「ねぇ、一つ聞きたかったんだけどさ。」

と、言われる。彼女にしては珍しいと思うミルフィアは素直に何?と答えた。

「カルステの事好きなの?」

いきなりこんな事を言われた。

今までそんな事は考えた事がなかったミルフィアだが、聞かれれば急に顔を真っ赤にして、そんな事はないと思うと答えた。

ふうん、とか言いながら好きなんだ〜と言うような感じの顔でミルフィアを見る。

「そう言うアクマルスだってネアルドが好きなんじゃないの?」

と、言ってみる。だが、あんなのはうっとうおしいだけよ。ときっぱりと答えた。彼がここにいて聞いたらきっと悲しむだろう。

そうやって、話をそらしてみたが、やはり元に戻った。

「結構長い付き合いなんでしょ?どこまでいってるのよ?」

と、興味があるのか、聞いてくる。いつもならけんかごしでしか話をしない彼女が普通に話し掛ける。絶対におかしい。

「別に、そんなには長くないよ・・・。第一に、私はカルステの事全然知らないもの。」

と言う。それは何で?と聞くがその先は答えようとしない。その表情を見て、あまり聞いてはいけないと判断して立ち上がって先にあがるわと言って、出て行った。

「だって、カルってばあんまり自分の事話してくれないんだもん・・・。」

今はもういない彼女に向かって小さな声で言った。

「確かに、私はカルの事が好きだよ。でも、家族として好きなだけだもん。それに、私は全然カルの事、知らないもん。」

と、少し泣きそうになりながらつぶやいていた。

その思いが、まだ小さな恋心だとは気付かずにいた。

 




 その話に出てくるカルステはと言うと、倒れた人の側で座っていた。魔法で雨をよけて、優しい風を運んでいい環境を保っている。すると、その人は目を覚ましたようだ。

「あ、ここは・・・。あ、えっと・・・。」

と、カルステに気付き少しおどおどとしているこの人。

「僕はカルステ。あなたがここで倒れていたから気になっていただけ・・・。」

「そうですか、ありがとうございます。わざわざ魔法をも使って下さって・・・。大変ご迷惑をおかけ致しました。」

と、その人は礼儀正しく礼をして言う。

「私目は、メルビア・アーレックと申します。」

と、自己紹介をした。それはどうもとだけ返して立ち上がった。

「じゃ僕はこれで。」

と言って、立ち去ろうとしたが、思いっきり腕をつかまれて止められた。そして、どうしてもお礼がしたいと言い出したのだ。カルステははぁ。とため息をついた。

「じゃ、朱赤鳥がいる方向ってあっちでいいんですよね?」

と、質問をした。すると、その人は一瞬動きが止まった。だが、すぐ元に戻った。だが、顔は作り笑いになっていた。

「そう、あっちでいいのよ・・・。あと、彼に会うなら、これを渡してくれる。」

と首からペンダントをはずし、手渡した。綺麗なクロスのペンダントだった。

「わかりました。では僕はこれで・・・。」

と、今度こそその場を立ち去った。その姿を見つめながらその人は小さくつぶやいていた。

「シュネルア様・・・。裏切り者の私目をお許し下さい。アレン様がお亡くなりになったのも、自由を手に入れた私目の試練なのですね・・・。」

と、その場に崩れる。そして、泣き出した。

「この五十年、とても長うございました。人であるアレン様を愛した私目への試練です。シュネルア様、裏切り者と言われようとも、生命が尽きるまで、そして、尽きてもなお、祈ります・・・。」

 女の懺悔のような言葉がその場所で繰り返された。

だが、それを聞くものは誰もいなかった。ただ、祈りを聞く神だけ・・・。

 




 帰ってきたカルステ。部屋に入るなり、両腕をつかんまれて部屋から連れ出された。

「さー、お風呂に行くよ、カルステ。」

「雨に濡れてたら体に悪い。」

帰ってきていきなりまっすぐ風呂場まで連れて行かれた。その後を、しっかりとマオが着いて行く。

「行ってらっしゃい。」

と、ミルフィアは四人を見送った。横にいるアクマルスはにたにた笑いながら声に出さず口がこう言う。

『 さっさと好きっていっちゃいな。早くしないとあの二人に先を越されるわよ。 』

と言っている。大きなお世話だ。しかも、あの二人はカルの事をそんな風に思っていない。自分を妹みたいに思うのと一緒で弟と思っているだけだ。

 

 こうして、長い宿舎の一夜が明けた。夜中、今日もカルステはゆっくりと寝れなかった。

 


 


 地図だと、この辺りで街が見えるはず。だが、それらしい物は見当たらない。

「道間違えたんじゃないの?」

「そんな事ないわよ。私に限ってそんなことはしないわ。」

「ならどうして見えるはずの街がないのよ。」

「それは・・・。」

どうやら、迷ったらしい。カルステはまたため息が出た。

こんなんで本当にいいのだろうか。この旅が始まって何回もそう思った。どうしたらこんな思いが消えるのだろうか。

だが、旅が終わるまでこの思いは消える事はないだろう。

 誰もがどうしようかと考えていた時、

「大丈夫だ。近道がある。」

と、ナオが言う。そう、この人は何度もシュネルアと会っている。行き道ぐらいわかっているはずだ。

「マオ、いいよな。」

「わかりました。」

と言う。すると、ナオとマオに妖精が集まってきた。そして、それぞれの隣に人型の妖精が一人ずつ立っていた。

「妖精を使って飛んでいくぞ。道は俺が案内する。」

と、言う。四人はこの獣型の妖精に乗ってついて来いと言っている。

「さ、行くぞ。」

「頭、今日は天候的には問題ありません。」

こうして、六人は妖精に連れられて空の旅をする事となった。

 このまままっすぐ、シュネルアの神殿へつくことができた。だが、やはり事は簡単には進まない。

 ついたそうそう、問題が発生したのだ。

 




 やっとついた六人。

「結構距離があったねぇ。」

と、お疲れ気味の様子。

「さて、勝手に入らせてもらいますか。」

と、ネアルドが言い、アクマルスもそうね。と言っていきなり扉を開けた。普通は、来た事ぐらい告げて許可を得て入るだろう。やはり、同じガーディアンと言う事で、問題ないのだろうか?

 外でつったっている四人に早くと告げて扉の中に押し込んだ。

 




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