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たった一枚の手紙に込められた思い それをしっかりと相手に届けるのが仕事 ありがとうという言葉をいわれるのがうれしい仕事 誇りであって、自分の存在理由
それが、届け人。別名、配達人
そして、誰もが配達人となって目指すもの。
――――――― イージュリカ
初代、配達人として、誰もが愛し、そして彼が届けに来てくれることを待った
現在、イージュリカの意志を告ぎ、目指す者達がいる
イージュリカ 〜 配達人の日々
ここは、一件の小さな配達屋。 小さくても、毎日忙しく届ける為に飛び回る。
ガタガタガタと、階段を駆け下りる音が響いてくる。 「すみません、遅れました!」 ガチャっと、勢いよく開けて入ってきたのは配達員の一人、キャリーシャ・ドットリカ。 いかにも急いでとんできましたと言わんばかりに髪や制服は乱れている。 「まだ、時間は大丈夫だけど・・・。時計、止まっていなかったかい?」 奥ではここを総支配している長のミルディアド・ガーネットがやってきたキャリーシャを見て少々目をぱちくりとしながら質問してきた。 キャリーシャはあれっと、背後の壁に掛けられている時計を見て、またあれっと思う。 まだ、集合時間より二十分もあったのだ。 「どうやら、時計が止まっていたみたいだね。今日部屋に戻ったときに直しておくといいよ。」 そういって、飲んでいたカップの中身がなくなったのか、立ち上がって流しに出しに行く。 「まったく、何賑やかなことやってるんだよ?」 背後から同じ仕事仲間の一人、リアルド・ガーディアサンドが右手に自分のカップを、左手にキャリーシャの分のカップを持って現れた。 「ほら、これ飲んで落ち着けよ?仕事でドジを踏まないようにな。」 そういって、カップを手渡して、仕事開始時間までに書類の整理でもするかと、自分の席で何やらやりだした。 「ちょ、仕事でドジは踏まないよ!」 やっと我に返っていったが、はいはいと生返事しか返ってこない。 キャリーシャはもうとむくれながら、彼女も自分の席についた。 今日も、仕事が始まる。
朝の八時半。仕事開始時間。 「今日はリーシャは海岸方面の町、リドは砂漠方面だ。 「わかりました。海岸方面だと、ガンダラードとヴィルディアンあたりですね。」 「・・・あの二人に会ってこいというわけですか・・・?」 キャリーシャは久しぶりに海が見られるとうれしそうだが、リアルドは出来れば会いたくない二人組に会うことが配達の他に仕事として入り、かなり嫌そうだ。 会いたくない二人組とは、それなりに知られている客を選ぶ何でも屋。 「そう言わずにさ。大丈夫、何も手を出さないはずだから。」 それが意味する事はからかわれても命を脅かされる事はないということ。 リアルドにとっては、からかわれる事を避けたいところだが、今回も無理のようだ。 「ま、頑張っていってきてくれたまえ。 そういって、ミルディアドはリアルドから視線をもう一人、二人の先輩だが、年下のように見える彼、ラーティンス・ベルリーラの方にかえ、彼には別の仕事を頼んだ。 「実は、アガヤラに住んでいる飛行獣族長の娘が行方知れずになって捜してきてほしいようだ。」 「わかりました。でも、なんだか、仕事に関係あるか微妙なところですね。」 「いや、ちゃんとした仕事だよ。彼のもとへ、娘さんを届けるのだから。」 ここは思いを届ける配達屋だろう?といわれて、そうですねといって、すぐに行きますと、出て行く。 ミルディアドはいってらっしゃいといって、席に腰掛ける。 そして、少し冷めた珈琲を口に運んだ。
玄関前では、仕事の相棒達がそろって、キャリーシャ達を待っていた。 キャリーシャの相棒は竜族の長の息子のアーシャニア・ダーニルド・バーリア。 リアルドの相棒は翼を持つ獅子のガーゴルド族の長のチャチェリア・バーニルド・ダーリア。 ラーティンスの相棒は異端小竜と言われたエルシャンド・オートマス。 皆、この配達屋の仲間だ。種族が違うが、この仕事にかける思いは半端なものではない。 「じゃ、行ってきます。」 ラーティンスはエルシャンドを抱きかかえて、靴についている翼を使って飛び上がり、姿を消した。 リアルドも靴に翼があるが、いまいち使いこなせないので、緊急事態や落下の際に身を守る為に使う程度だ。 「相変わらず人離れしている移動の仕方だよね。」 「そうだな・・・。俺としては、ラースにそれを教えたミルドの方が人離れしていると思うけどな。」 「それもそうか。ミルドはいっぱいおかしな術とか使うもんね。」 今頃、ミルディアドは納得してふと、くしゃみをしているだろうなと思いながら、アーシャニアの背に手をかける。 「じゃ、私も行ってくるよ。あとでね。」 そういって、ひょいっと背にまたがる。 リアルドもチャチェリアの背にひょいっとまたがり、二人とも空高く飛んでいった。 配達屋での一日は長い。まだ、始まったばかり。
「距離問題なし。風力、天候共に問題なし。目指すは教会。降りるよ、アーニア。」 「御意のままに。しっかりつかまっておれ。落ちるでないぞ。」 「誰に言ってるの?今の私は昔ほどへましないわよ?」 そんなことを言いながら、二人は目標地点である教会へと降下していく。 今日の仕事場の一つ目、ガンダラードについた。 「今日も安全飛行ありがとうね、アーニア。」 「礼はよい。すぐに仕事を始めるぞ。」 「わかってるよ。」 そういって、キャリーシャは今日の配達先リストを確認する。 「えっと、ダージャさんにレオルドさんにエスターニャさんに・・・。」 一人一人名前を挙げて、アーシャニアにも記憶させる。彼は賢いのでこれぐらいは聞けばすぐに覚えられるのだ。 「覚えた?」 「ああ、覚えたぞ。すぐに行くか?」 「すぐに行かないと、次の町に行けないからね。」 そういって、キャリーシャは再びアーシャニアの背にまたがり、一件目のダージャの家に行くように指示を出す。 「御意のままに。落ちる出ないぞ。」 「わかってるってば。まったく、心配性だなぁ。」 「そういいながら、過去にいったい何度落ちた事かな・・・。」 まったく困ったものだといいながら、アーシャニアは背中の翼を広げ、教会から飛び立つ。 「私にいつもいうけど、アーニアも気をつけてよね。」 「何がだ。」 「この前、謝って木と衝突して、そこの番人さんに怒られたでしょ?木を傷つけたって。」 「・・・それは言うな。」 どうやら、思い出したくもない過去らしい。彼自身、そんな失敗をするとは思っても見なかったのだ。 「だからあの日、体調が悪いなら飛ぶのはやめようっていったのにさ。」 「・・・だが、それでは・・・。」 「大丈夫だって。近場で仕事するからさ。」 そういわれても、アーシャニアは仕事を休む気にはなれなかった。 「・・・私はリーシャの相棒だ。体調が悪くとも、任は果たす。」 「だから、それが良くないんだって。」 「・・・それでは、私はリーシャと対等にはなれぬ。」 哀しそうな眼でいうアーシャニア。キャリーシャは何いってるんだかと呆れながら言う。 「何馬鹿な事をいっているのかな?それでも偉い第二階級の竜だったんですか?」 挑発してやると、私は馬鹿なことはいっていないと強く答える。 「だったら、わかってよね。 「・・・止める・・・だろうな・・・。」 「それと同じ事。 一つ一つにこめられた思いを届けるのが自分達の仕事なのだから。 「・・・そうだな。では、リーシャの言葉に甘え、休むとしよう。」 「そうそう。復活したらびしばし働いてもらうからね。」 「御意のままに・・・。」 もう、すぐ近くに一件目の家が見えてきた。 「まずは一件目。降下して。」 「御意。」 降り立った二人は手紙を相手に私、再び次の家へと飛び立った。
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