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「おいこら、ちょっと待て。」 「どうした?何か問題でもあったか、リド。」 「問題があったかじゃ・・・うわ?!・・・ないだろ!」 リアルドは相棒のチャチェリアの頭をコツンと叩いてしかる。 今現在、二人は・・・いや、チャチェリアは好きなように高速スピードで空を仕事場まで飛んでいる。 安全にいきたいリアルドにとっては困る行為。 「お前が早いのはよくわかったから、スピード落とせ!」 「早いのがわかったなら、付き合ってくれてもいいじゃんか。ケチ。」 そういって、急にブレーキをかける。 自然と、リアルドの体はその勢いに逆らえず、チャチェリアの背中から落ちる。 「うわ?!っと、だからいっただろ!」 そういって、靴に付けられている翼をなんとか使って落ちずにすんだリアルドは空中をずかずかと歩き、チャチェリカのもとへと突き進む。 「危ないから、もしこの手紙とかを何処かに落としたらどうするつもりだ。」 それを聞いて、ごめんと、しゅんっと首をたらす。 そうやって、すぐに反省して誤るのはいいが、何度いってもなかなか聞かない。 「ま、いいけどね。今のは、俺とお前との散歩のときだけにしとくんだぞ。」 「わかってるよ。じゃ、時間が押してる事だし、行こうか。」 「安全に・・・な・・・。」 「わかってるさ。仕事に関しては私も誇りを持っているからな。」 そういって、今度は安全なスピードで空を飛んだ。 落ち合う約束の休憩所までやってきたリアルドは少々不機嫌な顔を見せながら、相手のもとへと向かった。 「来た、みたいだね。」 迎えてくれたのは、できれば会いたくない、そして関わりたくない男、シャルド・ヴィリーブ。 「それで、荷物を預かりに来たんですけど・・・。」 荷物は何処にあるんですかという前に、お茶でも飲みたまえとカップにそそいで目の前に出された。 「・・・ありがとうございます。」 好意はいちよう受け取っておく。拒否しても、何かしら理由を付けて飲ませるだろうから。 「まぁ、急ぐ事はない。・・・それで、あいつは元気か?」 「そうですね、相変わらずですよ。貴方も相変わらずなようですけど、変わったことは何かあったんですか?」 「そりゃぁもちろんな。面白い事がたくさんあったぞ。」 そういって、にやりと笑みを浮かべるシャルド。 「まぁ、あれだ。あいつにくれぐれも、ドジ踏んで死ぬなよといっておけ。」 クククと妖しげに笑いながら、シャルドはリアルドに小さな包みを渡した。 「それが、あいつに頼まれていた品だ。持っていけ。」 そういって、立ち上がったシャルド。出て行く際に、ポツリとうれしくない一言をくれた。 「・・・どんな反応が見れるか、楽しみだな・・・。」 ちらりとリアルドの方を振り返り、目でカップだと知らせる。 リアルドはすぐに彼が言おうとしている事が理解できた。 理解できたからこそ、カップを落として、残っていた中身をこぼしてしまった。 シャルドはこのお茶に何か混ぜたのだった。 動かなくなったリアルドを見て、ため息をついてなまえを呼んだ。 「リド、リドってば。もう、いい加減戻ってこいよ。仕事、終わらないぜ?」 「・・・あ、チェリ・・・か・・・。」 やっと視線があった。 「・・・なぁ、俺、もうやめたらだめかなぁ?」 「何いってるんだよ。まだまだこれからだろ? 「だって、だって〜。」 かなり弱気のリアルド。
急に青々しく茂る森の上空がゆがんだ。 「ふぅ、到着っと。」 そのゆがんだ空間から姿を現したのは小柄な少年だった。 「あれ、エル?」 ふと、相棒がいないことに気付いてまわりを探す。 「ちょっと、何するの〜。」 怒りながら下からひょいっと姿を見せた。 「あ、もしかして、やっちゃった?」 「そうよ。また、ラースに踏みつけられたの〜。」 ばかばかと小さな手でラーティンスの頭をぽかぽかとたたく。 「ごめんってば〜。」 そういいながら、手で払いのける。 背中に翼が生えたように、自由に飛び回る事ができる。 エルシャンドにとってみれば、それがなんだか足手まといのように思えて嫌なのだが、仕事をスムーズにさせるためには致し方ない。 いつか、もう少し大きくなってラーティンスを乗せるのだと決意し、早く成長したいと望むお年頃。 「さてと、まずは族長さんに会って話を聞かないとね。」 そういって、空気を蹴って族長がいるはずの屋敷へと跳んでいく。 「到着っ!」 「ごめん下さい。長から言われて来ました。」 すると、奥から族長に仕えるものが一人出てきて、お待ちしていましたといい、中へと案内してくれた。 「どうぞ・・・。長様、おつれしました。」 「わかった。入れ。お前は話が済むまで下がっておれ。」 「御意。」 薄暗い部屋に族長と三人きりになり、少々緊張気味のエルシャンドだが、ラーティンスはいたって平然としている。 「お久しぶりです、族長ガーヴェルラ・ゴードシャラ殿。」 敬意を表すように改まり、頭を下げるラーティンス。 エルシャンドの知らぬところで、ラーティンスはこのいかつい族長と知り合いだったようだ。 「それで、娘さんはどうして?」 「それが、昨日から帰ってこない。理由は不明だ。 「・・・それは、少々問題ありですね。」 その後、最近変わったことはなかったかなど、一族でその森に対して何かあるのかなどきいたが、ないようだ。 「・・・普通に考えれば、娘さんは自らの意思で森へと、いうわけですか?」 「たぶん・・・。じゃが、おてんばだがあれでわしの大事な娘だ。 「わかりました。お任せを・・・。連れ戻せなくても、理由は見つけてきます。 「よくわかっているな・・・。さすがだ。じゃぁ、任せたぞ。」 二人は立ち上がり、ガーヴェルラに一礼して、部屋を出た。 「どうやら、今回の仕事今日中に終わる自身がないなぁ・・・。」 「ま、頑張ればいいのね。 「とにかく、向かいますか。『死神の森』とやらに。」 「・・・できればいきたくないの・・・。」 「でも、しょうがないでしょ?」 仕事は遂行する。絶対の信頼の為に、ミスも失敗も許されない。 「ま、どうにかなるでしょ?今までそうだったでしょう?」 「それもそうなのね。よ〜し、きびきび行きましょうか〜?!」 「はいはい。」 元気になった相棒を肩につかまらせて、ラーティンスは地面を蹴った。空高く舞い上がり、森へと向かった。
今日も、今までとかわりなく、この先もこの仕事を続け、飛び回るだろう。 こめられた思いを相手に届ける代行人として、しっかりと役目を果たす為に。
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