…ある日の午前中。 前日…と言うかこの日の明け方。 副業(…)帰りの古びた商店街で何処かのチンピラに絡まれ、軽い運動をこなしてから隠れ家で眠りについていた某・やさぐれ怪盗の元に…1本の電話がかかった。 「──手伝え」 「はぁ?」 完全無欠 -Machiavellism
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──朝も早い午前8時。 睡眠時間1時間弱で叩き起こされたやさぐれは、電話1本で呼び出してくれた某・高校生探偵の元へとバイクを走らせた。 …もちろん、直接会って文句を言う為である。(ぇ) 「おい、こらてめぇ」 「…おせぇよ」 問答無用で工藤邸の鍵を開け、正々堂々(?)正面から入って来たやさぐれに、リビングで珈琲片手に待ち構えていた名探偵が鋭い視線で文句をヒトコト。 「用件も言わず呼び出すてめぇに言われたくねぇな(怒)」 ──朝も早い午前8時。←どっちにとっても(笑) どうやら両者共に不機嫌ゲージはMAXに近いらしい…。 とりあえずその場で30分程ぷち乱闘して落ち着いて(…)、作り置きしておいた珈琲を各々で勝手に用意した後、半壊している(…)テーブルを挟んで向かい合う。 「で?」 「おう。おめぇに電話する前、とあるバカから連絡があってな」 偉そうに(←足を組み踏ん反り返っている・笑)ソファーに座る快斗を前に、新一も偉そうに(←腕を組み顎を心持ち上げている・笑)ソファーに座り本題に入る。 どちらも無駄な前置きや交渉をするような性格ではないので、何事にもストレート直球勝負。 …但しそれぞれの本性(笑)を知る者の前だけではあるが。 「ほー。名探偵相手に朝っぱらから連絡取ってくるとは、本当のバカだな」 自分にかけられた電話の時刻から考え少なくとも7時前にあったであろうと推測して呟く快斗。 それに新一は深々と頷き、 「だろ」 と、同意する。 注:一体何様のつもりだ? と聞きたくなるが、聞いた処で最近やさぐれに感化されつつある名探偵は、間違いなく「オレサマ」と答えるに決まっている。なので此処はスルーするのが懸命。 「だいたい、オレが朝に弱いことくらい把握してるのが普通だろ」 「お前の周囲じゃジョーシキだな〜」 「それを毎回毎回。…まあ、まだ連絡してきただけマシだけど」 「…アイツか。」 「アイツしかいねぇだろ」 新一のセリフに1人の莫迦が思い浮かんだ(←まだ寝惚けてたらしい)快斗が名称を言う事無く呟けば、怒りとぷち乱闘ですっかり目が覚めていた(←覚めざる得なかった)新一が大きく頷きを返した。 「莫迦だな」 「だから言ってンじゃねぇか、バカだって」 ずずず…、と珈琲を啜って言った快斗に「ナニを今更」とあっさり毒を吐く新一。 「今日なんて6時だぞ、6時! オレが寝たのは4時だっての! 2時間も寝れてねぇじゃねぇか!!」 「それは自己セキニンだろ。つーか、オレはアンタのせいで1時間寝てねぇぞ?」 「は? 集会か?」←をぃ。 「…今回の暗号を解いたの誰だ」 「──ああ、昨日だったのか。お前の副業」 「中身だけ楽しみやがって」 「誰がてめぇなんかの現場に行くか。第一、文句あるなら難易度下げろ」 「つーか今回の簡単だろ。たいして時間かけてねぇし」 「…凡人のレベルを計ってやれ。特に白いヤツの」←毒。 「あー…、アイツいなくても良いし」←さらり。 とある怪盗からの予告状に記されていた暗号の解読を依頼され、警察が2日考えて解けなかった暗号をものの半日であっさりと解いてみせた新一が、警視庁から盛大に感謝されまたも崇められる(笑)ようになったのは数日前。 しかし、解いてしまった暗号には興味がない(まして相手はやさぐれ怪盗)新一は、その日のうちに予告状の存在を脳内から抹消し…他に事件も起きなかった為、昨日は1日自宅で優雅な読書タイムを送っていた。 まあ、此処まで色々と(←含みアリ・笑)素顔で対面しているのだ。 …正直、自分のテリトリーでまで相手の顔は見たくない。←本音。 「んで?」 快斗の方もその意見(自分のテリトリー云々)には賛成な為、話題をさっさと終わらせて本題に戻る。 「ああ。…好い加減、どうにかしてやりたくてな」 「お隣りは? オジョーサンが適当にヤってくれるンじゃねぇの?」 「昨日から探偵団とキャンプに行ってンだよ。じゃなきゃおめぇを呼ぶわけねーだろ」 怒りのオーラを帯び始めた新一に動じる事無く疑問をぶつける快斗。 新一も快斗(と哀)には比較的素直(←力と口じゃ敵わないから・笑)な為、オーラを出しつつも答えてみせる。←ちなみに『頭脳』では負ける気ナシ。 「そりゃそーだ。で、オレにナニを手伝わせる気だ?」 「初めはちょっとボコって貰おうかと思ったンだけどさ、アイツ痛点ねぇからオレが蹴り飛ばしてもヘラヘラ笑ってンだよなぁ…」 「それ、痛点がねぇンじゃなくて、単に喜んでるだけじゃねぇ?」 「……マゾ?」 「ある意味そーとも言うな〜」 但し、お前限定のだけどな。 そう内心で続けた快斗は、目の前で両腕を摩っている新一からその後ろにある壁時計へと視線を移しつつ苦笑する。 快斗の発言に表情を極限にまで歪め(…どんなカンジだ?笑)、「ぅわ〜、マジでアイツと縁切りてぇ」と呟いている新一はその苦笑に気付きもしないのだが… 「マゾの服部君に物理的攻撃は通用しない、と。」 流石にマゾ(笑)相手に物理攻撃をしても無駄である。 本気で服部との縁を切ろうと決意した(笑)新一は、そのヒトコトにがばっと顔を上げ、 「なんか良い方法ねぇ? ついでに縁も切れそうな方法」 と、思いっきり他力本願な発言をかました。(笑) 「…てめぇで考える気ナシか」 「アイツはオレが何言ってもヘラヘラしてやがるからな(溜息)」 「もううんざりってヤツか」 「とりあえず携帯変える。あー、家のも変えるか」←本気。 「此処まで押しかけてくるンじゃねぇ?」 「そうならない為の作戦を考えろ」 「決定かよ;」 「成功したらチャーシュー麺を餃子付きで奢ってやる」 「生中もつけろ」 「なんだったら豚の角煮もつけてやる」 「乗った。」 「よし。交渉成立」 すっかり行きつけな屋台のラーメン屋。 屋台なので置いてあるのはラーメン各種(醤油・味噌・とんこつ)と餃子にビールなどの飲み物くらいなのだが…裏メニューで角煮が存在しているらしい。(笑) …それにしても安い取り引きだな、をぃ。 「──じゃ、時間もないことだしぃ? さっさと始めますかぁ」 新一にあった電話からおおまかに計算をした快斗は、そろそろこっちに来る頃だろうと踏んで立ち上がる。 それに釣られ顔を上げた新一。 やさぐれ怪盗の楽しげな笑みを視界に入れ… 「(…服部。安らかに眠れ。間違ってもオレの処にバケて出てくるなよ?)」 かなり自己中心的なコメントを心の内で零す。 間違うもなにも、この場合、仕掛け人は新一なのだから当然バケて出るなら新一の処だろう。…まして相手は服部だし。←亡き者確定? 「やるからには徹底的にヤリマショウ。おら、名探偵。てめぇも手伝いな〜」 早くもナニか作戦(…)が思いついているらしいやさぐれに、新一は「確かに、やるなら徹底的だよな〜」と、日頃の恨み(笑)も込めて準備を開始したのだった。 ──この日、普段は閑静な住宅街で夥しい叫び声が数時間に渡って響いたらしい。 その叫び声はたった1人によって出されたものであり、あらゆる意味で「夥しい」とは異なっていたと言うことは…夕方に帰宅した隣家の少女しか知らない…。 【とうとうこの大台に来てしまいました…;】 100000hitありがとうございます!! 今までとは違い3人称でやってみました第5段(笑) ぷち乱闘のあとで快斗サンがまだ寝惚けていたのはやはり手加減していたから。←寝惚けたままでもOKだったため。 一方、目覚めざる得なかった新一サンはこの状態でもかなりマジにやり合ってました。という裏設定(笑) 本当はちゃんと(?)服部氏を出す予定だったのだが…無意味に長くなりそうだったので(笑)今回は2人だけにしてみました♪ 今回のフリーは12月末まで。この期間中でしたらお持ち帰り自由。報告も任意です。 桜月を喜ばせてくれる方(笑)は、BBS・メルフォ・拍手コメント欄にヒトコト頂ければと思います! 『完全無欠』とは「完璧なこと。何処から見ても欠点がなく完成していること」と言う意味の四字熟語。 …まあ、最強コンビであると言うことです(笑)←そして服部氏も完全に封殺された、と… ──そして。折角(?)の100000hitなのでおまけを… [After a force-out] ++++++++++++++++++++++++ 100000HITのフリーで頂いてきちゃいました。 続いて続くやさぐれ怪盗さんのシリーズですよ。 朝の不機嫌な二人のやりとりが楽しかったです。 それにしても、半壊しているテーブルがあるのに、新一が持っていた珈琲はどこいったのでしょう? もしあの持っていた奴ならば、どうやって零さなかったのでしょうね。 今回もともて楽しませていただきましたよ。 これからも頑張って下さいませ、雪花sama 戻る |