普段は閑静な(…はずの)住宅街に叫び声が響いたとある日の晩。
 その騒動の仕掛け人(←間違いではない)である某・やさぐれ怪盗と某・高校生探偵は…


「うぃ〜す」
「いらっしゃい。チャーシューと餃子2つに生中?」

「──プラス角煮」


 …行きつけであるラーメン屋へ顔を出していた。




完全無欠 [After a force-out]





「珍しいなぁ。どーした?」
「ちょっとした取り引き」

 2人が顔を出した瞬間に鉄板を温め始めた(←馴れ・笑)店主の言葉。
 そのオーダー内容に付け足しされたいつもとは違うメニューに目を丸めれば、そんな店主に新一はあっさりと事実だけを口にした。

「取り引きねぇ…、一体ナニをヤったんだか」

 既に2人の性格をしっかり正確に(笑)把握している店主は当然のように「何かをやった」ものと決めつけて麺の準備を始める。
 しかし「しっかり正確に」把握されているだけあり、その考えと判断は間違いなく当たっている。(笑)

「ちぃと鬱陶しかったヤツで遊んでただけだって。なぁ?」
「…まあ、オレ等は遊んでたよな」
「オジョーサンだって言ってたじゃねぇか」


 ──夕方、キャンプから帰宅した隣家の少女(…)灰原 哀は、2人から聞いたこの日の惨劇(…)の詳細と結果を事細かに聞き、

「そう…、そんな面白いことになってるのなら、私も是非参加したかったわ…残念ね」

との感想を口にした。


 …彼女が心底残念がるほどの惨劇って…;


「灰原って案外あーいうの好きだからなぁ」
「今度は絶対に連絡くれって言ってたしな」
「…流石にもう来ねぇだろ、アイツ」
「や、もう1匹いるじゃん。良いカンジに遊べそうなヤツが」

「………いたな。」

 言われて思い出した(←その程度の認識・笑)某・白い馬。
 同時に先日の出来事までもが思い出されたのか、コップに水を入れていた新一は「うげぇ」と表情を歪めた。

「そーそー。世の中、遊び相手は1人だけじゃなくてよ〜♪」

 そんな相手の反応に、快斗は何処かのオネーサンの声色を使って面白がり、新一がついでだからと入れた自分の水を口に含む。
 …と、同時に作り置きされている豚の角煮と生中がテーブルに届いた。

 皿に盛られた量は多く…明らかに2人前。

「マケとくよ〜」
「さーんきゅ♪ またウチの連中も連れて来っからさ」
「おう。快ちゃんトコのだったらいつでも大歓迎だ」

 ラーメンと餃子はもう少し待ってな〜、と言いながら戻っていく店主の背を見送り、

「──ってことだから食え」

と、快斗は盛られた皿を指差した。


「…なんか、毎回こーやって食わされてねぇか、オレ」

 まあ食うケドさ。

「アンタの場合はそれでも少なすぎると思うケド?」

 このタレつけてみな。おっちゃんのオリジナルで美味いから。


 テーブル脇に置かれている調味料の中から1つを取り出し、一緒に置かれていた小皿に適量流し入れる。
 ほのかに香るゆずの匂いに「ふ〜ん」と呟きつつも素直に食べ始めた新一は、言われた通りに美味な角煮に満足げな表情を見せつつ先程の話を続けた。


「つーか、アイツって紅子の専属じゃなかったのか?」

「面倒だから紅子に売っただけ」



 ──この日、ちょっとだけ某・白い馬の立場が明らかにされた。←それでも「ちょっと」なんだ;




【やっぱり必要かと思いまして(笑)】

 やさぐれシリーズには必ず入っている飲食シーン。今回は珈琲飲んでるだけだったから…出してみましたv
 そして拍手返信では人気(?)なラーメン屋の親父登場♪
 桜月はこういうサブ(しかもストーリーには無意味な)キャラに力を入れる傾向があります。(笑)

 『完全無欠』お持ち帰りの方はこちらもどーぞv


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 おまけですよ。その後ですよ。
 店主もまた、いいですよねぇ。
 仲良く店主としゃべりながらどうぞ食して下さい。
 



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