新(舞)「いたっ!」
快(黒)「どこ?!」
どうやら目的のものを発見した様子。
新(舞)「前方1キロ程。」
快(黒)「う〜ん・・・あれか・・・?」
新(舞)「たぶんそう。」
快(黒)「あの・・・。」
新(舞)「聞くな。現時逃避してもこれが現実だ。こればっかりはしょうがない。」
快(黒)「でも、これはないんじゃない・・・?」
二人の目の前にあるのは、かなり立派な和風を無視した洋風のいかにも魔王の城にあるようなどでかい派手な装飾のされた黒い扉だった。
呆然
新(舞)「・・・どうしようか。」
快(黒)「・・・どうしようかな。」
扉はひとりでに開き、二人を誘うように手招きしているように見える。
たぶん、これは気のせいだが、あいたところを見ると入れと言われている気がする。
新(舞)「どうするかな。」
快(黒)「まず、他の皆を探してからにする?」
新(舞)「そうだな。その方がい・・・っ?!」
快(黒)「あっ、駄目っ!」
しゅるん
快(黒)「ど、どうしよう?!」
新一舞は扉から伸びてきた黒い影に扉の向こうへと連れて行かれた。
快(黒)「やばい、殺される!」
新一より自分が。だって、怖い人達いっぱいますからvv
ちなみに、現在扉は閉まり、うっすらと消えていく・・・。
つまり、逃げるって事だね。
快(黒)「待て、逃がすか!こっちの命がかかってるんだよ!」
確かにね。
だけど、扉はいっちゃいましたよ。
ある意味面食いなのかこの扉。贅沢な奴だな。
快(黒)「どうしよう・・・。」
さて、快斗の明日はあるのか?!
時(舞)「・・・また動いたか・・・。」
心配する妖精に大丈夫だと言い、近くに誰かいないか探らせる。
時(舞)「まずいことになってるみたいだからな・・・。」
しっかりと新一の気配が途切れた事は察知済み。
時(舞)「いたか・・・?」
そこにいたのは・・・。
時(舞)「なんだ。はぐれ迷子か。」
快(黒)「はっ、と、時矢さん!し、新一が!」
時(舞)「わかってるって。とにかく、ややこしくなるから、お前の身柄は預かっておくべきだな。」
快(黒)「なんかやだな、身柄を預かるって・・・。」
時(舞)「ま、それはそれだ。とにかく行くぞ。これ以上、悪ささせとくつもりもないからな。」
空気が冷めてます。危険です。やっぱり、怒ってる?
つくづく、自分は貧乏くじを惹いていると思う快斗黒だった。
比(黒)「ん?」
新(黒)「どした?」
快(舞)「何か見つけた?」
この三人って一番まともなチーム?(平和)
立ち止まった比翼に、二人も釣られて立ち止まる。
でもなんだか比翼さん。刀を抜いて険悪そう…。
快(舞)「…!何か来る」
新(黒)「え」
比(黒)「これは、ゲートだ」
快(舞)「光速で移動してる気がする…」
新(黒)「何でだ?」
快(舞)「俺たちが追っかけてるからじゃないか?」
新(黒)「だったらなんでこっちに来るんだ?」
快(舞)「反対方向から追手が来てるとか」
比(黒)「もしくは美味しそうなものがいつからとか」
新(黒)「え?」
快(舞)「あ」
なるほどと、快斗が納得し、新一ははてな。
…そうこうしているうちに彼らの前に黒い扉が現れた。
新(黒)「うわあ」
快(舞)「いろいろと突っ込みたい所はあるけど…」
比(黒)「む、あちらから来るのは快斗と時矢…」
快(舞)「…ああ〜〜〜!!こいつの中から新一の匂いがする!!」
突如叫んだ快斗(舞)
…は?匂い?あんたは犬か!?
快(舞)「新一!」
新(黒)「おい!危ない…わあああ!」
比(黒)「新一!」
突っ込んでいく快斗(舞)を止めようとした新一(黒)も、何故か吸い込まれてしまいました。
快(黒)「あああ―――――――――!!」
大絶叫。
しかも扉はさらに光速。
時(舞)「食べるごとに早くなっていくのか?」
比(黒)「普通は遅くなるものだがな」
快(黒)「ふ…ふふふ、いい度胸です…絶対に名探偵を取り返してみせましょう!怪盗の名にかけて!!」
時(舞)「かけんでいい」
比(黒)「モードが入ってしまったな」
キッドモード?
キ(舞)「…ん?」
哀(黒)「あら」
志(舞)「彼に何かあったのかしら」
紅(舞)「そのようね、急ぎましょう」
哀(黒)「そうね」
キ(舞)「…その必要はなさそうですよ」
そういったキッドの前に、ゲートが姿を現した。
キ(舞)「さて。そろそろお遊びもここまでにして、終わりにしましょうか。」
にっこりと、何やら数本のナイフを取り出して投げつけた。
そして、魔法のように扉を開き、中から救出。
やっぱりいいとこはとるんだな、あんた。
キ(舞)「大丈夫ですか、新一。」
半分意識なし。
快(舞)「あ〜、新一!それにキッド!!」
ちなみに彼の腕には新一黒が抱えられていたり。
快(黒)「名探偵っ!」
快(舞)「あ、来た。ほれ。」
ひょいっと快斗黒に快斗舞が新一黒を受け渡した。
・・・物扱い?
比(黒)「動かないのか?」
やってきて開いたまま動く気配のない扉。
何度見ても不気味な趣味の悪い扉だ。
時(舞)「ああ、なるほどね。」
快(舞)「新一〜。キッド、離せ!」
キ(舞)「嫌ですよ。」
比(黒)「それで、もう帰るのか?」
動かないのなら帰るかという比翼に。
時(舞)「そうだな。」
もう、興味がないというか、帰る気でいる時矢。
哀(黒)「それにしても、どういうことかしら?」
紅(舞)「特殊な呪が働いたのよ。・・・そうね、実態があるものには、必ず影が出来る。」
志(舞)「なら、その影を自由に操れたら。」
哀(黒)「いろいろと便利ね。」
紅(舞)「つまり、特殊な呪を掘り込まれたナイフであの扉の影をこの場所へと縫いつけた。」
時(舞)「よって動かない。だから、帰る。」
と、言っている間に帰ってきた。はやっ!
そういえば、快斗黒ってキッドモードのままじゃ・・・?
快(黒)「名探偵、名探偵〜」
気絶中な新一さん(黒)
快(黒)「…おきてくださらないのならばこちらも実力行使を…」
新(黒)「!?」(がば!)
快(黒)「ちっ」
何する気だったんだ!?
というか、危機本能が働きましたね新一さん!!
新(黒)「あ、あれ?!確か俺おかしな扉に食われて…!」
比(黒)「案ずるな。もう大丈夫だ」
快(舞)「キッドが助けてくれた―てことにしとこうか」
キ(舞)「しておく、ではなくてそうなのです」
新(舞)「…うう、気持ちわりい…」
哀(黒)「大丈夫なの?」
新(黒)「扉の中でなんかよくわからないけど頭の中探られた…様な気が…」
比(黒)「…」
ちゃきり。(抜刀)
快(舞)「比翼さんストーップ!!」
キ(舞)「大丈夫です。初めてだから、頭がついてこなかっただけですから!」
だから扉は破壊しないでくれ。
新(黒)「うう〜気持ち悪い〜、快斗〜」
快(黒)「う!!」(抱きつかれる)
硬直。
時(舞)「…戻ったのか?」
比(黒)「これだからへたれなのだ…」
快(舞)「らしいというか…」
快(黒)「う、うるさ〜い!!(半泣)」
…貴方たち移動中なのに煩いよ(帰宅中)
哀(黒)「やっと帰ってこれたわね。」
快(黒)「そうだね。」
複雑な心境で、抱きついてくる新一を落とさないように支えていた。
快(舞)「俺も複雑だけどなぁ。」
新一は二人も同じようなのを相手にするほど体力無いので、基本的にキッドが優先されている。
それは言うまでもなく刷り込みと言う奴だが。
キ(舞)「あれに力を奪われたみたいですね。」
新(舞)「うー、変な感じがする。・・・それに、情報ももっていかれたような・・・。」
キ(舞)「それはいただけませんね。」
新(舞)「でも、抜き取られてはいないぞ。たぶん。コピーだけだろ。」
キ(舞)「それでも許せませんね。」
快(舞)「なら、寂しい快斗君がコピー消して来ようか?」
キ(舞)「頼めるのならお願いします。」
快(舞)「はいはい。」
少しずつ、新一の心が向くように頑張る快斗だった。
時(舞)「俺も行って来るかな。気になることもあるしな。」
と、二人は出て行った。
快斗にとっては半分八つ当たりのようなものだろうが、時矢はまた何か考える事があってだろう。
新(舞)「・・・今回も無事に終わりそうにないな・・・。」
キ(舞)「それは今更ですよ。」
新(舞)「だるい〜」
新(黒)「じゃあ休んでろよ」
快(黒)「という新一は気分悪いんじゃないの?」
新(黒)「ぎく」
新(舞)「え」
比(黒)「あちらの新一がコピーされて、お主はされぬというのはおかしな話しだ。我慢はするな」
新(黒)「だ、だって〜」
比(黒)「問答無用。新一二人は寝室で休む事を言いつける。破れば…さてどうしようか」
新(黒・舞)「「休んできます」」
キ(舞)「…何気に怖いですね、あなた」
比(黒)「そんなことはない」
快(黒)「やると言ったらどんなに非常識でもやる人だよ…」
哀(黒)「それにしても、彼は平気だったのかしら」
志(舞)「ああ、彼も一緒に飲まれていたものね」
比(黒)「鍛え方の問題だろうか」
キ(舞)「好みがあったのでは」
快(黒)「…(自分のことを言われているようでなんだか嫌)」
比(黒)「さて、あれらは一体どんな情報を持って帰ってくるのだろうな」
快(舞)「…壊してやる」
時(舞)「帰れなくなるだろうが。あいつら」
帰ってきて、かなり荒れている様子の快斗。
すでに休んでいるW新一と、新一舞から離れず一緒にいったキッドのいる部屋へと消えた。
キッドは気付いて文句を言うが、今頃仲良く三人で寝ていることだろう。
寝ていたら大人しいので放っておく人達であった。
比(黒)「それで、どうだったのだ?」
時(舞)「まぁ、いろいろな。そっちの新一のデータは取られてなかったぞ。とられる前に連れ出したからな。」
比(黒)「そうか。」
哀(黒)「それで?」
時(舞)「好みにうるさいらしくってな、快斗のには興味がなかったらしい。それ
に、快斗がそっちの新一を庇おうとしたので、結果的に全てこっちの新一に向いた。」
なんか嫌な予感。
時(舞)「それに、あれはある意味変態だな。」
志(舞)「あら。そういうこと。」
時(舞)「とくに、月華楼での夜のデータ取られてたな。」
快斗も知らない夜があって、本気で壊してやろうかと言っていたが止めておいたぞと言われ、複雑な快斗黒だった。
紅(舞)「なんだかんだといって甘い割には調子に乗っていろいろやっていたものね。」
過去を思い出して、ため息が出る紅子。
どんな夜なんだと知りたいようで知りたくない快斗黒。
時(舞)「とくに、快斗が気に入らないのはキッドの新一への告白だな。あと、自分が知らない間にあったことや新一の表情とかね。」
分かる人にはわかる、とある日の出来事である。
志(舞)「まぁ、破壊しない程度になら痛めつけてくれても構わないわ。扉だろうと、目障りなものは始末するつもりだもの。」
比(黒)「新一は本当に何もなかったのか?」
時(舞)「新一の過去覗いて楽しんでて、暇なかったんじゃないのか?」
快(黒)「わかったから、もうそんな話はしないでっ!」
間違いなく、自分にとっては不利な内容というか、羨ましい内容というか。
時(舞)「いつかのために、へたれを直す為にこれぐらいの免疫つけておいたらどうだ?」
快(黒)「いりません、いりませんっ!」
い〜や〜と耳をふさいで頭をふる快斗。
やっぱり、こっちの快斗はちょっと違う。
志(舞)「たまには、彼も彼ぐらい可愛い反応を見せたら、少しはかわるのかもしれないわね。」
だが、あの二人はこれからもかわることはないだろう。
お互いがライバルでもあるのだから。
比(黒)「まぁ、いい。帰れて何事も問題がないようならいい。」
紅(舞)「寺井さんが夕食を用意してくれるって言っているわ。あの四人を起こして、食べるわよ。」
志(舞)「あと、間違えないでよね。今回は明日の11時よ。まぁ、時と場合によってはあれを少し脅したらどうにかなると思うけれど。」
クスリ
あの悪魔がいないと、舞姫連中は悪魔になるのか?
夕食を美味しそうに頬張る快斗(黒)
新(黒)「…お前って本当によく食うよな…」
快(黒)「新一が食べないだけ!」
比(黒)「新一。ほれ、これなら食べられるだろう。あっさりしていて美味しいぞ。是非後ほどレシピを頂きたい」
寺(舞)「お褒めいただき光栄です」
快(舞)「寺井ちゃんの料理はいつも美味しいからな〜」
キ(舞)「作る気ですか?比翼さん」
比(黒)「気に入った料理は作っておきたいだろう」
時(舞)「材料があればな」
哀(黒)「私もレシピをもらっていこうかしら」
新(黒)「…何の?」
哀(黒)「勿論実験の―――」
志(舞)「あら私もそちらのはほしいわね―――」
快(黒)「ああああああ、新一!!何もかも忘れて食べよう!」
新(黒)「そうだな!なんだか怖い!!」
大騒ぎ。
新(舞)「…」
キ(舞)「まだ辛いですか?」
新(舞)「うー…んなんかな〜…」
新(黒)「大丈夫か?」
快(黒)「…(新一のコピー取られてなくてよかった)」
快(舞)「ムー…あの扉、絶対あとで壊す…」
新(黒・舞)「「??」」
知らない二人。
…正しく知らぬが仏状態。
志(舞)「まあいいわ。食べ終わったらお風呂に入って、さっさと寝なさい。手出しは毎度の事ながら禁止よ」
キ(舞)「わかっていますよ」
新(黒)「…手出し?」
快(黒)「お願いだから言わないで〜(汗)」
ひょいっ
新(舞)「・・・キッド。」
キ(舞)「手は出しませんから、大人しくしたがって下さいね。」
にっこりと微笑まれて連れて行かれる。まぁ、今日は手を出されないだろうから、大人しく自分から腕なんか回して・・・。
快(舞)「あー、ずるいぃ〜〜〜!」
追いかけていく快斗。
俺達も行こうぜと快斗黒は嫌だったのだが、ひっぱられていった。
哀(黒)「さて。彼等もいったことだし。こっちはこっちで話をしましょうか。」
志(舞)「そうね。」
実は、キッドから言われていて、新一達には知られていない新たな事実があったりもした。
比(黒)「構わぬのならば、切るが?」
紅(舞)「切るのは危険なのよ。」
時(舞)「無闇に切るのはいけないんだよ。狙うのは一箇所。悪いけど、今回はこれ
を使ってもらうぜ?」
どこから調達してくるのは今更愚問であるが、時矢が全員に渡したのは様々な型の銃だった。
しかも、ご丁寧に皆に合うものを選んでいるのがさすがというか・・・。
時(舞)「周りに群がる雑魚は刀でも構わない。だが、狙うときはこれでな。」
特殊な弾も入ってるんでなと言う時矢に、まぁ使えないことはないと手にとって懐にしまう。
さて、その頃。
新(舞)「なんで離れないんだ?」
キ(舞)「いつもこうでしょう?」
新(舞)「・・・もう、いい。」
いつも以上だが、もう好きなようにさせておくことにした。
快斗も側にいて、ちょっと狭いが・・・。
快(黒)「もう、いい加減にしろっ!」
いちゃついているようにしか見えない目の前の三人に怒鳴る。
必死に隣にいる新一黒を見ないようにして。
やっぱり、へたれである。
快(舞)「やっぱり、同じだといっても、新一の肌を見せるのは勿体無いなと思ってね。」
キ(舞)「見るなら隣にしておいて下さい。」
新(舞)「お前等、あいつをいじめてやるなよっ!」
ぺしっとはたく新一。二人にしてみれば、快斗黒をかばうのが気に入らない。
キ(舞)「あんな男を庇うのですか?」
新(舞)「ちっがーうっ!何がしたいんだよ、お前等はっ!」
快(舞)「そりゃ、新ちゃんを堪能したいんだよ。あれはちょっとした言葉遊びしてるだけ。」
その言葉遊びとやらで泣いているというのに・・・。
しくしくと隅っこによって黒い何かを背負う快斗黒に、新一黒はわからずともとにかく快斗黒を慰めるのだった。
さて。皆洗えたしそろそろ上がるかといったときだった。
キ(舞)「ここで悪いのですが、服を着て下さい。」
ぽいっと、いきなり渡されて、慌ててそれをとる快斗黒。しっかりと新一黒の分も持っている。
そして、見たときにはすでにキッドも快斗舞も服を着て、服をいつの間にか着せられて目をぱちくりとしている新一舞を抱き上げていた。
快(舞)「本当、厄介だよね。やっぱり壊しておくべきだったよ。」
物騒な目が・・・。
とにかく、新一黒と快斗黒は服を着替える。
濡れていてもあとで服を渡すと言われたので、今は急がないとと慌てる。
快斗黒は極力新一黒を見ないで着替えつつ・・・。
新(舞)「・・・あ・・・。」
キ(舞)「そういうことです、新一。なので、お願いできますか?」
新(舞)「ああ。」
扇を取り出し、妖精に頼む。
ちょうど二人も着替えたところで、五人は皆がいる部屋へと飛んだ。
そこには何かよくわからない羽虫みたいなのがたくさん居た。
快(黒)「気持ち悪!!」
新(黒)「何だこれ?!」
時(舞)「伏せろ!」
銃声。
快・新(黒)「「わあああ〜〜!!」」
比(黒)「ほれ。これで応戦するのだ」
ぽいっと時矢にもらった二丁の拳銃を投げる。
新(黒)「何だこれは?!」
新(舞)「あのゲートが、動けないから子分を放ったんだ。なんだか無駄な知識ばっかり付けてるみたいだな…」
快(舞)「大本を懲らしめないと終わらないね」
キ(舞)「かといって壊しても厄介な事になりますが…」
比(黒)「帰れなくなるな」
快(黒)「ゲートの開く時間まで、まだかなりあるってのに!」
新(黒)「帰れなくなるのか!?まだ新刊読んでない…」
哀(黒)「さすが工藤君。心配する所はそこなのね」
時(舞)「とりあえず、撃ちまくれ」
快(黒)「あ〜もう!!」
ズガンズガンズガンバキュン
硝煙と銃声に部屋は満ち満ちていた。
快(黒)「比翼さんって銃も使えたんだ」
比(黒)「出回っている武器はそれなりに仕えるが、一番馴染みがあるのが日本刀、というだけだ」
快(舞)「へえ。日本刀って使いやすい?」
比(黒)「それもあるが…これは形見でもあるのでな」
新(黒)「比翼…」
志(舞)「会話しながらこの状況を打開しているあなた達はやっぱり只者じゃないわね」
なんだか霧が晴れるみたいに虫(?)はぽとぽとと落ちていく。
そろそろ終わるかな、というときに。
新(舞)「うわあ!!」
新(黒)「わ!!」
快・キ(黒・舞)「「新一!」」
残った羽虫(?)が新一二人を連れ去った。
沈黙。
比(黒)「ふ…ふふふふふ」
時(舞)「くっくっく、」
なんだか不気味な笑いが響いた。
哀(黒)「…いい度胸ね」
快(舞)「新一を連れ去るなんて…」
キ(舞)「許せませんね…」
快(黒)「後悔する暇もないほどに苦しめて差し上げましょう…!」
一同「「勿論だ」」
怒りにぶち切れた奴らははっきり言って怖かった。
ちなみにキッドモードの快斗には誰も突っ込まなかった。
時(舞)「もう、問答無用だ。」
比(黒)「確かにな。」
あわわ・・・日本刀を出された!!そして、時矢は長く人目では見にくい糸を取り出した。
快斗とキッド<黒・舞>は愛用の例のものを取り出して、哀と志保と紅子もやる気充分。
キ(舞)「もう、容赦しません。」
快(舞)「そういうことだね。」
快(黒)「いい加減にしていただきたいものです。」
物騒な人の集まりだな、おい。
もう、扉破壊する勢い。大丈夫かね?
新(舞)「くそっ、もう離せ〜。」
新(黒)「離せ〜。離れろっ。」
必死に頑張るが、意外と頑丈なもので。
再び飲み込まれると思った瞬間。
ずしゃっ
何らかの刃物で扉は真っ二つに。
比(黒)「む?」
キ(舞)「新一っ。」
快(黒)「新一っ。」
手を伸ばすが、後一歩届かない。
扉は消滅した後、再び奥に現れる。
そして、新たな人物が・・・。
ベ(舞)「久しぶりね。」
新一黒を一人だけ捕獲して、やってきた。
ベ(舞)「あれに組織のデータの一部をとられたから処理にきてみれば・・・。」
大変な事になっているみたいね。と、新一黒を快斗黒へと受け渡して苦笑する。
時(舞)「身代わりまでつかうとはね・・・。」
比(黒)「舐められたものだな・・・。」
二人は構える。あ〜、完全に本気だよ〜。
新(黒)「なんか、ぬるぬるしたのが出てきた〜。」
気持ち悪いと肩を震わせる。
快(黒)「もう、大丈夫ですよ名探偵。」
新(黒)「快斗〜。」
快(黒)「わかっています。もう一人の彼も助けますよ。」
うるうると見られても、今回ばかりはへたれて戻る事はなかった。
やっぱり、怒りが相当なのかな?
ベ(舞)「それにしても、本当に鬱陶しいわね、あれ。」
ちょうど、新一舞を飲み込んだあとだった。
そして、逃走・・・。
キ(舞)「絶対に逃がしませんよ。」
比(黒)「大切な光に手を出した事を後悔させ、破滅をもたらすまでは。」
時(舞)「急ぎますか。」
ひょいっと、風に乗る。
快(舞)「逃がしたら承知しねーからな。」
時(舞)「わかってるよ。」
快(黒)「女史達は、名探偵のことを頼みます。」
哀(黒)「わかったわ。ただし、あれは持ち帰って来てちょうだいね。」
手加減しないからと、すでに瓶に詰めた羽虫にもその笑みを見せながら・・・。
快(黒)「わかっています。はじめからそのつもりです。」
さて。追いかけるぞ。
数分後のこと。
時(舞)「っ?・・・右に避けろ。」
妖精に叫び、慌てて動く妖精。
先ほどまでいた場所に、大量の氷柱が落ちてきた。
スタッ・・・
キ(舞)「新一・・・。」
快(舞)「なるほどね・・・。」
時(舞)「厄介な事を考える。」
現れたのは、とろんとした、光の灯らぬ目の新一舞だった。
ゲートは新一の背後で、なにやら高みの見物をしていた。
ふらふらと、目の虚ろな新一はただ立っている。
…そして暗黒集団の怒気はピークに達しようとしていた。
快(舞)「絶対壊す…!」
キ(舞)「許す許さないの問題ではすでにありませんね…」
快(黒)「今までの所業からしてその通りです」
比(黒)「…(もう言葉もないほど怒っている)」
時(舞)「あんたは帰っていいぞ。データは見ねえから」
べ(舞)「残念な事に、取り返さなくちゃならないのよ」
時(舞)「…なるほどね」
比(黒)「――つまりはただ、みな同じ目的だという事であろう」
ぶち切れ比翼さん。
というかみんな切れてます。
たった一人しか呼び出せないはずの暗黒神が背後に聳え立っている気がするのは私一人か…!?
新(舞)「…」
新一が、よたりと扇を持った手をあげた。
一同「「!?」」
一斉に、避ける。
風が氷柱を粉砕させた。
快(舞)「新一!!」
キ(舞)「目を覚ましてください!」
新(舞)「…」
びゅっ
ばし!
快斗(黒)が新一の腕を掴んだ。
快(黒)「失礼します!」
腹部に拳を叩き込もうとしたら、新一が素晴らしい回転で快斗の腕から逃れる。
快(黒)「…やはり、そう簡単に捕まってはくれませんか…」
舌打ちした快斗(黒)の頭部に、衝撃が走った。
快(舞)「新一に何しようとしたー!!」
キ(舞)「それはあなたのすることではなく私たちがすることです!!」
他人に殴られるのはいや。それぐらいなら自分が!
快(黒)「そんなことをいっている場合ではないでしょう!」
べ(舞)「その通りね」
快・キ(舞)「「あ!」」
ベルモットがじゃきりと銃を構えた。
どがががががががが!
快・キ(舞・黒)「「わああああああ!!」」
新一に当たったらどうしてくれる〜!
だがベルモットは平然と。
べ(舞)「こんな鈍らが彼に当たるわけないじゃない」
いや、実際避けてますけどね。
心臓に悪いんですよ!
向かってくる新一に、良心が痛むが快斗とキッドは立ち向かう。
だが何度か攻撃を加えているうちに、今の新一には痛覚がないことが判明した。
キ(舞)「…これでは霧がありません…」
気絶させようとしてもしない。
つまり大本を断ち切らなくてはならない。
だが近づこうとするとゲートは逃げようとするし、そうすると
新一はずっとこのままだ。
どうすれば…!
比(黒)「背中を借りるぞ」
キ(舞)「え」
どか!
快(舞)「あ」
―――比翼がキッドの背を踏み台にして、一気にゲートまで飛んだ。
それに気付いたゲートが、慌てて逃げようとするのを、時矢が呪いのかけられたナイフを投げて縫いとめる。
横一文字に、ゲートが切り裂かれた。
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