新(黒)「記憶違いじゃなかったら・・・。」
快(黒)「こんなところ、そうそうないでしょ。」
かつての日本のような町並みの光景がそこにあった。
そして、やはり見覚えのあるそこ。
新(黒)「今回も、短い別れではやい再会なんだな。」
快(黒)「そうかもね。」
彼等は、せっかくつい先日に別れたばかりの人達のいる世界へとやってきたのだった。
新(黒)「じゃぁ、とりあえず月華楼だっけ?目指す?」
快(黒)「たぶん、そこにいるだろうからねぇ。」
快斗にとっては、ただそこにいって見たくないような光景を見ないかどうかだけが心配だった。
新(舞)「・・・またか。」
キ(舞)「どうかしましたか?」
辛うじて動けるぐらいの状態である新一の身だしなみを整えるキッドが聞く。
今まで何やっていたのかは読者の考えにお任せします。
新(舞)「短い別れで速い再会といったらわかるか?」
キ(舞)「・・・どっちですか?」
新(舞)「圭さんの気配はないし、比翼さんの気配だから、この前いったところの奴等が来たんじゃないのか?」
キ(舞)「ならいいです。」
身なりを整えて、抱き上げてすぐさま電話の受話器をとる。
キ(舞)「私です。」
快(舞)「何さ、キッド。今からそっち行くし、話しなら・・・。」
キ(舞)「どうやら、比翼さんの一行がこちらに来ているようなので、見かけたら拾ってきて下さい。」
快(舞)「わかった。見かけたらね。で、新一は?」
キ(舞)「昨晩はそんなにしていませんし、動く事は出来ますよ。」
新(舞)「お前、何いってるんだ!そんな話するなっ!!」
顔を真っ赤にして、キッドの腕の中で暴れる新一だが、生憎それぐらいの抵抗でキッドが困ることはなかった。
キ(舞)「あと。どうやら、不穏な動きを見せるやからがいますから。紅子には連絡を入れますが、なるべく巻き込まないように見つけてきて下さい。」
快(舞)「はいはい。じゃぁね。」
通話を切る。
新(舞)「もう、何考えてるんだよ。」
今までもう片方の手で口を塞がれていた新一。
キ(舞)「電話の邪魔をするからでしょう。もう少し、大人しくしていて下さいね。」
そういって、志保の部屋直通の内線にかけて、上へ上がってくるように言う。紅子も様子を伺っているから、すぐに来るだろう。
キ(舞)「どうしてこう、平和に過ごせないのでしょうね・・・。」
この世界事態が平和という見せ掛けだけで、裏は荒れているのだから、何処も一緒だろうが。
新(舞)「しょうがないだろ。人は皆同じではないのだから。」
考え方も違ってくるから、いざこざや争いが起こり、すれ違いや憎しみ悲しみ、そして愛しさなどの様々な現象や感情が左右されて世界は均衡を保っている。
新(舞)「何処の世界でも、完全な平和なんかないんだ。」
キ(舞)「確かに、そうですね・・・。」
ふわりと優しく包み込むように、心配そうな顔をした妖精が入ってきて、にっこりと新一は微笑んでなんでもないと答えた。
比(黒)「…ふむ」
辺りを見渡す比翼。
…て、ここ何処よ?
比(黒)「…とりあえず人里へ…」
山の中だった。
快(舞)「あれ?」
哀(黒)「あら」
快(舞)「うわ〜哀ちゃんめっけ。迷子?」
哀(黒)「不本意だけれどその通りね。この前はどこかの誰かさんに無理やり連れて行かれたから」
その連行方法を思い出してちょっと血の気が引く快斗(舞)
快(舞)「あはははは…さて、多分他の奴らも向こうに行くだろうから連れて行くけど、いいよね?」
哀(黒)「ええ。ただし抱えていくのは許さないわ」
よっぽど屈辱的だったらしい。
寺(舞)「お待ちしておりました」
新(黒)「あ、寺井さん」
月華楼前では寺井が待機していた。
寺(舞)「最上階でお待ちです」
新(黒)「ありがとうございます」
快(黒)「…(何もありませんように何もありませんように…!!)」
快斗は結構切実だった。
最上階にはキッドの膝に抱えられた新一と、紅子と志保がいた。
志(舞)「彼が連絡をくれたから、先に対処できたけれど。」
紅(舞)「それに。過去に来た事あるからわかるでしょうけれど。」
なんだか、目が怖いのですが・・・。
志(舞)「相変わらず、迷惑な時に来てくれるわよね。」
先ほどまで実験に明け暮れていた太夫の称号を持つ娼婦・・・。いいのか。
快(黒)「す、すみません。(どうしてか誤る)」
新(黒)「・・・悪い。」
こっちは普通じゃないこといっぱいだしね。危険がいっぱい。
新(舞)「で、どうするつもりだ?」
キ(舞)「他の方々は・・・。」
新(舞)「快斗はあっちの哀を連れて、時矢は偶然比翼さんを見かけて、同じようにこちらに向かっている。」
キ(舞)「なら、今は問題ありませんね。」
今のうちに堪能するキッド。
見せ付けられてる・・・?
快(黒)「・・・(悲しい)」
新(黒)「・・・(わかっていても照れる)」
志(舞)「・・・(反応は相変わらずね・・・)」
紅(舞)「やはり。おじ様。こちらに来るみたいよ。どうするつもりかしら?」
新(舞)「キッド・・・逃げよう。」
キ(舞)「関わってろくなことはありませんしね。」
新(黒)「(確かにな)」
貴方達。仮にも貴方達の両親でしょ?
新(舞)「それはそれだ。」
寺(舞)「快斗坊ちゃまとお嬢さんが来られました。」
ここまで案内して来たらしく、どうぞと哀に道を勧める。
さすがである。
快(黒)「哀ちゃん。」
哀(黒)「今度は、抱えられることはなかったわ。」
快(舞)「来る途中で見つけたから連れてきたよ。」
キ(舞)「あとは、あの二人ですね。」
そういえば、このメンバー以外が来る可能性は考えないの?
キ(舞)「考える時間も惜しいので。」
そうかい。
新(舞)「もうすぐ、来る。」
どれどれと、キッドがは新一を抱いたまま立ち上がり、窓から外を覗けば・・・
キ(舞)「もう少し、まともな登場をしてほしいものですね。」
屋根瓦を走ってこちらへと向かってくる二つの人影があった。
新(舞)「今更だろ。それに、無理だ。」
快(舞)「ま、だからこそ彼等らしいんじゃない。」
窓から来るか玄関から来るか。
かなりの確率で窓からだろうから、窓から離れる三人だった。
時(舞)「よ、また逢ったな」
比(黒)「思わぬほど早い再開と相成ったな」
窓から侵入。
…あれ?結構高さあった気がするんですけど…もしもし?
新(舞)「真昼間から屋根の上を走り回るなよ…」
新(黒)「通報されても知らないぞ…」
比(黒)「案ずるな。人に見られてはいない」
時(舞)「見られたときは見られたときだ」
快(黒)「駄目だろそれ!」
この人たちは似ている…。
志(舞)「おじ様に会う為にも、工藤君。着替えてきなさい」
新(舞)「え?なんで?」
快(舞)「鏡で自分の格好見てみたほうがいいよ」
言われた通りにして真っ赤になる新一。
新(舞)「ききききき、キッド〜!」(真っ赤)
キ(舞)「ハイV」
比(黒)「ピシリとした着物にしないとな」
時(舞)「してもばれるだろうけど」
新一の首筋には、しかも見えるところにキスマークがたくさん。
快(黒)「(見せ付け、虐め、見せ付け…!)」
新(黒)「一体何があったんだ俺…」
比(黒)「考えぬようにしよう新一」
哀(黒)「あなたにもそのうちわかるわ」
新(黒)「へ?」
快(黒)「しししし新一!ところで俺たちはどうしようか!?こっちの親父さんに逢っとく!?」
新(黒)「嫌だ」
即答ですか。
志(舞)「でも逢わなくてはならないと思うけれど」
比(黒)「私は遠慮しよう。変わりにゲートを探しに行こう」
時(舞)「じゃ、俺も。ゆっくり帰ってくるから悪戯するなよ」
新(黒)「俺たちは子供じゃないぞ!」
哀(黒)「言っても無駄よ。だって彼らは保父さんだもの」
え、公認!?というか疑う余地なし?!
さて。いつものようにゲートを探しに飛んでいった時矢と比翼。
しっかりと着替えなおして戻ってきた新一舞は、すぐさまキッドに捕獲された。
新(舞)「はぁ〜なぁ〜せぇぇ〜〜〜。」
じたばたと全部お前が悪いと言わんばかりに必死に抵抗するが、無駄な抵抗というもので。
キ(舞)「でも、昨晩は新一から求めてくれたじゃないですか。・・・潤んだ蒼い瞳で甘い声で、私を誘ったでしょう?」
新(舞)「(///)ち、違う!お前の目がおかしいんだ!」
キ(舞)「どっちでもいいですけどね。・・・それにしても、昨晩は何時にもまして乱れてくれて・・・。」
新(舞)「それ以上言うな、馬鹿!」
ぎゅむっと口を手で押さえつける。すると、バランスを崩してキッドを押し倒す形で・・・。
キ(舞)「たまには、反対でやってみるのもいいかもしれませんね。」
やってしまったことで、さらに顔を真っ赤にしてすぐさま離れようとするが・・・。
キッドが逃がすわけないし、快斗までくっついてくれば逃げ場はない。
快(黒)「・・・(涙)」
目を逸らして、いじける快斗黒。
新(黒)「・・・(///)」
なんだかちょっと恥ずかしい新一黒
志(舞)「ほら。いつまでも馬鹿やってないで。」
紅(舞)「そうよ。おじ様、もうすぐ近くまで着ているみたいだから。」
新(黒舞)「「げっ」」
と、言っている側から。
盗(舞)「なんだか、楽しい事になってるな。はっはっは。」
薫(舞)「あら。私は双子は産んだけれど、三つ子を産んだ覚えはないわ。」
有(舞)「私だって、双子を産んだ覚えは無いわ。」
優(舞)「知らない間に面白い事になっているんだな、新一。」
自分の息子の方にぽんっと手を置いてはっはっはと笑っているお気楽な両親達。
確かに、ここにいるのはそっくりな三人と二人。
新(黒)「何処の世界でも同じなんだな。」
新(舞)「かわらないだろ。あれは。」
快(黒)「・・・親父が・・・。」
一応、快斗黒の父親はいません。だから、びっくりね。わかっていても。
だって、同じだもの
快(黒)「親父が…親父が動いてる…!」
当たり前だ。
新(舞)「どうしたんだ?」
新(黒)「向こうで盗一さんは亡くなられているから、生きている盗一さんを見て愕然としているだけ…」
悶々ともしております。
優(舞)「それで、一体どうしたんだい?」
新(舞)「説明不要だと思うんだけどな。それよりも早く近況説明をしてくれ」
優(舞)「今この状態を説明せずに別の近況説明を求めるとは流石は息子」
新(舞)「うるせえよ!」
キ(舞)「まあまあ落ち着いて」
快(舞)「あんまり騒ぐと…」
新(舞)「ぎゃー!どこ触ってんだこのバカー!!(赤面)」
快(黒)「お前ら今ぐらいは自重しろー!!」
新(黒)「あ、話は続けても大丈夫だぜ」
有(舞)「まVこっちの新ちゃんなんだか素直V」
優(舞)「そうだね。余計にひねくれてないね」
新(黒)「は?(汗)」
新(舞)「誰の所為だー!」
盗(舞)「でもこっちの快斗は迫力に欠けるね」
薫(舞)「そうねぇ。やっぱり別世界の息子ね」
説明なしでもやっぱりいいじゃん!
時(舞)「新一〜ゲートの場所わかったぞー…て」
比(黒)「…おお、裏の総取締りが大集合しとるな」
裏の総取り締まりって何!?
窓から二人が帰ってきた。
…玄関から入ろうよ。
快(黒)「比翼さん。もしかして、顔見知り?」
比(黒)「そうだな。たまたま会って、挨拶を・・・。」
新(舞)「なんてことをしているんだ!そんなそんな!」
キ(舞)「はいはい。それ以上比翼さんにくっつくのはやめましょうね。」
勢いよく訴えるためにがばりと近づいたら、捕獲された。
優(舞)「なんだか、面白いことになっているな。」
有(舞)「それにしても、新ちゃんが二人いるなんて、いいわね。」
着せ替えが楽しそうと考えているのに対し、何故か感じたのか寒気がするW新一。
盗(舞)「で、一応どうするべきか?」
薫(舞)「とりあえず、お茶にしましょう。寺井さん。」
寺(舞)「準備は整っております。」
さすが寺井さんだね。
というか、何故いきなりほのぼのにお茶?
新(舞)「・・・なぁ。俺本読んで来てい・・・。」
キ(舞)「駄目です。」
快(舞)「確かに、現実逃避したくはなるけどね。」
盗(舞)「ひどいことをいうようになったな、息子達よ。」
快(黒)「こののりは同じだ・・・。」
盗(舞)「そうなのかい?でも、君のように消極的に息子達は生きていないがなぁ。」
どうしたものかという父親もどきに悲しみが増す。
父親にまで、遠まわしにへたれだと言われているような気がして・・・。
薫(舞)「それにしても。新一君。本当に綺麗になったわねぇ。有希子そっくり。」
盗(舞)「お嫁さんにほしいな。それより、愛人でもらおうか。」
優(舞)「誰が、お前にやるか!嫁にはやらん。」
有(舞)「あら。新ちゃんはものじゃないわよ。」
可愛い着せ替え人形と心でいっていて、説得力はない。
新(黒)「・・・こっちもこっちですごいな。」
自分の親の方がましに思えてきたのは気のせいだろうか?
キ(舞)「第一に、新一は私のものになったんです。それに、父さんであっても、渡しはしませんよ。」
ちみちみとカップに口をつけて飲んでいる新一をぎゅうっと腕の中に閉じ込める独占欲の塊。
快(舞)「ん?どうしたの?」
新一の様子がおかしい。
キ(舞)「まさか。」
新一が手にしているカップを取り上げる。駄目と手を伸ばすが、反対の手で押さえて、中身を一口味見する。
キ(舞)「誰ですか・・・?お酒なんてものを混ぜた人は・・・。」
盗(舞)「そうか。それで私のがお茶だったんだな。」
不思議だったんだとけろりという父親にぷつりとくるが、ここは我慢。
キ(舞)「悪いですが、先に部屋にもどらせていただきます。」
もちろんお姫様抱っこで退場。
快(舞)「何?」
快斗を含め、何が起こったのか不明。だが、ここに把握している奴もいた。
時(舞)「おや。お前は知らなかったのか?」
快(舞)「何が?」
自分がわからないのが気に入らない。
時(舞)「新一は昔からお酒は苦手で、一口でも飲めば、即アルコールがまわってくたくたになるんだ。」
それ、何時の話ですか?
時(舞)「会った時に妖精が自分達を祭る祭りで備えられた酒を一口飲ませたら、もう酔ってとろんとした目で誘ってくる危険な状態になってだな。俺もあやうく襲われかけたな、あれは。」
いや、違うでしょ。あんたが襲いかけたんでしょ?
快(舞)「何それ!じゃ、親父!わざとかー!」
胸倉つかんで怒鳴る。
はっはっはと笑っているが、少しずつ力を入れて首を締め出すと、さすがにギブアップする父親だった。
新(黒)「なんだか、ハードだよな。」
快(黒)「いつもあいつらはサバイバルだって言うが、確かにそうかもな。」
哀(黒)「でも、こんな毎日だったら、あきないんじゃないの?」
志(舞)「確かにね。」
新一(舞)が退場したため両親の標的は新一(黒)に集中した。
…着せ替えが。
有(舞)「や〜ん可愛い〜VV」
新(黒)「(げっそり)」
薫(舞)「次はこれよこれV」
有(舞)「志保ちゃん紅子ちゃん哀ちゃん比翼さんはこっちねV」
志(舞)「逃げ遅れたわね」
紅(舞)「さっさと実験へと行くべきだったわ」
哀(黒)「…(着せ替え攻撃がはじめて)」
比(黒)「ふむ、私が女だとは最初からばれていたようだな」
感心ている場合じゃないのでは?
時(舞)「話の主題がずれて行ってはいないか?」
優(舞)「盗一が新一に酒を飲ませたりするからだな」
盗(舞)「いいじゃないか。可愛らしい新一君が見れたんだ。所であちらの新一君も可愛く仕立て上げられているようだね」
優(舞)「当然だ。私の息子だからな」
快(舞)「厳密に言うと違う気がする…」
快(黒)「…虐めだ…世界が俺を虐めてるんだ…(赤面)」
きゃぴきゃぴとはしゃぐ母親たちに負けている新一。
男女関係なしにいろんなものを着せられている。
比(黒)「おお、そうだ。忘れる所であった」
新(黒)「へ?」
比(黒)「今回のゲートは明日の朝11時に開く予定だ。場所はなにやら泉のほとり」
快(黒)「11時?」
快(舞)「10時じゃないんだ」
今までずっと10時だったしね…。
時(舞)「ついでに言うと、なんかおかしな奴らがうろついてたぞ」
快(舞)「え」
比(黒)「怪しかったので半数は片付けておいた」
時(舞)「いきがよかったぞ」
紅(舞)「あら(きらり)」
志(舞)「それは嬉しいわ」
哀(黒)「喜んで使わせてもらうわね」
ふふふふふふと、不気味な笑い声が響いた。
…怖いなぁ。
キ(舞)「まったく、あの男ときたら。」
すでに、父親としての認識が・・・。
ちなみに、酒を飲むと幼くなる新一は、甘えてキッドに自ら抱きつく始末。
まぁ、それにはキッド自身役得なので問題はないが。
キ(舞)「今頃、下はひどいことになっているでしょうね。」
以前、襲撃されて新一を奪われた悲しさが思い出される。
一応新一の母親と自分の母親は強く、最後には負けるのであった。
新(舞)「うにゅ。」
キ(舞)「まったく、可愛い顔して寝ていて・・・。」
襲ってしまいそうだという言葉は飲み込んで。
キ(舞)「せっかくですから、寺井が用意してくれた服でも着てもらいましょうか。」
部屋の隅に置かれた衣装ケース。
その中には立派な蒼い着物が入っている。
キ(舞)「さて。」
服を脱がしにかかるキッド。
さて。新一は寝ている間に変〜身っ!
ってことで、こちらに戻ってきて・・・
新(黒)「あの・・・。」
最終的に、この格好で一日いるように言われた新一。
もちろん、紅い綺麗なそれも高そうな立派な着物であった。
快(黒)「どうして俺まで・・・。」
快斗も結局巻き込まれ、黒い和服に着替えさせられた。
なんだか、疫病神みたいだな、黒って。
快(黒)「ナレーターまで言うの!馬鹿〜〜!」
ひどいと勝手にいじける始末。
哀(黒)「でも、いいのかしら?」
志(舞)「いいんじゃないの?あの人のちょっとした楽しみだから。」
紅(舞)「出来るときに付き合うのが一番なのよ。」
相手の性格を心得ているのである。
快(舞)「ってことで、諦めろ。」
同じように黒い和服・・・。だって、白ってあれでしょ?
優(舞)「思いのほか、皆よく似合うね。」
と、何気に彼等は新一舞が退場してから四時間はそこで着替えショーをやっていたのであった。
そこへ。
キ(舞)「いつまでもやっていないで。そろそろ夕食のために下に降りますよ。」
着替えさせた新一を抱きかかえて登場。
相変わらずいいところはとるな、あんた。
快(舞)「新一っ!」
飛びつこうとしたが、キッドがよけた。
新(黒)「・・・(同じ顔だが綺麗だと思い、そして何故か紅くなる)」
快(黒)「・・・(何これ、なんなの、この色気は!)」
だって、ご主人様に尽くす可愛い娼婦だもの。色気があってあたり前じゃないか。
有(舞)「それ、寺井さんが用意したもの?」
寺(舞)「思っていた以上に似合っていますね。」
よかったですよという寺井。
実は、彼お手製の手作りだったりもした。
本当、何者ですか、寺井さん。
盗(舞)「やっぱり、愛人に・・・。」
薫(舞)「私もほしいわ。」
キ(舞)「あげません。」
快(舞)「だめ。」
黒羽家の目線だけの威嚇・・・。
楽しそうに見ている有希子と、渡さないと参戦する優作。
哀(黒)「なんだか、毎日賑やかそうね。」
志(舞)「彼等がそろう日限定だけどね。」
黒羽家新一争奪戦が始まろうとしていた中、やっと新一が目を覚ました。
新(舞)「ん〜…?」
キ(舞)「ああ、おはようございます」
夕方だけどね。
そう言ってさりげなくキスを仕掛けるキッドに、負けずと参戦する快斗。
新(舞)「ん…おはよ…」
それを返す新一。
快(黒)「虐めだー!というかそんな色っぽい新一を見せないでー!!(脱兎)」
新(黒)「か、快斗!?(汗)」
比(黒)「耐え切れずに逃げ出したか」
こちらは黒い女物の着物を着た比翼がそう呟いた。
時(舞)「へたれてるな〜相変わらず」
比(黒)「小心者にあれは刺激がきつかったのだろう」
時(舞)「あんたは平気なのか?」
比(黒)「あれしきで動じていたら世の中渡って行けん」
いや、いけると思いますよ。新一の色気は尋常じゃないから。
盗(舞)「ああ…なんというか、同じはずなのになんであそこまで違うんだろうね…?」
薫(舞)「…何となく情けないわ」
有(舞)「でもなんだか可愛いわよ?子犬みたいで」
優(舞)「ある意味誠実でいいかもしれない。愛しい新一を任せるからには新一を幸せにしなくてはならないわけだから欲望のままに突っ走って居るだけえは…」
快(舞)「突っ走ってるだけじゃないぞ!」
キ(舞)「しっかりと害虫駆除は行っています!」
それなんか違うから!!
優(舞)「それはご苦労様」
いいのぉ?!
新(舞)「…て、服変わってる!?」
今気付いた新一さん。
遅いよ〜。
そして彼らは夕食の席へと。
有(舞)「私魚食べた〜いV」
快・キ(舞・黒)「「やめて下さい!!」」
悲痛な絶叫が響きました…。
最終的に。
新一舞が野菜がいいといったので、決定。
ある意味、天然な支配者である。
快(舞)「新一〜。」
キ(舞)「・・・(ぎゅう)」
魚の恐怖で抱きつく。
新(舞)「本当、お前等の嫌いなのは相当だよな。」
ちなみにこっちも。
快(黒)「攻めてくる〜〜〜〜。」
新(黒)「おい、快斗。何もあれがこんなとこくるわけねーだろ。」
でも、怯えている快斗は犬みたいで、邪険にできなかった。
盗(舞)「何をどう間違えたのだろうね?」
薫(舞)「そうね。おかしいわね。あれなんかが嫌いだなんて。」
優(舞)「それにしても、面白いぐらいやる行動は同じのようだな。」
有(舞)「やっぱり、もとが同じだからじゃないかしら。」
だって、同姓同名で同じ顔で性格もほぼ同じだし。
寺(舞)「夕食の用意が整いました。」
新(舞)「あ、はい。・・・ほら、行くぞ。」
キ(舞)「そ、そうですね。」
ふぅと一息ついて・・・
ひょいっ
新(舞)「ほえ?」
キ(舞)「行きますか。」
快(舞)「あ、待ちやがれ!」
新(舞)「ちょっ、お前等っ!(///)」
一番乗り。というか、復活速いね。
じたばたあばれても、経験上無理でしょう。うんうん。
快(黒)「うー、やだ〜。きっと行ったら俺の前にあんなのがいるんだぁ〜〜〜。」
めそめそ泣く快斗。ちょっと情けない。
新(黒)「ほら。行くぞ。」
ちなみに、お姫様抱っこなんて出来ないから。引きずられていく。
盗(舞)「なんだか対照的だな。」
薫(舞)「そうね。でも、どちらにしても快斗は情けないようだけど。」
ある意味あたっているかもしれません。
だって、快斗黒もキッドモードになったら最強だもの。
時(舞)「やっぱり、見ていて面白いな。」
比(舞)「そうだな。」
時(舞)「じゃぁ、ちょっくら出かけてくるよ。」
じゃーなと、窓から出て行く人。
ねぇ。貴方達に玄関というものの認識度は低いの?
かなり賑やかな食卓。
嫌いなものがなければ大喰らいな三人。
快(黒)「あー!俺の!」
快(舞)「早い者勝ちV」
キ(舞)「行儀が悪いですよ」
快(黒)「とか言いつつさりげなく人のもの取り上げるなよ!」
キ(舞)「食べながら叫ばないで下さい。汚いです」
哀(黒)「そう言いつつ箸の動きが速いわね」
志(舞)「食意地が張っているもの」
紅(舞)「見苦しい戦いだわ」
比(黒)「W新一。食べるものが偏っているぞ」
新(黒)「うー」
新(舞)「といわれてもー」
比(黒)「貴方方も笑ってばかりいないで食さないとすべて食いつくされるぞ」
盗(舞)「いやあ、わかってはいるんだがね(にこにこ)」
薫(舞)「何となく久しぶりにこんな争いを見られてV」
有(舞)「楽しんでるのよ〜」
優(舞)「という訳で一献どうかな比翼さん」
比(黒)「ああ、申し訳ない」
新(舞)「見た目未成年に酒を勧めるな!」
優(舞)「見た目だろう?」
比(黒)「恐らくこの中では私が年長かと」
有(舞)「きゃV先輩よ先輩」
新(舞)「母さん…(意味不明だ)」
そして寺井さんの作ったデザート争奪戦に入ろうととしていた時に、窓の外から爆発音が響いてきた。
新(黒)「まさか…!」
新(舞)「時矢!?」
比(黒)「いや、奴はへまをしまい。となると…」
おかしな闖入者かな。
下では、少々荒れた・・・。
がらがらがら・・・
時(舞)「いたた・・・。参ったな。あ、そろってたのか。」
まるで、何事も無かったかのように、見つけた相手に立ち上がってよっと手を上げる。
新(舞)「お前、何やってんだ?!」
時(舞)「ああ、これね。」
ぱんぱんと、ほこりを叩く。
時(舞)「ちょいと、困った事になったんだよ。」
新(舞)「どういうこと?」
時(舞)「愚かなばか者がちょっとやってくれたものだから、始末しようかと思ったのだが、ゲートがな・・・。」
はぁと、突然の溜息に何?!となって聞いた言葉は
時(舞)「逃げちゃったよ。」
間・・・
一同「「はぁ?!」」
逃げたって何、逃げたって。
時(舞)「何度も使用している間に、いろいろな人間の感情を吸って、意識持って、隠れちゃったんだよね。」
追いかけたら、来るなって追い返されてぶっ飛ばされてこの様だと答えた。
新(舞)「よく生きてたよな。」
時(舞)「そりゃ、日々鍛えてるからな。」
丈夫じゃないと、やっていけませんから。
比(黒)「それは困ったな。」
新(黒)「帰れなくなるのか?」
快(黒)「えー?!嘘でしょ?!」
快斗黒にとってはかなり地獄でしょう。だって、ねぇ・・・。
時(舞)「とにかく、逃げたの探すから。」
ま、見つからなかったら諦めろと、妖精の力を使ってか、綺麗さっぱり消えた時矢。
まったく、いきなり現れて、嵐のように去っていく。
キ(舞)「迷惑な方ですね。」
快(舞)「破壊されたままだし。」
新(舞)「なおす。」
元通り
というか、はやいな。新一君。君もたいがいだね。
キ(舞)「まったく。無茶しないで下さい。」
新(舞)「離れろ。俺達も探しにいくんだからさ。」
快(舞)「わかるの?」
新(舞)「時矢が向かった先はな。だから、どこか近くにあるだろ。」
と、全員まとめて移動。邪魔な両親ズは置いてけぼり。
また、異世界での冒険ですか?
有(舞)「もう、置いて行かれちゃったわ。」
優(舞)「しょうがないな。今日は帰るとするか。」
盗(舞)「そうだな。」
薫(舞)「あらやだ。もうこんな時間だわ。」
と、嵐のように彼等も帰っていくのだった。
疑問として、貴方達はいつもどこで生活しているのですかい?
彼らは逃げ出したゲートを探しに着ていた。
が。
快(黒)「はぐれたー!!」
相変わらずな方法で吹っ飛んだ彼らは見事ばらばらになっていた。
新(舞)「…おっかしいなぁ。失敗したのか?」
快(黒)「…途中で何かに引っかかった気がしたけど」
新(舞)「あ、もしかしてゲート轢いちゃったとか?」
快(黒)「正面衝突して、一緒に吹っ飛んじゃったってこと?」
新(舞)「やべ、見失わないうちに追わねえと…!」
快(黒)「他の人たちもゲートを追うだろうしね」
新(舞)「そうそう!」
言い聞かせるようにしてゲートを追い出した二人。
ねえ何気にいいコンビ?似たもの?
快(舞)「な〜んで俺たちは木に引っかかっちゃってるんだ?」
比(黒)「不慮の事故という奴であろう」
新(黒)「それにしてもよく引っかかったよな〜」
三人は木の枝に引っかかってぶら下がっていた。
比(黒)「(やすやすとすり抜けて)ほら新一手を貸せ」
新(黒)「ん、サンキュ」
快(舞)「(自力)さてと、近くにいる気配はしないなぁ…」
比(黒)「結構な距離を飛んだようだからな」
新(黒)「よく生きてるよな俺たち」
快(舞)「それはほら、俺たちって強運の持ち主だから」
比(黒)「特に新一などはこれしきのことで死にはしまい」
新(黒)「俺だって人間だからこんな高さから落ちたら無傷じゃすまねえよ」
比・快(黒・舞)「((実際今無傷なんだけど…))」
比(黒)「…まあ置いておいて、ゲートを探そう」
快(舞)「そだね」
新(黒)「おう」
そうして三人も走り出したのでした。
キ(舞)「ああ、新一は一体どこに…」
哀(黒)「安心しなさい。彼はきっと無事だから」
志(舞)「それにしても紅子のおかげで助かったわね」
哀(黒)「魔力ってこういうときに役に立つのね」
紅(舞)「彼がこっちに飛んできたのは意外だったけれど」
キ(舞)「うっかりしていました。これからは手を放さないよう注意します」
志(舞)「四六時中くっついていなくてもいいわ」
紅(舞)「見ていて暑苦しいもの」
哀(黒)「同感だわ」
キ(舞)「…(汗)」
ああ、頑張れキッド!
そんなわけで皆さん別々にゲートを探します!
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