比(黒)「ほれ。喰え」
ドンっと現れたのは豪勢な食事。
新(舞)「…ひ、比翼さん?」
比(黒)「人数が多いのでな。買ってきたのは私だ。作ったの
は主に快斗だが」
快(黒)「文句言わないでよ」
新(黒)「…多くないか?」
新(舞)「多いだろ…」
比(黒)「食べ盛りが三人もいるのにか?」
そう言って比翼が見たのは快斗・キッド(舞・黒)
渇いた笑いが漏れた。
快(黒)「え、えへ…あ。デザートはイチゴタルトねVさっさ
と食べようか」
新(舞)「時矢の分は寄せといてくれ」
比(黒)「案じるな。わかっておる」
哀(黒)「比翼さん。食後のお茶は何かしら」
志(舞)「決まっていないならこれを使って頂戴」
紅(舞)「きっと楽しい事になるわ」
何か企んでいるらしい。
とりあえず比翼はそれを受け取って台所へ放置した。
誰が使っても知らぬ存ぜぬを通すつもりで(鬼!!)

比(黒)「食事が済んでから私は宝石を置きに行く」
新(舞)「ゲートは明日の午後だっけ?その間相変わらず暇だ
な」
キ(舞)「先程の続きでもしますか(耳元で)」
快(舞)「退屈はさせないよ?(囁く)」
快(黒)「お前ら――――!!(虐め?!虐めだな!!)」
虐めだよ。

 

 

 

新(舞)「だ、馬鹿かお前等!人の家だぞ!それに時矢のこともあるし・・・。」
もぞもぞ・・・
キ(舞)「心配するのはわかりますが、気に入りませんね。」
快(舞)「そうだよねぇ。」
新(舞)「あの、えっと・・・デザート食べたいなv(汗)」
キ(舞)「ま、いいでしょう。話はあとです。それと、もう一つ別に話があります。」
キッドが言いたい事に気付き、ふざけるのをやめて、わかったと答えた。
なんだろうかと、聞き耳を立てながら食器を片付ける比翼がいたりもするが、快斗と新一(黒)は気づくことはなかった。

夕食も終わり、デザートも食べ、新一とキッドは時矢のいる部屋へ
新(舞)「時矢・・・?」
ノックをして、そっとドアを開ける。
すると、起き上がって日の暮れた空をぼんやりと見ている時矢がいた。
キ(舞)「夕食をお持ちしました。食べれるのなら、食べておいて下さい。」
時(舞)「ああ、悪いな。」
新一から受け取って、いただきますと合唱する。
新(舞)「やっぱり、気にしてるのか。先祖と同じ事をした事。」
時(舞)「そうだな。すでに、同じ道を歩んでいるからな。受け入れる運命もまた、同じ。」
キ(舞)「確かに、話が本当なら、同じですね。」
親殺し。特殊な力。新一と出会って変わる事。全てかつての『かい』と同じ。
新(舞)「お前が気にしているのは、新納と持った関係と、守れなかったという記憶だろう。」
時(舞)「そうかもな。・・・はじめて好きになって、守りたかった相手を、もう一人のライバルも一緒にいながら、守る事が出来なかったんだからな。」
キ(舞)「そのことは、私も気にしています。しかし、まったく同じになるとは思っていません。同じになど、絶対にしませんよ。」
時(舞)「新一と同じようで違うこの力。何度新一と変わりたいと思ったことか。」
新(舞)「これは決して変わることはない。」
キ(舞)「ですが、気にしているんですよ、新一。」
時(舞)「巫女の短命の理由の一つは、その力。人一倍強く、刻印まで持つ新一は、かつての先祖と比べても、きっと速い。」
キ(舞)「・・・わかってますよ。それぐらい。」
時(舞)「それにしても、まだ片割れに話していないとはな。」
キ(舞)「話すタイミングを逃しているんですよ。」
新(舞)「近いうちに話すつもりではいるけど・・・。」
それより、無駄話はこれぐらいにして喰えと、食事をすすめる。
時(舞)「そうだな。」

彼等が真剣な話をしている頃。
快(黒)「やだー。」
快(舞)「いつでも喰えるんだろ。」
イチゴタルトの喧嘩をしていた。
比(黒)「まて。まだ一つ残っているから、それをやる。」
快(舞)「本当?」
快(黒)「じゃぁ、もう一個ずつだね。」
にっこりと同じ笑み。
繰り広げられる会話に呆れたというかなんというか・・・。
新(黒)「俺、お茶入れてくる。」
と、例のお茶を用意するのだった。
新(黒)「はい。」
ご丁寧に全員分。そのうちいくつかは例の奴。
さぁて、誰があたるのかな?

 

 

 

新(黒)「お茶が入ったぜ〜」
新(舞)「おう」
時(舞)「お、いい匂いだな」
比(黒)「もういいのか」
キ(舞)「大丈夫でしょう」
新(舞)「そういえば喉かわいたな〜」


ひょい。


ごくん。


変化なし。


哀(黒)「(ちっ)」
比(黒)「…………」
快(舞)「さてさて」


ひょい。


ごくん。


新(舞)「あれ?比翼さん飲まないんですか?」
比(黒)「うむむ…新一」
新(黒)「(飲みながら)ん?」
比(黒)「お茶の葉は何を使った?」
新(黒)「何って台所に置かれていた奴を…はっ!!」


がしゃーん…からから。


静寂がその場を支配した。
快(舞)「…まさか」
比(黒)「(横を向いて)…すまん」
キ(舞)「一体何のお茶ですか?!」
時(舞)「ちょっと甘いな…」
哀(黒)「あら、砂糖を入れすぎたかしら」
志(舞)「多分あの結晶の味よ」
紅(舞)「あら?粉かもしれないわよ」
快(黒)「あんたらかー!!(怯)」
比(黒)「…知らぬ存ぜぬと通すつもりだったが新一まで飲んでしまったしな」
新(黒)「て、哀たちと比翼以外は飲んでるって!!」

ぼぼんぼん。

突然煙が快斗(舞)新一(黒)時矢から、吹き出した。
快(黒)「わあ!」
新(舞)「な、なんだぁ?!」

煙の晴れたそこには、見た事のない生物が鎮座していた。

 

 

 

新(舞)「相変わらず、お約束な展開だな。」
快(舞)「作者のネタ不足なんじゃねーの。あ〜、なんだよこれ〜。」
キ(舞)「なんだか、あまりいい気分ではありませんね。」
新(黒)「いったいどうなったんだ?」
快(舞)「・・・(怖い)」
意外とのん気に会話をする人達だった。
比(黒)「見事に変わったな。」
哀(黒)「意外と、面白い事になったじゃない。」
志(舞)「あれに、こんな効果があったなんてね。」
紅(舞)「もっと詳しく、解明のしがいがあるわ。」
物騒な会話はそれぐらいにして下さい。


さて、説明をすると。
まず新一黒は、半分魚になっていた。つまり、人魚みたいなもの。
なので、快斗怯えてます。そこまで魚駄目なんだな。へたれめ。
快(黒)「いや〜〜〜。絶対いじめだ〜〜〜〜。」
新(黒)「快・・・。」
快(黒)「新一〜。・・・うぎゃー。」
泣きついてきたかと思ったら、足のひれを見てわめく。忙しい奴め。
さすがに、ちょっと傷つく新一だが、快斗の事もわかるので、大人しくしているのだった。
気付かないなんて、損な奴だ。ふぅ。
では次に快斗舞。
新(舞)「毎回変身して、なれたのか?」
快(舞)「そうなのかなぁ。あまりうれしくはないけれど。」
背中に翼が生えて、獅子のような毛並みと尾を持つ生物になっていた。
肌触りは思いのほかいい。
新(舞)「・・・v(気に入った)」
快(舞)「・・・(抱きつかれてうれしい)」
キ(舞)「・・・(一人はみる・・・)」
最後に時矢。
新(舞)「それにしても。時矢。」
時(舞)「確かに、なんで俺はこうなんだろうな?」
快斗の毛並みを堪能しながら、新一の肩で腰掛けている時矢にいう。
現在、彼は全長15センチぐらいの兎の耳のようなものを頭につけた妖精のような羽をつけた姿だった。
時(舞)「俺に兎の耳は似合わないと思うのだけどさ。」
新(舞)「確かに似合わないよね。」
キ(舞)「新一なら似合うような気がするけどね。」
快(舞)「俺が獅子なら、キッドは狼?」
キ(舞)「月ですしね。」
そうなったら、獲物として兎の新一さんは狙われて食べられちゃう?
新(舞)「・・・(びくり)」
何かを感じた新一だった。
新(黒)「どうにかならないかな、これ。」
比(黒)「どうなんだ?」
哀(黒)「さぁ?」
さぁって、貴方・・・。

 

 

 

比(黒)「快斗(黒)は新一(黒)の尾ひれに怯えつつ見ないよう抱き付いた状態。快斗(舞)とキッド(舞)はそんな二人(主に新一の尾ひれ)を見ないよう背を向けつつ新一(舞)と時矢とたむろっている…さて、この異様な光景をどうしたものか」
哀(黒)「暫らくこのままもいいかもしれないけれど」
志(舞)「解毒剤がないものね」
一同「「えええええ?!」」
ないの?!
紅(舞)「全部使ってしまったの」
快(黒)「うっそー!!」(真っ青)
新(黒)「快斗がかわいそうだな…て、近くにいなけりゃいいんだよな。離れればいいのに」
比(黒)「新一。それは言わないお約束だ」
新(舞)「快斗このままでもいいんじゃないか?さわり心地いいし」
快(舞)「え、そうV?」
新(舞)「んV」(ぎゅーっ)
キ(舞)「…いいえ断じて解毒剤は必要です」
時(舞)「新一が取られて悔しいか」
快(舞)「いつも盗ってるくせに」
キ(舞)「私はいいのです。それに時矢さんだって、そのままの格好はきついでしょう」
時(舞)「まあ確かにいい気分はしないが…」
比(黒)「違和感があるからな」
時(舞)「妖精と同じ気分に浸れるわけないしな。外見からして、俺には似合わないし」
比(黒)「面白いが…笑いは取れるぞ」
時(舞)「おい」
比(黒)「(半分本気の)冗談はさておき、解毒剤がないのならば効力の切れる時間までこのままか?」
快(黒)「いやああぁぁぁ!!」
新(黒)「比翼…何とかならねぇ?」
比(黒)「ハア…哀、どうなのだ?」
哀(黒)「そうね…実験しかないかしら」
一同「「(ぎくっ!!)」」
さあどうなる!

 

 

 

恐ろしき魔の手が迫ってきた時。
新(舞)「あ。」(ポンッと手を叩く)
快(舞)「どうしたの。」
新(舞)「あれ、使えばいいんだ。忘れてた。」
何処から取り出したんだという突っ込みはおいておいて。
取り出されたのは一つの巾着。
新(黒)「お。俺が貰った奴と同じ。・・・いったいいくつあるんだ?」
まだお願い事に気付いていないし、使ってもいないし、今まで忘れていた新一黒。
新(舞)「三人を元に戻して下さい。」
袋を開けて、願い事を言う。
?「おおせのままに・・・。」
風が吹きぬけて、そこには、元に戻った三人の姿があった。
志(舞)「そういえば、前回も使っていたわね。」
哀(黒)「おもしろいわね。」
ちらりと新一黒を見る。
新(黒)「・・・そういえば。巾着どこやったかなぁ・・・。」
快(黒)「新一新一新一〜。戻ってる〜〜〜。」
うれしさのあまり、ぎゅうぎゅうと抱きしめる快斗だった。
キ(舞)「これで、ひと段落ですね。」
快(舞)「ちょっと残念だけど。」
時(舞)「これが、一番自然だからいいんだって。」
確かに、時矢さんはそうでしょうね。さすがにあれはきついですって。
哀(黒)「でも、実験しそこねたわね・・・。」
快(黒)「・・・(ぎくり)」
志(舞)「ものたりないわね。」
紅(舞)「どうしようかしら。」
三人の視線がいたかった。
比(黒)「とにかく、ゼリー食べるか?」
新(黒)「うん。」
哀(黒)「そうね。食べてからでもいいものね。」
とりあえず、食べるまでの間の安全は確保された。
快(黒)「・・・(絶対、食べてすぐに逃げる・・・!)」
じゃないと、死ぬと、だらだら汗を流す快斗黒だった。

 

 

 

キ(舞)「彼がへたれているのは知っていましたが情けない限りです」
快(舞)「女史は怖いけどさ〜…」
新(舞)「でもそのうち帰ってくるだろ」
比(黒)「新一もこちらにいるしな」
時(舞)「ほとぼりが冷めた頃に、か?」
比(黒)「だと思うが…」
新(黒)「…ちょっと呼び出しかかったから出てくる」
新一(黒)は警察からの要請で出張。
残されたのは舞姫の一同。
マイペースに自分の求める本を漁っております。
その時。
比(黒)「む」
時(舞)「ん?」
新(舞)「どした?」
比(黒)「…伏せろ」
一同「「え」」


ちゅどーん。


お隣が再び爆発した。工藤邸が微かに揺れる。
快(舞)「またぁ?!」
新(舞)「で、でもなんだかさっきと様子が違わないか?」
哀(舞)「博士は今外出中よ!」
志(舞)「急遽知人に呼ばれて出て行ったわ」
紅(舞)「となると今の爆発は―――」
時(舞)「隣に何かいて、セキュリティに引っかかったな」

 

 

 

とりあえず、隣の侵入者の確認。
新(舞)「なぁ。あれってさぁ。」
志(舞)「見間違えることはないわね。」
時(舞)「確か、前もいたような迷惑な黒いのだったな。」
そこには、さらに黒こげた西の黒い彼がいたのでした。
何故お隣にいるかは不明ですが。
哀(黒)「うふふ。こっちへは来ないようにと、ちょっとした仕掛けを施してあるのよ。」
何をやったんですか、哀ちゃん!
新(舞)「放っておくのも迷惑だし。どうするんだ?」
哀(黒)「もちろん、地下に連れて行って、また来ようなんて思わないようにするまでよ。」
物騒だね。
志(舞)「なら、ついでだし。これをしておこうかしら。」
なんだか得体のしれない液体が・・・。
比(黒)「はやめに、快斗は戻ってこれそうだな。」
快(舞)「そうだろうね。いないし。」
紅(舞)「さて。連れて行こうかしら。」
比(黒)「私が連れて行こう。」
担いだ。
新(舞)「いってらっしゃい。」
哀(黒)「楽しみね・・・。」
ふふふと三人の笑み。そろうと怖い。

そして。その数十分後、快斗黒は帰ってきたのだった。
快(黒)「うわ〜ん。新一がいない〜〜〜。」
めそめそと泣くので、とりあえず、よしよししてみる新一舞。
快(黒)「新一〜。うわ〜〜〜ん。」
よしよしされて新一の顔をみて、また泣く。
だけど、今度は無意識に腕が伸びた。
さすがに、抱きついて泣き叫ぶ快斗黒には容赦するつもりはなく。
キ(舞)「彼のことは放っておくのが一番なんですよ。」
快(舞)「そうそう。」
べりっと引き離すのだった。
新(舞)「お、おい。」
はたからみたら、三つ子の取り合い?なんだか、泥沼っぽくてやだなぁ。
新(舞)「少しぐらいいいだろ。かわいそうだし。」
それに、二人と同じ顔だし。
ぽんぽんと、快斗黒をあやす新一だった。
その背後にまとわりつくのは、やっぱりあの二人だった。
そんな不思議な光景を比翼は台所で作業をしながら、横目で見ているのだった。

 

 

 

新(黒)「ただいま〜」
快(黒)「(ぴく!!)」
新一(舞)に抱きついて泣いていた快斗は新一の帰宅を察知して顔を上げ駆け出した。
居間の扉を開けたところで抱きつく。
快(黒)「新一Vおかえり〜!」
新(黒)「あれ?快斗?帰ってたのか、ただいま。ついでにお帰り」
快(黒)「うん!ただいま〜VV」
ぴんと立った耳とご機嫌よく振られている尻尾が見える。
快(舞)「…すごい忠犬ぶりだ…」
新(舞)「…ああ、何かに似てると思ったら。犬だ。忠犬って言い得て妙だな」
キ(舞)「見ていてあきませんね…」
新(舞)「…ああいう快斗も可愛いかも…」
快・キ(舞)「「え」」
比(黒)「愛嬌があるからな」
へたれている様子も叱られた犬みたいで面白い。
新(黒)「あれ?哀たちは?」
時(舞)「隣で実験中だ」
新(黒)「(犠牲者は誰だろう…?)」
黒い迷惑なアホウドリです。
比(黒)「ほれ快斗も。そろそろいいだろう。新一、疲れたろう。ほれ、珈琲だ」
快(黒)「あ(仕事とられた)」
新(黒)「サンキュV」
比(黒)「ほれ、そなたらも」
新(舞)「ありがとうV(わ〜い珈琲だV)」
快(舞)「あ(新一を取られた)」
キ(舞)「…相変わらずのいいところ取りですね…」
時(舞)「見事なさばきっぷりだな」
比(黒)「まあな。新一の扱いは慣れているし」
どちらの新一も??
隣から聞こえてきた悲鳴は黙殺された。
快(黒)「…比翼さん。ところで」
比(黒)「何だ」
快(黒)「夕食は誰が作るの?」
一同「「あんただろ?」」
快(黒)「…新一まで…(涙)」
新(黒)「え、だって快斗の飯美味いし…」
快(黒)「待っててね新一Vすぐに作るから!」
比(黒)「扱いやすい男だ…」
時(舞)「ヒモ体質?」
やだな、それ。

 

 

 

そして、数分後。
楽しく談話していた時でした。
快(黒)「お待たせ〜vv」
豪勢な料理が出てきた。
快(黒)「人数も多いし、新一にいっぱい食べてもらおうと思って、いっぱい作っちゃった。」
にこにこと、尾っぽをふっているように見える快斗黒。
比(黒)「とりあえず、哀達を呼んでくる。」
新(黒)「そうだな。一緒に食べないとな。頼むな。」
比(黒)「先に食べていてくれてもかまわない。」
ということで、お言葉に甘えまして先に食べる事に。
だって、お隣さんがいいところだったら、すぐにはきないだろうし。
ひと段落着くまでは動かないような人達だからね。
新(舞)「いつもながら、おいしいな。」
いつもって、確かに以前食べましたが、そんなにいつもってほど食べてませんって。
快(舞)「・・・おいしいけどな。いい主夫になれるじゃん。」
新(黒)「主夫かぁ。お前って、マジシャン志望じゃないの?」
快(黒)「マジシャン志望です。そのまえにやること終わらせないといけないけどね。」
もちろん、やることは例の裏の仕事です。
新(黒)「お前だったら、いい家庭を作っていくんだろうな。」
快(黒)「・・・(どきり)」
新(黒)「どんなお嫁さん迎えるんだろうな。」


にっこり。


快(黒)「うっ・・・。(だ、だから、お嫁さんは新一がいいんだってばぁ・・・涙)」
快(舞)「・・・哀れだな。」
キ(舞)「いつものことでしょう。」
だけど、そんな事をいっている新一黒自身が、少しもやもやとしていたりもするのだが、それはまた別のお話でv
新(舞)「それにしても、おいしいよな。」
時(舞)「こっちの二人はやらないからな。」
キ(舞)「新一が望むのでしたら、なんでもしますよ。」
快(舞)「料理だって、作ってみせるもん!」
まぁ、器用な人達なので、やろうと思えば出来るでしょう。

ただ、寺井の料理が好きで、皆食べているから作らないだろうけど。
新(舞)「じゃぁ、今度作れよ。約束な。」


にっこり。


キ(舞)「わかりました。」
きっと、おいしい料理を作るだろうが、このときまだ、新一舞は危機に気付いていなかった。
ただで動かない人達だ。しっかりと御褒美をねだるのだが、まだ、気付かない。

 

 

 

デザートは比翼の作った洋ナシのタルト。いつ作ったんでしょう?
比(黒)「ほれ新一」
新(黒)「さんきゅ」
快(舞)「甘過ぎず適度な美味しさV」
キ(舞)「あなたも料理は上手ですね」
比(黒)「必要に応じて」
時(舞)「サバイバル料理ならできるぞ」
新(舞)「食べてみたい気も…」
快(黒)「みんなできるのに何で俺が作ってるんだ?」
一同「「面倒だからだ」」
快(黒)「ひ、酷い…」
新(黒)「落ち込むなって。俺お前の料理好きだぜ?」
快(黒)「新一…っ(ひしっ!)」
キ(舞)「忠犬と飼い主の図…」
比(黒)「見えないはずの尻尾と耳が見えるな」
時(舞)「あんなんだからいつまでもへたれているんじゃない のか?」
なに気に酷いな皆さん。
比(黒)「哀たちはまだ実験が一段落しないらしい。よって向こうに泊まるらしい。我々は居間で雑魚寝だ」
快(舞)「えー。なんでぇ?」
比(黒)「新一対策だ」
三人になったら襲うだろうからね。
新(舞)「…////」
新(黒)「?」
快(黒)「いじめだ…」
比(黒)「言う暇があるのなら風呂にでも入って来い」
キ(舞)「ではお先に」
快(舞)「行こうか新一V」
新(舞)「え、お、おい!」


ずるずるずるずる…


快(黒)「虐め…」
新(黒)「なに言ってんだ?俺たちも二階のシャワー室行くぞ」
快(黒)「ぎく!」


ずるずるずるずる…


時(舞)「逆を見る事になるとは思わなかったな」
比(黒)「無自覚とは恐ろしいものだな」
彼らが上がってくるまで呑気にお茶を飲む比翼と時矢だった。

 

 

 

新(舞)「あの・・・。」
キ(舞)「なんですか?」
新(舞)「そんなに狭くないし、広いしさ。」
快(舞)「そうだね。俺たちの家の方が大きいけどね。まぁ、家が家だし。」
新(舞)「こんなにくっついて入る必要ってあるのか?」
キ(舞)「新一の肌を堪能しているだけですよ。ここでやってしまうと、彼女達にどんな目にあわされるかわかったものじゃありませんから。」
快(舞)「そうそう。それに、新一の側にいるのが一番落ち着くし。」
新(舞)「・・・。」
ゆっくりとお風呂に入れるのは、彼等が出かけている間だけしかないのかもしれない。
新(舞)「・・・暑い。」
キ(舞)「いけませんね。長く居過ぎてのぼせてはいけません。」
快(舞)「はやく洗ってあがろうね。」
しっかりと、洗ってあげるとタオルは彼等の手に。
新(舞)「・・・お前等な・・・。」
だが、結局大人しくする新一だった。

さて、こちらでは
新(黒)「いつも思うけどさ。どうしてそんな端っこなんだ?」
快(黒)「(ぎくっ)え、えっと・・・その・・・。」
新(黒)「どうしてなんだ?」
にゅっと快斗の背後に近づいて、顔を覗き込む
快(黒)「えっと・・・恥ずかしいから・・・?」
新(黒)「恥ずかしいのか?でも、何故に疑問系?」
快(黒)「・・・(だらだらと汗が流れる)」
新(黒)「(しゅん・・・)俺のこと、嫌いなのか?」
快(黒)「そ、そんなことはない。決してない。新一のことは好きです。」
がばっと肩をつかんで告白
新(黒)「そっか。ならよかった。」
嫌っているのに、家に来て、困ってるのかと思ったと、告白は流された。
快(黒)「・・・(涙)」
今回も思いが届く事はないのだった。

時(舞)「さて。明日は無事に過ごせるだろうかな。」
比(黒)「どうだろうな。」
のんびりとお茶を飲む二人。
時(舞)「嬢ちゃん達はまだ実験か?」
比(黒)「こないところを見ると、そうなのだろう。」
時(舞)「布団の用意でもするか。」
比(黒)「そうだな。」
保父さん?
とりあえず、彼等が上がってくる前に、布団の用意をする二人だった。

 

 

 

新(黒)「あ、布団敷かれてるな」
快(黒)「(ぐったり…)」
比(黒)「(快斗を見て大体の事情を察して)新一。快斗。何か飲むか?」
新(黒)「珈琲」
比(黒)「寝る前だから珈琲は止めておけ、ホットミルクでいいか?」
快(黒)「もらいマス…」

キ(舞)「おや、早かったですね」
快(舞)「我慢が限界だったんじゃねぇの?」
はいその通りです。
新(舞)「比翼さん…俺にも下さい」(ぐったり)
時(舞)「本当に対照的だな」
比(黒)「見ていて飽きんがな」
なんかこの二人本当に保父さんみたい。
比(黒)「私は今日早めに寝付くが…」
新(黒)「おうわかった」
快(黒)「夜更かしは駄目だよ、新一」
快(舞)「新一もね」
新(舞)「む〜」
剥れる二人に、比翼がくすりと笑う。
比(黒)「お休み、新一」(ボソリと耳元で)
新(黒)「…くー。」
快(黒)「はや?!」
新(舞)「俺も眠くなってきた…」
快(舞)「ええ?!」
恐るべし比翼!!

 

 

 

キ(舞)「とりあえず、寝ましょうか。」
快(舞)「そうだね。」
両サイドはしっかりとゲット
新(舞)「・・・(目をこする)」
比(黒)「どうするんだ、快斗よ。」
めそめそしながらも、新一の隣へやってくる快斗
悲しいかな、布団へと運ぶのは比翼である
キ(舞)「相変わらず、へたれですね。」
快(舞)「きっと、どうしようもないんだろ。へたれだし。」
快(黒)「・・・(涙)」
時(舞)「もううるさいから、はやく寝ろ。」
新(舞)「・・・・(もう、寝た)」
キ(舞)「新一も寝てしまいましたし、寝ましょうか。」
快(舞)「おやすみ〜。」
相変わらず寝る前のキスはする。
ちらりと見えてしまい、やっぱり涙を流す快斗黒
比(黒)「情けないな。」
時(舞)「哀れとしか、いいようがないな。」
理解していない新一はぐっすりとお休み中。
いつの間にか快斗達も寝たので
比(黒)「まったく。布団ぐらい着て寝たらどうなんだ?」
快斗黒に布団をかける。
時(舞)「一つの布団で三人って、きついだろ・・・。」
くっついて、新一の両サイドでくっついて寝ている二人をみて呆れる
時(舞)「動くと面倒だから、布団で重しにしておくか。」
二人の分の布団もかける。ちゃんと、端で体が出ないように。
やっぱり、この二人は保父さん?
比(黒)「さて。我等も寝るとするか。」
時(黒)「そうだな。寝れる時に寝れるのが一番だしな。」
ということで、全員就寝。
でも、やっぱりお隣では・・・。
相変わらず実験は続けられていたのだった。

 

 

 

朝です。
べーこんのやけるいい匂いがします。
新(舞)「んー?」
時(舞)「あ、起きたか?」
新(舞)「はれ?ほひや…」(寝惚け中)
快(舞)「あ、新一おはよ〜」
キ(舞)「いい朝ですね」
そう言って同時にキス。
快(黒)「新一〜朝だよ〜」
新(黒)「う〜ん…あと二時間五十五分…」
快(黒)「ほとんど三時間だってそれ。駄目。起きるの!」
新(黒)「むー。」
快(黒)「ぐはっそんな可愛い顔しないでよ…(汗)」
快(舞)「へたれめ」
キ(舞)「そこで押し倒して既成事実でも何でも作ってしまえばいいのに…」
快(黒)「犯罪だー!!」
すでに犯罪者だけどね。
比(黒)「ああ、起きたか皆の衆。顔を洗って席につけ。朝食は出来ている」
新(黒)「は〜い」
新(舞)「志保たちは?」
時(舞)「まだ実験しているぞ」
まじですか?というか徹夜?
比(黒)「実験体にならないよう気をつけろ」
快(黒)「ぎっくー!」
時(舞)「ほれほれ。さっさと顔洗って来い」
やっぱり保父さん。
というかポジション的にぴったり??

その頃彼女たちは。
哀(黒)「あら、意外」
志(舞)「失敗したかしら?」
紅(舞)「解毒剤を作らないとね」
哀(黒)「どうしましょう。一個逃げたわ」
志(舞)「放っておいても彼らに取り付くでしょうから回収は楽よ」
哀(黒)「それもそうね」
なにが逃げたの!!?

 

 

 

和やかな朝食風景が広がっていたのだが・・・
比(黒)「・・・むっ?!」
時(黒)「・・・っ、何だ?」
突然感じた気配にはっとなる二人。
新(黒)「どうしたんだ?」
新(舞)「・・・何かある・・・?」
その時でした。
比(黒)「新一!」
手を伸ばしたが、遅かったかもしれない。
快(黒)「あ・・・。」
黒い物体は新一黒にくっつきました。
快(黒)「なんだか、お約束な展開になっている気がするんだけど・・・。」
時(舞)「今度は、何が起こるんだろうな・・・。」
はぁと、溜息をつきながら、時矢が立ち上がったときだった。
新(黒)「・・・かぃとぉ。」
甘えた声で、隣にいる快斗黒の服をぎゅっと攫む新一。
一同「「っ?!」」
どうやら、お子様化したようです。
快(黒)「え、えっと、新一?!」
比(黒)「どうやら、彼女達の仕業のようだな。」
哀(黒)「まぁ、当たらず遠からずってところね。」
志(舞)「逃げちゃったのよ。でも、逃げる先はわかっていたから、捕獲しに来たのだけど。」
紅(舞)「見事に変貌したのね。」
突然表れて、状況を説明する三人。
快(黒)「今すぐ新一を戻して!」
新(黒)「かいと〜、すき〜。」
ぎゅうっと抱きついて、頬をすりすりとしてくる新一。
うれしいのか悲しいのか複雑で顔が歪みまくる快斗黒。
快(舞)「ある意味、地獄だな。」
キ(舞)「思いが通じていない間は、辛いですね。」
新(舞)「・・・。」
比(黒)「で、どうやったら戻るのだ?」

 

 

 

哀(黒)「それが…」
志(舞)「体内に入ってしまっているから、取り出せばいいのだけれど」
キ(舞)「体内って…どうやって?」
紅(舞)「気体だから、難しいわね」
比(黒)「むむむ…その気体にも意志があるから逃げたのだよな?」
哀(黒)「ええ、だから余計に出てこないと思うわ」
快(舞)「出てきたら捕まるしな」
時(舞)「新一に憑いたってことは好みだったんだろうな」
新(舞)「…なあ、止めなくていいのか?」

新(黒)「えへへ〜V」
快(黒)「新一〜(汗)」
べったりな新一と生殺し中の快斗。

キ(舞)「…哀れですね」
快(舞)「だからそこで押し倒せばいいのに」
新(舞)「お前らなぁ…」
時(舞)「それが出来たら今ごろ女史たちが手を出してるだろ」
哀(黒)「容赦はしないわ」
比(黒)「快斗が新一を泣かせなければどうでもいいのだがな」
怖い怖い。
比(黒)「…哀わかった。気体を出せばいいのだな?」
哀(黒)「出来るのかしら?」
時(舞)「どうするんだ?」
比(黒)「新一。おいで」(手を差し伸べる)
すると新一はパッと顔を上げて、猫のように満面の笑みを見せ
て快斗から比翼へと抱きついていった。
新(黒)「比翼だぁ〜」
比(黒)「よしよし」
快(黒)「ホッとしたような寂しいような…」
快(舞)「へたれ〜」
快(黒)「喧しい!」
比(黒)「さて新一。暫し目を瞑っていてくれ」
新(黒)「にう?」(目を瞑る)
比(黒)「さて聞こえるかな新一の中で安全を貪っているよくわからない気体。今すぐこの体から出て行かないと鉄拳が飛ぶぞ?舐めてもらっては困る。こちらは伊達に幾千年生きている
わけではないのだ。魑魅魍魎の跋扈する時代も知っている。札を張られたくなければ五秒以内に出て来い」
魑魅魍魎って比翼さん…(汗)
比(黒)「1.2.3.4」
快(舞・黒)「「早!!」」
瞬時、新一の中から黒い気体がすごい勢いで飛び出してきた。
快(舞)「あ、でた」
新(黒)「あれ?…てうわあああ!何で俺比翼に抱きついてんだよ!!////」
快(黒)「意識なかったのね…」


きゅぽん。


志(舞)「回収完了ね」

 






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