扉をあけたらそこはジャングルでした。
新(魔)「…」
快(魔)「…」
新(魔)「…」(ぱたん)
快(魔)「…新一」
閉じても結果は変わらなかった。
いつの間にか扉だけ、不自然に置かれている状態だ。
三百六十度、ジャングル。
何かおかしな雄叫びとか不気味な気配とかがする。
快(魔)「あのさあ、もしかして…」
新(魔)「…ああ、この間の経験に似た体験かも知れん」
何度か扉を諦めきれずに開閉させていた新一だが何の変化もみられないのにとうとう諦めて、辺りを見渡す。
…つかジャングルって…。
快(魔)「…無人島かなぁ…」
新(魔)「…あいつら居るのかな…」
もしかして別の世界とか?
快(神)「どこだここはー!!」
新(神)「見事にジャングルだな…(汗)」
バ(神)「何か別世界見たいだぞ」
動揺する快斗と、結構呑気なバードと新一。
おかしい。彼らはただ道を歩いて角を曲がっただけなのに…。
バ(神)「…おかしいな。何の気配もなかったんだけどな」
さすが人外。でもわからなかったみたいです。
快(神)「おいお前!!実は気付いてたけど面白そうだから放っておいた、何てことはないよな!?」
バ(神)「ありえそうだけど新一が困ることは基本的にはしない主義だ。基本的には」
快(神)「信用できねー!!」
新(神)「お、お前ら」
がさがさ
一同「「!!」」
がさがさがさ。
快(神)「…獣とか?」
新(神)「ジャングルだしな、居るだろうな…」
バ(神)「…」
がさ。
新・快(神)「「わああああ!!」」
大絶叫。
?「「うわぁぁ?!」」
新(魔)「って、人?」
快(魔)「あ、本当だ。」
バ(神)「可笑しいな。新一は一人っ子のはずだったのだが・・・。隠し子の双子か?」
新(神)「違うな。正真正銘、俺は一人っ子だ。」
快(神)「じゃぁ、これは見間違いだな。」
対面した同じ顔。
だが、死神’sは見間違いだと回れ右。
新(神)「さて。どっちに行ったら帰れるんかなぁ。」
と、すたすた行ってしまう二人(三人)を呼び止める二人。
新(魔)「ちょっと、待って。」
快(魔)「現実逃避しないで〜。」
ちなみに、何とか呼び止めましたが、彼等は死神なんてものは見れないので、二人だけしか見えていなかったり。
ということで、一応その場に座って話を交換し合う事に。
そうして、どうやらどちらも突然ジャングルにやってきてしまったという事がわかったのでした。
新(神)「困ったな。なぁ、バードは何かわかんねーか。」
バ(神)「どうだかねぇ。・・・なんだか向こうの方に何かいるみたいだけど?」
快(神)「え〜、獣?!」
もしかしたら、まだ出てきていない例の人かもしれないよ?
新(魔)「ともかく獣は今は置いておいてだな。」
快(魔)「お前等、さっきから何と会話してるんだ?」
もう一度言いますが、普通の人には死神なんてものは見えないんです。
新(神)「そっか。」
ぽんっと手を打つ。
そして、がしっと両手それぞれ二人の手を攫んで、俺の背後にいる奴とにっこり言う。
すると、いままでそこには何もなかったというのに、物騒な大きな鎌を持った真っ黒のマントを靡かせて浮いている男がいた。
新(魔)「・・・ま、今更だしな。」
快(魔)「驚くけど、前にもっと驚く事があったしね。」
あれは強烈だしね。もうジャングルでも生き残れるぐらいの人達でしたし。
新(神)「それにしても、暑い・・・。」
一応、ジャングルなんで、熱帯で太陽はさんさんと照って、いくら影でも蒸し暑いです。
快(神)「大丈夫だよ。倒れてもしっかり看病してあげるからね。」
目の前でのいちゃいちゃ。
快(魔)「・・・もか・・・・・・お前等もか!」
一応、彼等以上に甘いらぶらぶなばかっぷるさんですから。
新(魔)「何を叫んでるんだ?」
バ(神)「気にする必要のないことだ。問題はない。」
新(魔)「そうか。」
バードは死神なので、すでに例のパソコンで調べて二人のことは認知済み。そして、もう一人の危ない存在の事も・・・。
バ(神)「もう一人の人に会いに行くべきかな。」
そっちの連れだろと言われて、少し固まる。
快(魔)「なぁ、どっちだろ。」
お隣さんでも怖いし、例の人だったらもっと怖い。
新(魔)「困ったな。」
そんな中でも、二人(神)はいちゃついて熱々だったり・・・?
会いに行く、というか発見したバード。
発見されたのは。
圭(魔)「あれ〜?今度はどこの人?」
圭さんだった。
快(魔)「前とは違う人たちだから!」
圭(魔)「え、残念。不思議新一君いないんだ」
新(神)「不思議新一?」
快(神)「なにそれ。確かに新一は不思議だけど」
バ(神)「それとこれとはちょっと違うんだな〜」
あ、やっぱりパソコンでわかってるのねバードさん。
…あんた便利だね!?
圭(魔)「う〜ん。それにしても運がないね快斗君。それとも単に君が他の人たちと比べて積極性がかけている所為なのかな?」
快(魔)「うるさーい!!」
圭(魔)「次があるとしたら同じく片想いの所だといいね」
快(魔)「だ、黙れ!!////」
新(魔)「お前ら仲いいよな〜」
新(神)「…違うと思うぞ」
快(神)「ああ、なるほど。だからさっきから妬ましげな視線を…」
ああ、情けないね快斗。でも大丈夫。向こうの彼よりはまし。
快(魔)「(ぜいぜい…)ここ、無人島ではないみたいだよ。獣ばかり見るけど罠の跡もあるし…」
新(魔)「見つけにくいけど足跡もあるな」
新(神)「かすかだけどな」
快(神)「というかここ日本?どこの国だろ…」
新(魔)「地球上かどうかも不安だけどな」
だね、よくわかんない植物とかあるし。
圭(魔)「哀ちゃんたちは?」
バ(神)「ちょっとはなれたところだな」
圭(魔)「ふーん。でさ、君って何?」
バ(神)「見えてんだ…すごいなぁ。と言うか今まで見えていたにも関わらず突っ込まなかったあんたがすごい」
圭(魔)「この暑いのに黒尽くめで大鎌を持った空中飛行している怪しい人は誰ですかって?死神?」
バ(神)「正解。――後ろの子もばっちり見えてるぜ」
圭(魔)「…へえ」
冷笑。
快斗が悲鳴をあげかけた。
快(魔)「(見えてても言っちゃ駄目ー!!)」
うわ怖い。
バ(神)「そんな眼でみるのやめてもらえない?」
圭(魔)「そんなことないよ。ただ羨ましいなぁって。」
羨ましいだけの目じゃないって、それ。脅しだってば。
バ(神)「知ってる?死神の特権。」
圭(魔)「死神じゃないから知らないね。」
快(魔)「怖いよ〜。」
新(魔)「確かにな・・・。」
目の前で繰り広げられる笑顔でのにらみ合い?
新(神)「お前、なにやらかすつもりだ?」
バ(神)「ただ、新一と同じようにちょっとね。」
快(神)「でも、肉体はもうないんじゃないの?」
ぴくっ
バ(神)「死んで間もない頃だったら、俺が生き返らせることは不可能じゃない。だが、あれは時が経ちすぎて、肉体も既に滅びたもの。どうしようもない。新一の時とはまったく違う。」
だからと、圭の方を見る。
圭(魔)「何?」
バ(神)「あんたの言う『不思議新一』とは違うが、俺もそれに近い力は持っている。あっちは聖なる力だが、こっちは死の力という違いだがな。」
願えば今回は特別でかなえてやると言う。
バ(神)「だが、一つだけ約束してほしいことがある。」
圭(魔)「でも、どうして他人が願いなんかかなえてくれるのかな?」
何か下心でもあるの?
バ(神)「以前、下級の死神がお前と会ったはずだ。」
圭(魔)「そういえばそんなこともあったね。」
バ(神)「俺と同類の死神だが、階級が違ってね。放っておこうと思ったが、どうもおいたが過ぎてね、始末するつもりだったんだ。」
それに巻き込んだお詫びだと言う。
圭(魔)「へぇ。死神にも良い奴がいるんだね。」
面白そうに見ている。
バ(神)「だが、一応は規律違反だ。俺はそれぐらいいつものことで上も煩いが最終的には何も言わないからな。」
だって、時期死神帝王だし。
バ(神)「新一と快斗を離さず、何か会った時に守ってくれると約束してくれるのなら、その背後にいる少女をこの世界でいる間は会えるように魂をこの場所に繋げてやろう。」
新一と快斗を守るのもこの世界の間だけでいいからな。と付け足すことも忘れない。
快(魔)「圭さんに条件出してるつわものがいるよ〜。」
新(魔)「やっぱり、人外じゃないと駄目なんだな。」
そうかもね。
圭(魔)「青海ちゃんに会わせてくれるなら、そっちの二人を守ることぐらいいいよ。ついでだし。」
ついでだってさ。
バ(神)「じゃぁ、交渉成立ってことで。・・・名前竜崎青海。女。事故により死亡。・・・これぐらいかな。」
どんどんとデータを打ち込んでいく。
圭(魔)「なんでそんなに知ってるわけ?」
バ(神)「死神なんで。人のデータは全て頭に入ってるんだよ。仕事以外でも、たまには役に立つんでね。」
くすくすと見せる笑みはなんだか悪徳業者みたいだ。
バ(神)「これでよし。」
カチャッと、最後のボタンを押してぼそりと秘密のキーワードをつぶやくと。
青(魔)「お兄ちゃんっ。」
圭(魔)「青海ちゃんvv」
つつまじい兄弟の再会?
新(魔)「なんとか、しばらくは大人しくしてくれそうだな。」
快(魔)「そだね。」
本当にそうかな?にやり。
らぶらぶ進行中。
…というかバカップルより甘い空間?
快(神)「…(むすっ)」
新(神)「わ、何対抗してんだよ////」
快(神)「べっつに〜触りたいから触ってるだけだよ〜」
快(魔)「自重しろ!!」
快(神)「あそこで戯れている奴らはいいのかよ!?」
快(魔)「お前はあの人に逆らえるのか!?(半泣き)」
快(神)「…ごめん無理」
まだ1時間ぐらいしか一緒にいないのにね。
新(魔)「それよりも、一応哀たちを探さないと…」
新(神)「ああ、来ているのかわからないけどな」
バ(神)「来てるって。ちょっと遠いけど動いてないから、こっちから接近しましょうか」
新(神)「だな」
青(魔)「黒いお兄ちゃん」
て、バードさんのことですか青海ちゃん(汗)
バ(神)「ん?」
気にしないんかバードさん。
青(魔)「ここ、なんだかおかしい…」
圭(魔)「青海ちゃん?」
青(魔)「皆、泣いてるよ…」
青海ちゃんは浄化能力アリ。
新(魔)「何かいるのか?」
バ(神)「うようよと」
快(神)「まじで?」
バ(神)「まじで」
圭(魔)「人がたくさん死んだみたいだね…あれ?もしかして全滅してるとか?」
快(魔)「え!?」
圭(魔)「だって、人のいる痕跡はあっても気配が気薄なんだもん。ジャングルだから、そういうのって誤魔化されているのかと思ったけど、それにしてはなさすぎるから」
新(神)「…バード、どうなんだ?」
バ(神)「こいつら混乱しまくってて話してくれない」
死んだことにも気付いていないのが多いらしい。
快(魔)「…もしかしなくても、この状況ってヤバイ?」
さてどうでしょう。
バ(神)「ちょっと調べてみるか。」
ひょいっとパソコンの画面を見ながらキーを打ち込み、あいた手をその空中に向ける。
パソコンも宙に浮いていたりします・・・。やっぱり、死神に人間常識は通用しないんだね。
バ(神)「・・・へぇ、なるほどね。・・・そりゃ困った。」
あまり困った風に見えないが?
バ(神)「どうやら、ここは破滅の道を歩み、あと数時間で消滅する世界らしい。」
一同「「はぁ?!」」
圭(魔)「なくなっちゃうわけ?」
バ(神)「そうだな。死んだ事に気付いていない奴等だが、記録としては、数ヶ月前にこの世界である出来事が起こった。」
ほれっと、パソコンの画面を皆に見せる。
新(神)「・・・原因不明のウイルス?」
快(神)「次々と人々は倒れ、最後の一人となり、その男が神を恨み、皆のもとへと自殺・・・。」
圭(魔)「へぇ。人は皆死んだんだ。」
青(魔)「可愛そう。」
圭(魔)「そうだね。」
軽く言わないで下さいよ。それに、本当にそう思ってないでしょ?圭さん。
バ(神)「何かの呪いだといわれ、最後の男は恨み死んだ。それによって世界は一気に破滅へと向かう。」
快(魔)「どうしてなんですか?」
新(魔)「結局原因は・・・?」
バ(神)「その男は知らなかったんだ。この世界に紛れた別空間のものということに。」
経験したことがあるならわかるはず。
毎回事故もなく行き来することは難しい。何らかのことが起こっていないとは限らない。
バ(神)「現にお前達や俺達は無事だ。だが、他の知らない世界のことまでは知らない。」
新(魔)「なるほど。移動の途中でなんらかの事故が起こったってわけだな。」
バ(神)「その通り。力を持った何かがこの地へ現れ、一人残った男は知らずにそれを手にし、この未来を作った。」
偶然の中に潜んだ小さな歪みから起こった破滅。
快(魔)「俺達・・・。」
バ(神)「このままいけば、戻れないまま死ぬな。」
快(神)「どうしたらいいんだよ。」
新(神)「どうにもならないのか?」
バ(神)「どうにかはなる。その曲がったものを取り除いて元に戻す。無に還せば全ては白紙に戻る。」
圭(魔)「じゃぁ、そのよくわからない働いた力のもとを探して壊せばいいの?」
バ(神)「まぁ、そんなとこだな。」
圭(魔)「じゃぁ、見つけないとね。」
バードとの約束もあるし、何よりすぐにこの世界がなくなっては妹と話せないしね。
バ(神)「まず、お嬢さんたちを見つけるか。」
手分けします?
圭(魔)「じゃあ、手分けで探そうか」
そう言って勝手にメンバーを決める人。
圭(魔)「はいくじ引きV」
快(魔)「どっから取り出した」
快(神)「見えなかった…」
新(神)「快斗でもわからないのか?」
新(魔)「これはマジックじゃないと思うから…魔法とかそういうのでもないと思うけど」
新(神)「え、じゃあ何?」
新(魔)「…得体が知れないってこと」
圭(魔)「なにかいったぁ〜?」
新(魔・神)「「いえ別に」」
青(魔)「お兄ちゃん…」
バ(神)「のりのりだな」
圭(魔)「あ、青海ちゃんは僕と一緒だから引かなくてもいいよ」
快(神)「あ、ずり」
圭(魔)「ん〜?」(冷微笑)
快(神)「さてせ〜ので引こうか」
変わり身の早い奴である。
いや、気持ちはわかるけどさ…。
青(魔)「せ〜の!」
すぱ。
快(魔)「…あ」
新(魔)「…」
快(神)「仕組んだ?」
圭(魔)「やだなぁ☆くじ持ってたのは青海ちゃんだよ?(仕組み防止の為)何か出来るわけないじゃないか。よってこれは天啓だよ。神様がそうしろって言ってるんだよ。諦めようよ」
快(神)「…何か納得出来ない」
メンバーを紹介しよう。
バードと、W新一。
圭と青海と、W快斗。
見事に離れた。
新(神)「快斗…(不安げ)」
快(神)「やり直しを要求する〜!」
バ(神)「俺は別に構わないけどな」
快(魔)「新一〜」
新(魔)「分かれて探すだけだろ?一生逢えない訳でもないのに大げさだな」
結構冷静な新一(魔)
圭(魔)「さあ、探しに行こうか。僕たちはこっちだねV」
快(神)「あ、コラ引きずるな!!新一〜!!」
新(神)「か、快斗〜(汗)」
新(魔)「ほら行って来い!」(げしっ)
快(魔)「酷いよ〜(しくしく)」
泣きながら圭さんチーム(勝手に命名)は去っていった。
快斗をけりだした新一だが、ちょっと寂しそうである。
バ(神)「いいのか?」
新(魔)「探すだけだろ?メンバーを気にしていても意味がないさ」
新(神)「そりゃそうだけど。何か不安だ…」
名残惜しげな新一(神)
…うわ素直。
それがちょっと羨ましい新一(魔)だった。
バ(神)「…さて、俺たちも行くか」
ちょっと二人の絆を見せられて悲しいバードだった。
快(神)「う〜、新一〜。」
まだ、めそめそしていた。
圭(魔)「面白いぐらいに、情けないね。」
快(神)「放っておいてよ。もう、また新一がって思うと・・・。」
だって、一度死んだと言う事実を突きつけられたからね。
快(魔)「でも、お前はまだいいじゃんか。」
両思いだし、この人いないし。
圭(魔)「何か言った?」
快(魔)「何もいってません。」
圭(魔)「で、何処進む?青海ちゃんはどうしたい?」
青(魔)「向こう・・・。」
青海が指差した方角に決定。
バ(神)「見事に生えてるなぁ。生育よさそうだ。」
新(魔)「歩きにくいけどな。」
新(神)「で、何処に向かってるんだ?」
バ(神)「どこって、お嬢ちゃんのところに決まってるだろ?」
新(魔)「わかってたのか?」
新(神)「そういや、それ持ってるんだったな。」
本当、何でもありで便利なパソコンだよね。
新(魔)「俺もほしいな。」
バ(神)「死神じゃないと使えないぞ?それに、それなりに力がないと、取り込まれるし。」
新(魔)「そうなのか・・・。」
結構危険も付きまとうパソコンだった。
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