晴れて清々しい日

そんな日に学校だ何てついていない

しかも、その間は愛しい彼と離れ離れ

だというのに、この死神はついていくと遠足気分だ

変わって欲しいと思う

もう、本当にそう思う

何が悲しくて、死神と一緒にいさせて、挙句に学校の生徒達の視線が集まる中に彼を差し出さねばいけないのだ

なんだか、いつもは嫌いな事件の電話がなる事を祈ってしまう

 

 

 

 第四話 学校を早退した理由

 

 

 

すがすがしい一日のはずだが、ここはかなりじめ〜っとしていて暗い。

普段は馬鹿騒ぎをする快斗は、えらく暗くて沈んでいた。

いったい何があったのというぐらい、幼馴染は不思議に思っていた。

だが、白馬はそれを知っているといわんばかりに現れる。

「彼は、工藤君が死んだという情報を手に入れ、悲しみにくれているのですよ。」

「え?工藤君が?!」

どういうことだと、クラス中が注目する。

「実は、ショックで仮死状態になっていただけらしく、医者も動転していて気付かなかったらしいんです。」

実際は、生きていて、今日も学校へ登校しているはずですと答える。

だから、これからも自分と新一は一緒に事件を解決していくという、素敵な未来が待っているのです。と、ふざけた事をいっているが、生憎今の快斗には聞こえていなかった。

「そっか。良かったね、快斗。最近工藤君と仲がよかって心配だったんだね?!」

ばかっぷると言われる彼等だが、知られているのは新一周辺のみ。こちら江古田では知られていなかったりする。

なぜならば、放課後迎えに行くんだとHRをさぼったり、自習ならば午後の授業をサボったり、新一の身体に関しての連絡を受ければそっこう早退する彼。

理由は恋人が出来たのだろうと皆が予測する中、まさか工藤新一がその恋人だとは知らない。

白馬に関しては、新一が好きなのでふさわしいのは自分だと思っているので、まったく気付く気配はなし。

だから、新一の事を何でも知っているといわんばかりに言うのだ。

だが、快斗は新一が死んで動かないのを目撃したが、それと同時に生き返って自分の名を呼んでくれた事で喜びを感じ、今も仲良く出来ているのでこの話はどうでもいい。

問題は、学校へ行っている新一の心配だ。

そんな心情を関係をしらない青子にはわかるはずもない。

「あ〜、やっぱり、駄目だ〜?!」

すぐに早退しようと決意したが、それをすかさず幼馴染に止められる。

「今日は快斗、委員があったでしょ。お昼休みに。」

だから、さぼるのは駄目〜っと怒る。いくら新一が死んでいなかったとして、姿を確認するにしても。白馬も青子もどうやら誤解をしてくれているようだった。

話をややこしくするつもりはないので、そういうことにしておくが。

「話せ、アホ子。俺には重大な用事があるんだ!」

「駄目ですよ、黒羽君。いくら会いたくても、今は学業に励む時です。」

「なら、俺の分もお前がはげんどけ!」

「なっ、君って人は!」

そこへ、担任が教室へと入ってきた。

帰ろうとしたが、担任が駄目だといい、この前さぼった課題をするまで帰らせないと言う。

「卑怯だぞ」

「卑怯じゃないだろ。卑怯以前に、さぼろうとするな。」

ぺしっと出席簿ではたかれた。

なので、これが終われば帰ってもいいと判断し、快斗はすぐさま始めた。

伊達にIQ400もあるわけではない。課題はスムーズに進んだ。

さて、昼の委員会も終わり、五限目が始まる頃には終わるなと思った頃。

ふっと、視界に黒いものが見えた。

気のせいだろうかと思ったが、間違いはないようだ。

「なっ?!」

それはまさしく、新一と一緒に学校を見学すると朝出かけて言った死神のバードだった。

今はそんな物騒なものを持ち歩くなと新一に言われたので、あの大きな鎌は持っていないが、あのぼさぼさ頭と黒いだらしのないような服に長いマントのように身体を覆っているもの。

「な、なんで?!」

相手にだけ聞こえるように小声で話せば、とんでもない事を言ってくれた。だが、少しうれしくなる内容。

「新一のお迎えだぞ、今日は。」

どうやら、快斗が心配なのと、身体がまだ慣れていないのか、だるいので早退したらしい。

そして、いつもは迎えに来てくれる快斗を、新一が迎えに来たのだという。

「もうすぐ、門のところだぞ。」

先に連絡いれに来たんだというと、ならばすぐに終わらせてみせようと、かなりうれしそうな顔になって、仕上げる。

その突然の変わりように、クラス中が驚いていたがまったく見えていない。

バードはこの変わりように呆れていたが、あのばかっぷるだからしょうがないのだろうと判断。

賢明な判断だ。この二人がそろえば、周りは見えない。自分達の世界だ。

 

 


スピードアップして仕上げ、五限目がちょうど担任の授業で、チャイムが鳴る前に来た担任にはいっと渡して、早退しますと出て行った。

行動がとてもはやく、担任は止める事が出来なかった。

「・・・また、早退?」

すでに廊下には姿が見えない。

グラウンドを見れば、門に向かって走っていく彼の姿が見えた。

担任ははぁと深いため息をついて、チャイムが鳴ったのでしょうがなく授業を始めた。

しかし、授業をすぐに始めることは出来なかった。

「おい、あれ誰だ?」

校庭を新記録が出るのではないかというぐらいの速さで走り抜ける快斗。その先にある門の側に立っている人影。

どうやら、その迎えが来たから早退したらしい。

「ねぇ、あれ、工藤君じゃない?」

まじっと、クラス中がうじゃうじゃと窓側へ集まる。

これでは、授業どころじゃない。まったく、早退するにも人騒がせな奴だと、呆れて溜息をつく担任。

だが、その工藤という探偵の顔を見て、クラスメイト達同様に固まった。

快斗が来た事に気付いてうれしそうに笑みを浮かべて、呼んでいるらしいのだが。

それはまさに可愛いというに相応しい笑顔。

ふっと、快斗ここちらを見たかと思うと、新一とは正反対の恐ろしい形相で睨みつけて、すぐに新一の方を向いたかと思えば、走って去って行った。

ひっぱられて、どうしたんだと言う感じでだが、運動神経のよい彼はこける事はなく、あっという間に二人の姿はなくなった。

「・・・どういうことなんですか、黒羽君っ!」

いない人物の名前を叫んで、自分も早退しますと、去っていく白馬。

どうしてこう、このクラスはまともに授業を受けてくれる子がいないのだろうか。

席についても、まだあの二人の話をしている。

辛うじて、青子も残っていたが、きっとHRが終わればすぐに走って帰るだろう。本当は、早退してしまおうとも思っていることだろう。

はぁっと、今日もたくさんの溜息を吐きながら、授業を進める。

新一の滅多に見れない素の笑顔を見れた事を喜ぶべきなのか、それとも・・・。

このクラスの担任として教師として、まだ休みまで程遠い長い日々を過ごす辛さに耐えるられるのか、はぁっとまた溜息をついた。

 

 


走って家に帰ってきた快斗。わけもわからず引っ張られ、ずっと走ってきた新一。

「ったく、なんだってんだよ。」

「・・・。」

無言でかちゃりと鍵を開ける。

「あいつはただ、お迎えはうれしいが、新一が快斗に向けて見せる笑顔を他の奴に見せたくないという、心の狭い思いから、この行動に出たんだ。」

だから、気にする事じゃないというが、人の心を見透かすようにべらべらとしゃべってくれる死神に、どりゃっと蹴りを入れるが、簡単に交わされる。

「そっか。何か、俺が悪い事したのかと思った。」

迎えに来た事を怒っていたのかと思ったぞと言う。それは絶対無く、反対にうれしいので違うよと全力で否定する快斗。

「お前と少しでも一緒にいられるのなら、適わない。」

余計なものがいたとしても。害がなければ。余計なものとは、ここではバードのことを指します。

「新一・・・。」

見つめあい、まだ玄関だというのに、二人の距離は近づいていく。完全にバードは無視。

そこへ・・・。

「・・・そんなことは、部屋でやってちょうだい。」

「・・・っ?!」

「なっ、あ、哀ちゃんっ?!」

突如開いたドア。そして現れたさらなる人物。

「ど、どうしてここに?!」

まだ、お昼だ。いくら小学生でも、今日は午後の授業があったはずだ。それに、そうじもしっかりとあるはず。

「いたらいけないのかしら?」

それ以上聞くなという感じで、とにかく中に入ろうかと判断して四人はリビングへ。

少々気まずいかもしれない・・・。

 

 


「で、結局どうして灰原はいるんだ?」

「・・・答えないといけないのかしら?」

「出来たら、学校を途中で帰ってきた理由を聞きたいけど?」

新一が問えば、さすがに戸惑うのか、隠せないのか。

「・・・早退してきたのよ。どっかの馬鹿が暴走して工藤君を迎えに行って、拉致してきそうだったからね。」

「うっ。」

確かに思ってました。だが、実行できない課題が目の前に立ちはだかりました。なので、未遂です。

「それに、貴方の身体も心配だったのよ。学校へ行くとなれば、事件で呼ばれる可能性があったから。」

そういえば、そうだなと。哀はよく新一の周辺の事をを理解している。

「途中で学校を早退してくるのは眼に見えていたから。」

私も早退してきたのよと答えた。

結局、新一は快斗を、快斗と哀は新一を心配していた。

早退理由は三人とも、とっても簡単。

「それで、何もおかしなことはなかったのかしら?」

使えるのなら利用しまくる。死神でも対象は同じ。

「そうだねぇ。一人、新一と快斗の事で何か思うのか、早退した男がいたぞ。」

「・・・誰だか覚えているかしら?」

「あ〜、覚えてるよ。資料で新一の周辺の人物の事はすでに調査済みだし知ってるし。」

外の敵よりやはり内か・・・?

「あいつだよ、快斗のクラスメイトの探偵。白馬探とかいう名前。」

「へぇ、そう。」

新一の幸せを邪魔しに来るお邪魔虫ねと、妖しい笑みを浮かべる哀。間違いなく、何か企んでいる。

だが、快斗もまた、内心怒っているらしく、少し顔の表情がわざとらしい。

ある意味、わかりやすい。二人とも、ポーカーフェイスは上手いはずなのだが・・・。

「・・・犯罪でひっかからないように、見張っててくれないか?」

「考慮しておくよ。」

なんだか、事件の予感・・・?というか、完全犯罪が起こる・・・?

とにかく、今は口出しせずに大人しくしていると決めた新一だった。

 





     あとがき

 まだ、続くらしい・・・。だが、続きはあるのだろうか・・・?
 いったい、一番の敵は誰だ?!
 死神かと思えば新一の天然さだし。今度はお邪魔虫?!
 次があれば、次では快斗君(キッド)と哀のお邪魔虫排除作戦!です。



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