「あ。」

思い出したように、ロンが言った。

「彼がね、今日くるヨ。」

「彼って、店長っすか?」

「そそ、その彼。この前言ってた品が手に入ったカラ、持ってきてくれるみたいダヨ。」

そう言えば、最初に見た時もインパクト強かったなと、ファンラは店長と呼ばれる人物の姿を思い描く。

 

 

 

店長は面白い傘

 

 

 

 

出会いは唐突だった。相変わらずいきなりロンが同業者で守り人ということを知っている協力者だと、言われて顔合わせした。

「やぁ。俺様は本名長いから面倒だから店長ってことで。よろしく。」

そう言って、しゃべった赤い傘。最初は傘を持った女の人がそうなのかと思った。

だが、この傘が実は吸血鬼の一族で偉くて力の強い奴だったのだが、呪いでこんな姿になったため、守り人になれず、協力者として生きているらしい。

「俺様の恰好よさにびっくり?」

とにかく、変でうるさくて面倒そうな傘だ。

「初めまして。」

そう挨拶した女の方は普通かと思ったが、やはりこの世界に属するのは変な奴ばかりのようだ。まぁ、私も大概だと思うのであまり言わないが。

彼女も傘と同じで吸血鬼の一族だが、それほど力が強くない。その代り、スピードと身体能力が高いので、突きを得意手とした細身の剣による剣劇がすごいらしい。格闘タイプとトラップ補助の私達には足りない戦力で今後もごひいきにと挨拶したのも思い出だ。

まぁ、一度だけ元の姿に戻ったのを見た際、この傘の姿とは比べ物にならないぐらい確かに恰好いい姿であるのを見れば、吸血鬼の一族は美男美女が多いという噂も聞いていて納得したが、やはりこの傘の姿を見ると納得できない。

そう言えば、彼女がどうしてあの傘と一緒にいるのか。そう聞いたことがあった。

元々、呪いであんな姿だが、強い吸血鬼だった傘が、誰かと共に行動することを選ぶとは思えない。

しかも、使われるという立場になるなんてプライドが許さないと思っていた。

「彼女だけが、初対面で『え?』と驚いて変な顔をしたり何これって見下したりしなかったから。」

そう言った傘は、少しだけ寂しそうだった。きっと、今までそう言われてきたのだろう。

『わぁ、傘がしゃべった!すごい。』

それが、彼女が傘に対して言った第一声だったらしい。それから、彼女の微妙に抜けた天然具合に困らされることもあるようだが、気に入っているようだ。

「それにしても、いつになったら呪いが解けるんっすかね?」

「さぁ?もしかしたら、一生あのままカモヨ?それはそれで面白いヨ。」

笑うロン。ちょっとだけ可愛そうじゃないかなと思ったが、無駄に自意識過剰なナルシスト傘が、元に戻ってもあんな風に話すと興ざめしそうなので、今のままでいいかとファンラも思った。






        



あとがき
ロンの同業者。ベルセルのことを知ってる、かつて女王の剣であった古い一族出身。
吸血鬼といった、人ではないものたちに対して商売している、骨董屋のような店。
本名は長いので、赤い傘の名前は店長です。