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「知りたいのに拒む理由はない。そもそも、お前には時間もないしな。」 「え?」 そういって、彼が教えてくれたのは、ボクはすでに死んでいること。この世界では死人や幽霊だという存在であるが、何かの条件の為か実態がしっかりあること。きっと、それは長くは持たないこと。 「きっと、忘れたという望みが叶えば死ぬだろう。」 はっきり告げられる真実と、死の宣告。その上でどうするかは自由だという。 少し呆然としたが、どこかで納得できた。 ボクは記憶がないのではなく、死人だから、最初から記憶がないのかもしれない。 だって、何も知らないまま死んだとしたら、今だって何かを知っているはずがないんだから。 「望みが何かわからない。行く当てがないのなら、ここにいたらいい。ここにいて時が来るまで望みの為に生きればいい。どんなことがあったにせよ、今は確かにお前はここに『生きている』のだから。」 そういわれ、そうかとストンと心に一つの答えが落ちた。 ボクの望みは、生きることができなかったこの世界を生きてみてみたいということ。 「本当に、生きているのかな。」 「こうやって、腕をつかめば触れる。相手を認識できる。会話を交わせる。それは十分生きているだろう。心が死んでいない限り、な。」 確かに死んだ。そして、もうすぐまた死ぬ期限がくることもわかっている。それでも生きていると言ってくれるのなら、その時間をちゃんと生きていたい。そして、望み通り、楽しみだったこの世界をたくさん見たい。たくさん、出逢いたい。 「まぁ、あそこのように、ここは多少…いや、結構賑やかではあるがな。」 それでいいのならと彼は言った。 また、続けられる彼等の命がけの喧嘩。これはこれで生きているという感じがしていいかもしれない。 自然と浮かぶ笑み。これもまた、生きているということ。 生きられる間はしっかり生きようと思う。生きている人間らしく。 <TrueEnd4> |