まっすぐなボクの言葉に、男ではなく少女が答えた。

「お前はすでに死んでいる人間だ。この世界からすれば死人、幽霊という地域もあるか。とにかく、人間ではなるが、人げあるのも怪しい不安定な存在だ。」

少女の言葉はボクには衝撃的だった。けれど、すとんとボクの中に入ってきて納得できた。

だから、あれだけ歩いたのに、疲れた気がしないし、よく考えたら人間なら当たり前の食べることや寝ることをしていなかった。

「やっぱり、知らない方が良かったですか?」

「いえ、ちょっとほっとしました。ボクが何者かわからなくて。けど、ボクは死人ではあるけど、死人としてここに存在しているんですよね?」

「ああ。」

「そっか。良かった。」

ボクは先程見たあの化け物とは違うらしい。

話を聞いていけば、世界のことをあまりに知らない。さすがにそのことに二人とも驚いていて、わからない以前の問題に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

その時、やっとボクは思い出したのだ。

ボクはこの世界にまだ生きていない存在で、この世界を何も知らない何もわからないのだと。

「成程。死神に猶予を与えられた、生まれなかった子どもか。」

世界をみたい。日々おなかの中で聞いていた夢物語を楽しみにしていた。その願いが叶わない時の絶望。

そんな時にボクへ舞い込んだ幸運。短くてもいい。ただ、世界をみたい。

「なら、しばらくこの喫茶店で働きますか?」

「え?」

「ここはある条件下の際にしか開けていません。けど、貴方がこの世界を知るために人と関わる場所として、しばらくこの場所を開けてあげます。」

どうですかと聞かれ、少し迷ったけど、ボクはお願いしますと言った。

その日から大変だけど楽しかった。

ここには白灯という少女とボクの指導をしてくれる白城以外に真代と司狼という二人がいた。

まったくのバラバラの存在。かみ合わないことも多い、個性的な四人。けど、結局仲がいい彼等の傍で、お客をもてなしたり、調理をしたり、楽しかった。

ありがとうと言われることも、おいしいと喜んでくれる料理を作るのも、はじめてのことで楽しかった。そんな日々が続くといいなと思ったけど、すでにボクは理解していた。

もうすぐ、ボクはこの世界と別れなければいけないことを。

「今日まで楽しかった。まぁ、うるさくて迷惑なことも多かったがな。」

そういって、白灯が用意してくれたお別れ会。こういった会も初めてだ。けど、嬉しかった。

彼女が言うには、本来なら経験するだろうお誕生日会みたいなものだということだが、そうやってボクのことをきにかけてくれたことが嬉しかったんだ。

「次にまたこの世界に戻ってくることがあるのなら、ちゃんと顔を出せ。いいな。」

今日まで買い出しに行けば当たり前だった。

いってらっしゃい、いってきます。

おかえり、ただいま。

それを、当たり前のようにまた言ってくれる彼等。ありがとうと言って、ボクは最後の晩餐を楽しんだ。

次もまた同じ母の元に、そして、何者であっても迎え入れてくれる彼等の元へ帰れたらいいなと思いながら、僕は永い眠りについた。

 

TrueEnd-3

 

人との関わり方を知って見送られるEnd