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そこに先程の少女と、大柄の男がいた。 「あれは、何をしてるんですか?」 近くにいた男に問いかけると、新入りか?と聞かれて頷くと、武術訓練もかねた実習だと教えてくれた。まぁ、今やりあっている二人はある意味趣味で訓練のレベルではないがなと言われ、それに納得した。 「けれど、人の戦いを見るのも勉強で、違いやちょっとした気づいたこととかで、学べることも多い。だから、休憩の間の彼等を誰もが休憩せず見ているのだと言っていた。 ボクも、其の後訓練がはじまってもそこでぼんやりと彼等を見ていた。 「今日は終わり。」 男がそう言い、皆で頭を下げ、一斉に片づけをはじめだす。 ふと、ボクに気づいたらしい男がこちらへきた。 「ずっと見ていたようだが、やりたいのか?」 「えっと、その。ボクはボクがわからないから、目的がしっかりある貴方達が少しうらやましいなと思っただけです。」 これの結果どうするかではなく、それを己の意思でやると選びその目的の上で自らやる彼等の姿は今のボクにはないものだ。 「そうか。なら、いろんな街をまわってみればいい。世界をみればいい。そうしたら、興味ひかれるものがあるかもしれん。」 世界をみる。その言葉がボクの中にストンと入ってきた。それと同時にそうかと納得した。 「ありがとう。やりたいこと、わかったかもしれない。」 「そうか。」 男に礼を言い、ボクはそこから出かけた。 目的地はない。ただ、世界をぶらぶら歩くだけ。元々、ボクの願いはそれだった。 時間がないのはわかっている。だから、少しでも多くこの世界をみてみたい。だから、ボクは今日も歩く。 醜い姿もたくさんあった。けど同じくらい温かくて優しい姿もあった。 これが世界。ボクがずっと望んで、生きられない世界。 「もうすぐ、会えるかな。母さん。」 その時がくるまで、ボクは今日も進む。 <NormalEnd5> |