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「ああ。この子、迷子みたいなんだ。そういや、どこから来たのかわかるのかい?」 質問に首を横に振り、名前もわからないのだと答えると、困ったねという。 「じゃあ、今度町へ行くからついてくるかい?」 帰る家があるのならと言ってくれた男に断りを入れると、笑ってそうかといって、女に何かを言って受け取り、そのまま去って行った。 「行く当てがないのなら、ここに好きにいればいいさ。」 「いいの?」 さっき、ボクが記憶がない理由も、食事をしたことがなかった理由も、彼女に対して母親がこういうものなんだと感じる事も、全て理由がわかったが、結局行く当てがないことに変わりない。 だから、追い出されることがないのならここにいたいと思った。 「ああ。ここの主様は、悪意を持ってここに入ってこないのなら、いたいだけいたらいいっていう主義だからね。その代り、出ていきたい奴を止めはしないし、自由だ。」 ま、だからといって適当に放置されるわけじゃなく、こっちのことをちゃんと考えてくれるいい人なんだと話す彼女はとても楽しそうだ。 「何だかね、ちょっとあぶなっかしいところがあるけど、やっぱりとても強い人だ。私ではの人の親のようになれないけれど、こうやって食事で助けることができる。」 それが毎日の楽しみだと話してくれた嬉しそうな彼女。それを見てボクも笑みが浮かぶ。 それからボクはここの主という人に逢って、ここにいたいという趣旨をちゃんと伝えた。 さすがに墓をちゃんと造ってやるという一言には驚いたけど、主にはボクのことバレていたみたいだ。 けど、追い出されなくて良かったと思う。 そのままボクは時々厨房を手伝いながら、そこにいるいろんな人といろんなことをした。 終わりのときがくるまで。 <NormalEnd3> 幻神楼で過ごす日々End |