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「無理して知る必要はありません。ただ、私たちが知っているのに、貴方だけが知らないのは不公平だと思ったからあなた自身が望むのならと思っただけなので。」 忘れて下さい。彼はそういった。それで、話が終わりで、他の二人を紹介すると背を向けた。 どうしてか、ボクは彼の腕をつかんでいた。 「どうしました?」 「あ、えっと。その。ボクは確かに知りたい。けど、知ってしまうと何か…怖くて。ごめんなさい。けど、ボクがこのままじゃいけないと思うから、教えてください。」 そういったボクに男は少女と目を合わせ、頷いた。 「わかりました。」 そういって男は優しく笑い、席に座るように勧めた。 「貴方は、確かに人間です。そして、私たちは『人間』ではありません。少々人間以外の遺伝子を含む種族です。」 「そう、なんですか?」 「はい。それは長くなるので後にしますね。それで、貴方は確かに人間で私たちのように特殊な遺伝子を含んでいるわけではありません。けれど、近いうちに必ず死んでしまう。それは確かでしょう。」 「ボクが、死ぬ?」 死という言葉がボクに何かを警告する。 「貴方は人間ではありますが、すでに死んでいる人間です。私たちは死人、幽霊といった表現をしますが、貴方もまた人間でありますが人間ではない存在です。」 そのことについて覚えてますか?その問いかけに、少し考えたボクはどうしてここにいることになったのかやっと思い出した。 「ボク、確かに二人がいうように、死んだ。生まれる前に死んだから、死んだという表現はちょっと違うかもしれない。」 「そうですか。」 「ボク、楽しみだった。お母さんがどんな人で、中で聞く外の世界がどんな世界なのか。」 知りたくて、頼んだ。一度だけでいいから、と。 「そうか。」 「なら、この喫茶店でしばらく働いてみませんか?」 「え?」 突然の申し出に頭がついていかない。 「この喫茶店はある条件下でしか開店しません。現在も条件に合っていないので開いてませんが、あの男が来るから入口としてあけただけです。」 ただ、世界が見たいのなら、その時間がまだあるのなら、その時間の間、ここから世界をみればいい。実態がある状態でうろうろしたら不審者でややこしくなっても困るからという彼等の配慮に礼を言って、ボクは喫茶店で働くことになった。 「ったく、今日も鬼だな。疲れたー。」 そういって、閉めた店内でぐったりする真代という男。普段女のような恰好をしているが男だ。あれに関しては気にしないで下さいと白城に言われたので今も聞いていない。 「そう思うだろ?」 「え、えっと、厳しいところもあるけど、いい人だよ。」 「だーわかってるよ。悪い奴ではない。だが、『俺』には鬼だ。」 そういって文句を言いだす真代。ボクは苦笑するしかない。がたがたと少し先の壁の後ろで震える司狼と、あと少しで真代の傍にやってくる鬼と言った白城の存在に気づくまであと少し。 今日も賑やかな一日。 喧嘩もたくさんしても、文句を言っても、結局彼等は仲がいいんだと思う。 お迎えが再びくるその日までボクはこの大好きな喫茶店で頑張ろうと思う。 <NormalEnd-2> 喫茶店で働きながら過ごすEnd |