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外は暑いからねと渡されたそれは、少し埃っぽかった。 けど、少しわくわくしていた。きっと旅をしながらの商売は大変なのだろうけれど、何もわからないだけじゃなく知らないボクにとってはすべてが新鮮で興味深いことであることにかわりないから。 「おんや〜?それは誰っすか?」 「ああ、ゆうが預かってくれってさ。」 「ふ〜ん。ま、何でもいいっすけどね。」 さっさと行くっすよ〜とテンションハイな二人について、ボクも足を進める。 あれから数日が経った。あの後ゆうと呼ばれた女が一度きたが、このまま彼等といたいならそうしたらいいといって帰って行った。 だから、ボクは知らない。そして、気づいたとき、ボクはもうこの『世界』にはいない。 「それにしても、残念だねぇ。」 「そうっすね。」 「でもま、それも世界の理であり、矛盾だしネ。仕方なーイ。」 今日この日、どうあっても死ぬことが義務付けられた魂。 「人間である限り、寿命は短いから、時間は大切にっすよ。」 「だね〜。」 二人が手を合わせる墓標に刻まれた名前。死んだ彼を指すけれど、決して誰のものか知る者しかわからない名前。 『迷い子』ここに眠る。 見渡せる広い大地の上に建つそれは、死後も彼の望みである世界を見渡せるようにと彼らが最後の優しさ。 <NormalEnd-1> |