おいしくなーれ

 

 

植物にだって心がある。だから、人の言葉を聞いているのだ。だから、愛情込めて育てれれば、それに応えるように育つ。だから、私、シャルテはそんな不思議を研究するために生きることにした。

けれど、周囲からは私は変人で、作物を育てながら独り言を話す奴で、結果がはっきりとでない研究はいらないと捨てられた。けれど、研究はどこででもできる。植物はどこにでもあって、言葉をかければ応えてくれるものなのだから。

独自で森の中で自作農園をしていたら、出逢ったのだ。ここの主である冥鎌と。

私の育てる植物を褒め、育て方がわからなくて四苦八苦してる連中がいるから教えてやってほしいと頼まれ、やってきた。別に、場所は何処でも良かったから、ここでやってもいいという彼の申し出を受け、今私はここにいる。

研究施設より自由だし、作ったものをおいしく調理して食べてくれる連中がたくさんいて、あの頃より楽しんで作業をしている。

「今回のもうまそうだな。」

そう言って声をかけてきたのは警備長のセイレ。よく調理場で料理したりお菓子を作ったりして、冥鎌に料理を提供している。何でも、好きな奴においしいと言ってもらえることが好きなんだとか。だから、妹である同じ警備長のネルタと冥鎌は別枠で優先的に作っては食べさせて喜んでいる。時々変態なんじゃないかと思う。

それは、以前一度ここを訪れた作家も思ったらしく、何でもベタ惚れでらぶらぶなんだとか。いまいちわからないことをたくさん言っていた気がするがどうでもいい。

結局は、あの男は冥鎌に懐いているという結論が出ていればそれ以外どうでもいい。だって、ここの住人なんてみんなそうだ。

主である冥鎌の敵でなければ何でもいいのだ。

「もうすぐしたら収穫できるぞ。」

「楽しみだ。何を作ろうか。主様は何でも食べてくれるっすから。」

本当に嬉しそうだ。時々、変態というよりも犬みたいに思えるのも間違いではないと思う。

「ん…どうやら、罠にかかった馬鹿がいるみたいだ。」

「あーあの悪趣味な怪物か。」

「怪物だとは失礼な。トラップ用の可愛い食虫植物達だ。」

改良しているから、呑み込んで溶かすことはないから、人が死ぬことはない。ただ、捕まって動けず逃げられないだけ。

「私だってな、此処を荒らされるのは嫌だからな。」

それに、植物達も、こうやって平和にすくすくと成長できる環境を気にいっている。だから、邪魔する奴は私にとっては敵なのだ。

「ま、何でもいいけど。ちょいと俺はその面倒な奴等の相手しにいってくるっすよ。」

じゃーなと去っていった彼を見送り、私は今日も植物達に話しかける。おおきくなあれ、おいしくなあれ、と。

今日も平和な一日が過ぎて行く。