まったく終わりが見えない繰り返される日常。

繰り返し、払い続けても、見えてこない終わり。

本当にこんなことをして役に立つのか。そんなことを考えていた。

 

 

 

祓い屋怪異奇譚

 

 

 

一度だけ、聞いたことがある。

祓い屋として先に一人で仕事をするようになった、兄が家に帰った日のことだ。

「祓い屋って本当に必要なのかな?」

その問いに、困ったような笑みを浮かべて兄は何かを言った。けど、その答えを忘れてしまった。

祓う過程で、命を落とすことになった今も、兄の最期のあの言葉を思い出せない。

「目が覚めたか?」

どうやら、気を失っていたようだ。しかも、知らない場所にいて、知らない人物が目の前にいた。

「あの、ここは…それに、貴方は…助けて下さったんですか?」

記憶を振り返れば、雨で緩んだ地盤によって、足場の悪かった岩場が崩れて落ちたとこまである。つまり、今生きているのなら、この人に助けられたということなのだろう。

「ここは幻神楼。私は冥鎌だ。生憎今日は雨で転んだ怪我人が多くてな。医務室が混雑していたんだ。」

もう少ししたら手が空いた方の医者が見てくれる。それまで急ぎの体調不良や異変がない限りまっててくれと彼は言った。

「大丈夫そうです。腕も足も動くし…。あ、えっと、助けていただいてありがとうございます。」

本当は最初に言うべきですがと言うと、気にするなと彼は言った。

「それで、お前は何故あんなところにいた?」

「あ、小生は、食物の栄養や見た目のデコレーションといった方向を今学んで…好きなことしようと思ったんだけど、やっぱり稼業の祓い屋のことも気になって…あそこ、少し前におかしいからって依頼があって…。」

話して、よくわからないものに対して理解してもらえると思えない。だが、嘘はつきたくない。

とにかく、本当のことをと、本業としては栄養学やお菓子や食事のデコレーションといったことをしているが、時々祓い屋稼業の依頼も受けて動いて、あそこに赴いたときに滑ってこの結果だと話すと、なるほどと納得した男は、祓い屋の屋号を知っていた。

「数年前に亡くなった籠香-ろうがの当主は身内か?」

「籠香のこと、知ってるんですか?刻鈴とその分家、流千、セイホウ教会の方が有名だと思いましたが。」

あげた名前は、まだ遭遇したことがないが、祓い屋としては有名でその道ではよく知られている名前だ。

「知っているが、刻鈴と流千はそもそも祓い屋として動くより、別の方で動いた結果、祓い屋のような役割を果たしているだけで、本業として扱うお前たちと同じだとは思えないがな。」

「知ってるんですか?」

「ああ。一応な。」

会ったことのない、むしろどこに本拠地を置いているかわからないようなその二つのことも詳しい男に、素直にすごいと思う。けど、同時に怪しいと思ってしまうのも仕方ないと思う。

だって、普通に生活している人にとって、祓い屋なんてものは、会う可能性なんてほとんどないからだ。

「助けていただいた身ではありますが、貴方はいったい…何故、知って…?」

「ああ、そう言えば、まだここのことを言ってなかったな。」

そう言って、男はここがどこなのか教えてくれた。それは、小生にとっては衝撃的な事実だった。

「まさか、ここがあの幻神楼なのですか?」

有名すぎる、聖域としても、要塞としても名高い場所。祓い屋としても、話題としてあがるその場所にまさか自分が足を踏み入れているとは驚きだった。

その時、ノックとともに、入室してきた男と女がいた。

「ああ、お前たちか。悪いな。」

そう言って、彼等から受け取る食事。どうやら小生の分のようだ。

「目が覚めたんっすね。」

「生きてる。良かった。主様、心配してた。」

よろしくと名乗ったセイレとネルタの二人は、仕事に戻ると言って、すぐに出ていった。

「あの二人は…?」

「普段、ここに賊や悪意を持つ連中の侵入から住人を守る為に警備してくれているんだ。」

だから、いつも安全で、その信用から、他の住人達は安心して自分のやることをできる。そういう彼に、少しだけここがうらやましくなった。

祓い屋は人手もなければ、力ある者も少ない。そして、単独で、重すぎる仕事で命を落とす者達もいる。そうなれば、失敗として扱われ、信頼もなくなる。

何度、今の祓い屋としての在り方に疑問を持ったことか。どうして、一人で多くを背負わなければいけないのか。

確かに、人が困る程、人ではないものの厄災も多い。だが、それ以上に人が人ではないものの領域を犯したのが悪いのだ。

それなのに。

仕事の結果で、兄は死に、兄の死を冒涜される。

同じ祓い屋でも、ここのように信頼関係はない。完全に一人きりの戦い。

「いいな。もし、ここみたいだったら、兄さん、死ななくても良かったんだろうか。」

「さぁな。人の人生なんて短いものだ。」

「え?」

「私やここにいる住人の一部は、人ではないものだ。長い時間を過ごせば、人の一生はあっという間だ。それでも懸命に生きる姿が美しいと思うし、うらやましいとも思う。お前の兄はどうだ?最後まで生きて生きたか?」

後悔なく生きることは難しい。どんな時でも、未練はいくらでもやってくる。一つ片付いても、次の未練がやってくる。そういうものだ。

ならば、最後まで己自身の為に己自身が望んだ人生を生きたか。もしそうなら、それは幸せだったのではないだろうか。

そう、彼は言った。小生はそういうことは考えたことはなかった。

けど、はっと兄の言葉を思い出した。ずっと思い出せなかった空白の中にある言葉。

『必要かどうかはわからない。けど、やりたいと望んでやってるし、これでいいんだ。』

そう、兄は言った。そして、小生にはやりたいことがあるなら、家を継がなくてもいいとも言った。

「兄さん、本当に良かったのかな?」

「さぁな。俺にはわからない。だが、やっていたことを誇りを持ってやっていたのだろう?」

なら、そんな兄を誇ればいい。そして、兄の誇りを守り望むなら選べばいい。だが、もう一つのやりたいことをやり遂げたいのなら、それを選んで進めばいい。中途半端にしてしまえば、きっと兄が心配してしまう。

「ま、とにかく。目も覚めたことだし、もう少しゆっくりしていくといい。」

立ち上がる男。どこへいくのかと問いかけると、小生が依頼された場所へ行くのだという。

じっとしておけといわれたが、小生もついていくと頼み、その場所へと戻った。

おかしい原因。確かに違和感は感じるが、その程度の場所。

「空間が歪んでるな。」

「わかるのか?」

「ああ。お前だって、それぐらいはわかってるだろ?」

「でも、わからない人の方が多い。」

「そうだな。だから、俺やお前みたいなのは生き難い世界ではあるな。」

そう言って、彼は何もないところで何かをつかむ仕草をした。

「原因はこれか。」

そう言って、つかんだものに何かの術をかけると、小生にもそれが見えた。

今まで見えなかったものが見えた瞬間、小生はこの依頼よりも男に対しての興味と簡単に見えないものを捕まえる力に恐れを持つ。

やっと、わかった。どうして小生が祓い屋を継ごうと決心がつかないのか。それは、小生が全て見えるわけではないのと、その力がないこと。そして、その対象に対して、多少なりと恐れを持っていて、その心の迷いがあったからだ。

きっと、兄はそのことを気づいていた。だから、継がなくてもいいと言ってくれたのだ。

「どうした。」

心配そうに話しかける人。気づいたら泣いていたようだ。ごめんなさいと謝って、拭う涙。

やっと思い出した兄の言葉と、結局最後まで兄に心配されて、兄は小生の為に道を選べるようにしてくれたのに、決められないままずるずるいて、それに気づかないことに、気遣いが嬉しかったことより情けなくて。

「何でも、ないんです。ただ、小生はずっと思い出せなかったものを、やっと思い出して、そのことをやっと理解できた。それが嬉しくて、悔しくて…でも、改めて祓い屋として仕事をしてみたいとも思えて。」

何いってるのかわからないですね。ごめんなさいといいながら、もう一度拭う涙。

「それで、それは何だったんですか?」

「ただの迷子だ。異界から穴に落ちてこっちにきて、帰ろうとして空間を歪ませていただけだ。」

これは後で、異界の責任者に引き渡すと言って、もう手を放していた。どうやら、話しをつけて、ついてくるように言ったので、攻撃もしてこないらしい。

「本当にすごいですね。あの、小生に祓い屋のこといろいろ教えてもらえませんか?」

この人は、祓い屋を知っているだけでなく、見えている。きっと、小生も知らない原理もよく知っていると思った。だから、家を継ぐのではなく、兄が誇りを持ってやってきた仕事を理解したい。その為に仕事をやりたい。だから、家ではなく、それ以外で詳しい彼に教わりたいと思ったのだ。

それに、今だからわかる。この人が、小生が最初に思っていた以上に強いということが。

「小生は翔世といいます。貴方の名前、教えてもらえませんか?」

そういえば、互いに名乗っていない。だから、小生は改めて尋ねると、教えてくれた名前。

それは、あの幻神楼の主の名前だった。

 

 

 

 

あれから、どれだけの月日が流れたかわからない。

けれど、家を出た後、ここにいて良かったと思う。それに、自分にとって尊敬でき、そして信頼できる仕事仲間もできた。もちろん、それは祓い屋ではないけれど。

「奏鈴さん。次はこんなのどうですか?」

そういって、提案したレシピ。いくつかこうした方がいいかもしれないという彼女の意見から、多少いじって、完成させた新しいメニュー。それを、喜んで食べてくれる住人達。そして、主である冥鎌。

今までは見習いで学ぶ身であるために試作品を作っても、食べて感想を貰えることもないし、喜んでくれる誰かがいるわけでもなかった。

だから、ここにきて、意見に対して反応が返ってきて、でもものによってはメニューとしてでて、それを喜んで食べてくれる人がいるこの環境は小生には幸せだった。

もちろん、この場所を維持するために戦うということも、知っている側だ。ただ、住んでいるだけの住人とは違う。

ここでは、警備長という者が五人いる。そして、外からいろんなものをここへ運んだり、外へ売り出す為の流通を担う担当や医療、奏鈴のような調理や作物を育てる管理者、掃除の指示者など、たくさんの者達と生活するうえで、指示を出す為に上にいる者達がいる。

上にいるといっても、威張っているわけではなく、他の者達と同じだが、誰よりも進んで楽しんでやるから、自然とそういうことをしているだけなのだろう。

小生も、気づけば奏鈴さんとメニュー開発や調理をしていく上で、副調理長だとか調理補佐という風に認識されるようになって、少しだけ気はずかしいが。

さて、話がそれたが、小生は祓い屋の仕事も続けていきたいという決意もしたので、頼んだ冥鎌から学んだ弓。

元々、弓を扱う祓い屋であるので、弓の扱いは多少あるが、やはり実戦で使えるものではないので、一から教わった。

彼は弓をメインで扱うわけではないので、面倒なことを頼んでしまって申し訳ないという気持ちもあったが、彼から教わって良かったと思う。

それは、札の扱いだ。札で雷や火、水などの効果をつけた弓を使うやり方を教わったのだ。これは家では教わらない。そして、他の連中との連携の上での守りや攻撃。

今も戦うことは慣れないし怖いとも思う。だけど、誰かと共にあることはとても心強く、祓い屋もこうあるべきだと思うようになった。そうしたら…今更のことでどうにもならないけれど、兄だって死ななかったし、小生のことを気にして兄自身が望んだことをできなくなることもなかったんじゃないかと今も思う。

兄が何を望んだかはわからない。けど、小生が結局嫌うことができないこの祓い屋としての在り方。兄も結局は好きだったんじゃないかと思うようになった。

感謝されないことの方が多い。だけど、守ることができるということ。何もかもなくすことを思えば、軽い代償だったのかもしれない。

そんなある日、作物を育てることをここでの仕事で責任者をしているシャルテという女が話しかけてきた。何でも、ある村の裏山に魔物がすみつき、その退治を依頼されたのだという。

「あくまでも、退治ということだけど、倒さなくても、村を荒らして回らなくなればいいってことだから。」

よかったら手伝ってくれない?そう誘われた。少しだけ考え、小生はここにきて初めての実戦に出た。

「あ、そうだ。今回ので一人、警備の人呼んだの。ネルタよ。」

そう言って彼女が紹介してくれたのは、目を覚ました時食事を持ってきた少女の方だった。

「あ、小生は翔世といいます。よろしくお願いします。」

じっと、少女はしばらく小生を見て、一言言った。

「影を絶つ、黒き刃。」

最初は意味がわからなかったが、祓い屋という仕事の意味では、確かに影という人から見えない人に害成すものを絶つのでそういうことなんだろうと解釈し、それ以上聞かなかった。

三人で、ついた村は、静かな村で、依頼者に話を聞きに行けば、見た目が子どもばかりで不審がって、同時に不安を持っていたが、簡単に話してくれた。その話からすると、日が暮れ始めると、現れて荒らして、時には人に攻撃したりするらしい。だから、日が暮れる前に村人は家から出ないのだそうだ。

その結果、詳しいことはわからないが、いつもくるから、すぐわかるとのこと。

「少しまわって、出てくるの待ってみます?」

そう問いかけると、ネルタという少女は必要ないといって、そのまま歩き出した。疑問だらけの小生にシャルテが答えてくれた。彼女は霊という存在が見えるから、感じる先に歩いていくのだと。

「わかりやすく言えば、直観力が誰よりも強い。だから、彼女が向かう先に必ずいる。反対に言うと、彼女が大丈夫だという場所には、悪意はない。」

そこなら、休める。だけど、常に感じる彼女は休めないかもしれない。だから、帰るあの場所が必要で、自分もまたそうなのだと教えてくれた。

どうして彼等の信頼が強いのか。どうして自ら危ないことや特にもならないことを進んでやるのか。少しだけ不思議だった。居心地が悪くないようにそう整えている人たちがいる。その人たちにとって、そうする理由は何なのか。

ただ、あの場所にいたい。それを守る為に選んだ。そういうことなのだろう。

そう言う意味では、祓い屋というものは、本当に酷いものだ。帰る場所を守りたいからやるんじゃない。だから、自分自身以外は味方にならないのだ。

「いた。あの子。…人に、子ども奪われた。怒ってる。」

小生だけでは、聞こえない、言葉がわからない魔物の本音。

祓い屋は知らない。魔物と言葉を介さないから。だから、簡単に仕事として殺せるのだろう。

むしろ、言葉を理解することができる祓い屋が少なくなったのだろう。その方がしっくりくる。祓い屋はもう、名前だけで力がない。

反対に言うと、祓い屋というものではなくても、そういう魔物と言葉を交わせる彼女や、おかしな理解されない植物を造る彼女は、外では理解されない。結果、同じ理解されない同士、だけど、理解してくれるあの人がいるあの場所へ帰りたいと望み、できることをすることでいられる代償ならばと彼等は無条件で戦うのだろう。

羨ましい。そうやって、守る意思が。思いやる意思が。

「すまない。きっと、そう言ってもお前は怒るだけなんだろう。だけど、お前のように子どもを奪われて悲しむ人を増やしたら、お前はもっと悪者になる。そう、ならないでくれ。」

話しかける、精一杯の言葉。偽善だと言われてもいい。もう、一人きりで味方のいない敵だらけの中にいるのもいやだし、恨み恨まれる関係も悲しい。

きっと、祓い屋なら、できる。そうやって恨み恨まれる関係を壊し、新しい道を繋いでやれる。

その為に、見えない奴等と見えないから理解できない人たちを繋ぐ橋渡しとしてある。そう、あるべきなんだろう。

きっと、兄は出逢ったんだ。そういう風に想える何かに。だから、祓い屋であることを誇りを持って最後まで生きたんだ。

「小生はお前たちみたいなのを助けられる祓い屋でありたい。だから、協力してくれないか?」

お前なら、小生の言葉を理解して、小生の言葉を相手に伝えてくれる。本当は心が優しい奴だ。子どもを大事に想う、強い母のようなお前なら。そう、話しかけると、こちらへ向ける殺意が少しだけ薄れた。

『我に話しかけるとはおかしな人間だ。理解する前もだが。』

小生にもわかるように、確かに話しかけてきた魔物。小生はやっと、小生の祓い屋のやり方を見つけた気がした。

「手伝ってほしい。小生は迷って、兄に何も教わらずに死に別れた。だが、あの家からはきっと教わってもろくなことにはならない。だから、教えてほしい。互いに意思があれば、理解し、話し合うことだってできる。」

無理やりなんて、したくない。そう言うと、少し考えたそいつは面白そうだから付き合ってやると言った。こうして、小生は仕事のパートナーを得た。もちろん、ネルタやシャルテといった幻神楼の住人達もそうだが、この魔物は祓い屋としてのパートナーだ。そして、友になれたらいいと思う。

『おい、気を引き締めろ。』

「ああ、そうだな。何かきてる。」

「ネル、あれはよくないもの、だから消す。」

「なら、全力でいっちゃうか。翔世も魔物君もがんばれ!」

そう言って、はじまった戦闘。シャルテの足元から生える植物が飛んでくる影を喰らい、ネルタが操る人形が叩き落とし、魔物が誘導した場所へ小生が矢を射る。

はじめての相手。だけど、どこでどうしているかどうしてかわかる。こんな感じはじめてだった。そして、やはり、人ではできないことが多く、誰かが一緒だと心強いと改めて知る。

兄にも、そう思えるように、もっとはやく選んで、兄と共に祓い屋として仕事をしたかった。

「降り注げ、雷の矢。」

空高く射た矢はいくつもの光の刃となって降り注ぐ。

「終わった。ふぅ、思ったよりたくさんいたね。」

「あれ、ここに溜まった不浄。負の感情。…主様が戦う敵の力の元。」

「そうなんだ。」

小生は知らなかったが、そういうものと戦っていたのなら、確かに祓い屋のことを知っていてもおかしくないなと思った。

「そう言えば、名乗ってなかった。小生は翔世。名前は?」

『我はフェリアス。主が望むなら好きに呼ぶがいい。』

そう言って、魔物は小生が持っていた弓に吸い込まれるように消えた。

『我は元々、長く実態を持たないものだ。しばし、ここで休む。』

そう言って、静かになった。

「天狼の一族。強い。良かったね。」

天狼と言えば、狼の種族の中でも上位に位置するもので、プライドの高い連中だ。まさかの事態に少し驚いたが、これからよろしくと話しかけると、少しだけ弓が鼓動を打った気がした。

「それにしても、これはどうするの?」

「ああ。これは大丈夫。ほら、このとおり。」

そう言って、シャルテが取り出した瓶のふたをあけると、その中に綺麗に収納された。明らかに質量とかおかしいが、突っ込んではいけないのだろう。

この世には、人が理解できないものが多い。小生だって、その一つだ。だから、彼等が何者でもいい。小生にとって仲間であるのなら、それだけで十分なのだ。

「帰る。」

「そうだね。あ、翔世君お疲れ様。今日は本当にありがとね。今度お礼においしい野菜の差し入れするよ。」

「それは楽しみです。また、メニューを考えないと。」

増える楽しみ。帰るときっと迎えてくれる人がいる。

温かいそれが、小生にとって当たり前になっていく。これからもここで祓い屋と料理人として生きて行きたいと思う。ここは決して、一人ではないし無理に一つを言わない。小生にとって優しい世界だから。