sidあるす

 


機械に心はいらない。そう言われた。




ベルセルにおいてエリア7と呼ばれるこの国、ジルマータは五つの区域に分けられている。

その中でファーストと呼ばれる区域が国をまとめる王とその臣下達と選ばれた技術者が住まう、エリートという存在の街。

セカンドと呼ばれる区域は王に功績を認められた貴族が住まう街。

そしてサルドックとフォルバは技術者と働く奴隷…自動機械人形達が住まう街だった。

つまり、ジルマータは機械化の進んだ自動機械人形を奴隷として働かせる大国だった。

そして、五つ目の街、ゼルセノスは壊れた機械の廃棄場でそれをただ積み上げていく作業をする自動機械人形がいるだけの街。

そう、ここでは自動機械人形は人と同じ姿をしていても、人と同じ扱いは受けない。

私ははじめから欠陥品だった。だから、すぐにゼルセノスに捨てられた。もののように、ただそこに積み上げられていた。

けれど、意識が切れることはなく、ただ空を見続けていた。

そこへ、一人の少年が私の前に現れた。彼はここの住人でないことは一目瞭然だった。そう、人だったからだ。

ゼルセノスには決して人は立ち入らない。人がいるのは、このゼルセノス以外で私たちのような機械人形を使う立場にいるから。

「まだ、生きていたい?」

少年の問いかけに私は首をかしげました。必要がないと言われた私です。今、生きているのかもしれませんが、いらなくなったのだから死なないといけないはずです。

「君なら、守り人の資格が十分ある。ねぇ、君はどうしたい?」

今まで、私が決めることはありませんでした。全て主が私のことを決めていました。

だから、私にはどうしたらいいのかわかりません。

「君はもう、選ぶ権利を持っている。」

彼はそう言って、私に笑みを向けました。そんなこと今まで誰もしたことがありません。

そして、彼は姿を消しました。私は待ってと言いたかったのに、声が出ませんでした。

今までそんなことがなかったのに、どうしてか私は彼に興味を持ったようでした。けれど、彼に手を伸ばすこともできませんでした。

そして私はまたそこにただあるだけになりました。

少しだけ何だかおかしな気持ちになりました。その気持ちが何なのか私にはわかりませんでしたが、主が必要ないと言った心、なのでしょう。

それからしばらくして、また誰かが私の前に現れました。今度は、会話を交わすことなく、私の知らないところにいきなり変わりました。

これにはさすがに驚きました。けれど、それ以上に目の前にいた人があの少年とそっくりだったことに驚きました。

何でも、私が世界の均衡を保つ為の守り人の一人として推薦があり、女王陛下という方からの決定が下ったというのです。

その日から一転して、私は人と同じように生きることを許されました。そう、本来自動機械人形にはありえない自由を手にしたのです。きっと、あの時の少年が今の私を導いてくれたのでしょう。そう思います。

今では同じころに作られた、使用人として働いていたけれど、破棄命令が下った私の数少ない知人とも言うべき自動人形の5-841ことやよいとエリア7の守り人として過ごしています。

あれから数十年、女王陛下が代替わりされたと聞きましたが、私は解雇されることなく、今も守り人としてここにいます。もちろん、あの時迎えに来た白城さんとも仲良くできてなかなか充実な日々を過ごせていると思います。

ですが、唯一つ気になるのは、あの時の少年がどこの誰だったのか知らないことです。

いつか会えるといいなと思っています。また、会える気がなんとなくしたので、今は守り人としての使命を果たすことを優先としておくつもりです。