先回りし、影から様子を伺えば、相手は六人だった。

そして、最初はそこまで気にならなかったが、あれは歪みの兆候をみせていた。

ならば、本来の仕事をしなければいけない。最悪の場合、彼等の命を奪ってでも、遂行しなければいけない。

そこへ、第三者の気配が近づいていることに気づいた。

「また、面倒なことになりそうだな。」

そう考えていると、あっという間に周囲の温度が下がった。

「…あいつ等、アイツを怒らせるようなことでもやったのか?」

たとえ、ただの歪みの修正の為に追っていても、彼女はここまであからさまな感じで追いかけはしない。

しかも、最初は気付かなかったが、こちらのことを警戒するより、別のものに対しての警戒が強く、こちらに全く気付く様子もない。

「逃がさんで、愚民ども。」

あの六人よりも悪役のようにご登場したゆうは、かなり怒っていた。

「うちの傑作作品壊した挙句に睡眠妨害とはええ度胸や。覚悟しいや。」

にやりと笑う、かなり悪役なゆう。

だが、彼女の言葉で冥鎌は納得した。

ゆうの趣味は裁縫だ。それも、かわいいものや綺麗なものを知人に着せて喜ぶ変人だ。

きっと、数日徹夜でやっと完成させたであろう、できれば着るのはご遠慮したいような代物を、女性が見れば素敵な代物を、あの連中は手を触れた。その結果、トラブルにより欠陥がでたあげく、徹夜で睡眠を貪っていた眠る獅子を起こしてしまった。

素直に想う。馬鹿な連中だ、と。

その姿、悪魔のごとく。全員を速攻で倒し、少しすっきりしたのか、こちらに声をかけて来た。

「こいつ等に何か用でもあった?」

「いや。このままこられて館に踏み入られては迷惑だと思って出てきただけだ。」

「そっか。そう言えばそうだね。本当、こんなとこまで逃げよってからに!」

なんて面倒な奴等なんだろうと怒るゆう。

「それで、お前はこいつ等をどうするつもりだ?」

「ん〜…とりあえず、歪みの兆候もあるし、ついでだから引き取ってもいいけど。」

今日は一人だから、少しだけ手伝ってくれると嬉しいんだけどという彼女。まぁ、彼女ぐらいならこれぐらいの人数の移動は簡単だろうが、確実迅速を考えると、人手があった方が嬉しいと言うとこだ。

「今日は世鷲や田所はいないんだな。」

「ん?ああ。今日は二人とも別件でさ。ま、明日には世鷲は来るから…それに合わせて完成させたっつーのに、この馬鹿共が…思い出したら腹立ってきよったわ。」

また、少しだけふつふつと怒りがこみ上げつつあるゆうから話を変え、とにかく移動することにした。

「ま、ここでいいわ。」

やってきたのは、彼女が根城にしている雪山洞窟の結界内の奥。

「とりあえず、ありがとね。明日世鷲がくるまでにとりあえず片づけるわ。」

心の声で、うさばらしをするというのが聞こえてきた気がした、苦笑するしかなかった。

「じゃ、またね。はやく帰りなさいよ。」

貴方の家の駄々っ子が心配して暴れる前に。そう言われて、そう言えば誰にも言わずに出てきたことを思い出した。

「そうする。」

気配が移動すれば、それに気づきはするだろうが、状況がわからなかったら、何をしでかすかわからない。

急いで戻れば、館に入る手前で、凛々の姿が見えた。

「迎えにきたのか?」

「…凛々。ゆきちゃんの気配あった。だから、待ってた。」

「そうか。…とりあえず、戻ろうか。」

コクリと頷いて、後についてくる。気配を探ればわかるから、先に一言言っておけば良かったなと。

「大丈夫。絶対とは言えないけど、まだ、大丈夫。」

「れんちゃん。」

「明日は行くんだろ?そろそろしゃきっとしなきゃ、リンテが困るだろ。」

コクリと頷き、今日はそれでも、一緒にいるといって離れないので、そのまま部屋に戻って時間を潰した。

日付が変われば、いつもの凛々。忘れる必要はないのだろうけど、彼女が心に負った悲しみの重さが、少しでも軽くなることを祈るしかなかった。

このままだと、壊れてしまいそうで恐ろしかった。

もしそうなったとき…いや、今は考える事ではない。きっと、リンテもそうさせはしないだろう。

ただ、待つしかないのかもしれないけど。

「リンテ…どうか…。」







<END>



ゆうend+++