◆ 出会うのは可笑しな連中だった+++Stage4






たこを退治してから、船旅は快適なものだった。あんなものがごろごろと出られても困るのだが、何も起こらないにこしたことはない。

そして、同じ船にいるはずなのだが、旅の『仲間達』は姿をみせない。どうせ、面白いことをしているか適当にくつろいでいるのだろ。気にしたら負けだ。そう学習した。

だが、この時シイナはまだ知らなかった。奴等にはまだ『知り合い』がいたということを。そして、その『知り合い』同士でパーティ組めばいいと言う考えを持つこともなかったのが、彼の苦労を背負う原因だろう。

ガタン。

大きな揺れと共に船体に響く音。嫌な予感しかしない。

とにかく部屋を出て甲板へ向かうと、そこには悪夢が広がっていた。

「…トーカ達いないのか?」

もしいれば、いろいろ騒がしいだろうが、退治するだろうからそういう意味では安心だったが、彼等の姿はそこにはなかった。

たこのせいか。たこで騒いだから飽きたのか?!足の数と色形が多少違うだけで、間違いなく動きや攻撃のパターンがたこと同じだ。だから、面白くないと出てこないのか。ありえる可能性に、笑えない。

とにかくシイナは船を沈められては困るので、お化けイカを倒す為に剣を構えた。

なんとか倒したお化けイカ。だが、まだ終わらない。イカの次は何故か大きな魚に手足が生えたモンスターの大群に襲われた。今日は厄日なのか。

とりあえず倒していくと、突然上空から光が堕ちた。正確には、何かが反射して光り、それがまっすぐおちてきたのだ。

運がいいのか悪いのか、モンスターの一匹を仕留めたそれは槍だった。甲板に刺さっているので、このままだと被害がひどくなりそうなので、いったいどこからと空を見上げると、何かがもう一つこっちへおちてきた。

いや、近づくにつれわかったが、それは堕ちてきたのではなく突っ込んできたのだ。

「まじ?」

かなり大ピンチかもしれない。

誰もが思わず目を閉じたが、起こるであろう惨劇は起こらなかった。

何も響かない音に、恐る恐る誰もがその方角を見ると、そこには、槍に乗った男が立っていた。あれだけの勢いがありながらも、あっさりと足場のない槍の先に片足だけで立っている男。

すっと男は槍の上から降り、周囲を見渡す。まさか、新手の敵かと警戒すると、シリアスな空気をぶち壊す声が響いた。

「あ、リュマくん。」

久しぶりだね〜と今までどこにいたのかわからなかったトーカが姿を見せた。

「もしかして、また知り合いか?」

シイナが尋ねると、いたんだと言われた。何だか微妙に酷い感じだ。だが、そんなことを気にしていたら付き合うことはできない。

「そうだよ。どっちかっていうと、私の知り合いというよりも、他の皆、なっちゃんの知り合いなわけ。情報屋さんだから、いろんな知り合いがいるんだよ〜。」

その中で付き合いが多いのが最近集まってきてるねと、さらっと教えてくれた。どうやら、この魔法使いの存在からおかしくなったのではなく、人の繋がりの運のようだ。

けれど、結局ラウナと知り合いであるトーカと出会ったからこそ今の状況なのかもしれないと思うと、やはりトーカが最近おかしくなってきた原因のような気がしてならない。

今は考えていても仕方はないのだけれども。

「それで、どしたの?」

「…主に用があって来た。」

「そなんだ。なっちゃんなら向こうにいるよ。」

「そうか。」

男はそう言うと、槍に手を触れ、一瞬でそこから消した。どうやらあの槍は魔術によって具現化された武器だったようだ。これはまた、ろくでもなくレベルの高い奴が現れたようだ。

「…それで、主とはどういうことだ?」

「ん〜説明すると長くなるから結論から言うと、情報屋は危険だから、ボディーガードってところかな。」

「…あいつ、そんなに危険なことやってたのか?」

「たま〜にね。」

ふふふと笑うトーカに、それ以上聞けなかった。きっと、聞いてしまえば何かが変わってしまう気がしたからだ。

 

 

 

 

幕間

 

「それにしても、急だったね。問題でもあった?」

「いや。だが、もしものために、と。」

男は懐から丸い物体を取りだした、ラウナへと差し出した。

「あ、ガンちゃん。久しぶり。」

丸い物体から一対の羽根が生え、ぱたぱたと飛び、真ん中に大きなまんまるの目を開いた。

「ひさしぶり〜、元気〜?」

「元気元気。」

「そっか。よかった〜。あ、これ、オルデールさんからだよ〜。」

そう元気に楽しそうに言って、丸い物体は小さな紙袋を渡した。

「あ、頼んでた奴か。ありがとうね。」

それで、このままこっちについてくるのかと二人に聞くと、面白そうだからというガンちゃんと静かに頷く男、リュマにじゃあしばらくよろしくとシイナがいないところでパーティが増えた。

「それで、それは何なんです?」

カイトの問いかけに複雑そうにして、答えた言葉に誰もが何もそれ以上言わなかった。

「きっと嫌がるだろうけど。過去の決着もちゃんとつけないこんな状態のままで…間違いなく壊れてしまう。」

それだけは避けたいのだという言葉に、そうだねとしか言えなかった。

彼等の問題も多いが、彼女の問題もまた彼等と比べ物にならないほど多く、そして時間がない。

「実感するね。…本当に人の寿命は短いってことをね。」

「そだね。…確かに姿は変わらなくなっても、もう…残された時間がないんだよね。」

忘れそうになる時間の流れ。けれど、確実に流れる時間は待ってはくれない。