今日は、一般的に言えば桜の季節。そして、入学式の時期。

ここにも一人、新入生がいる。名前を霧谷 春季。今日から中学一年生。

「お母さん!良かった、いなくなったからどうしようかと思ったよ。」

「もう、中学生なんだから大丈夫でしょ?ちょっと、魅雪ちゃんがいたから話をしていたのよ。」

「え?」

春季が横を見ると、今まで母しか見えていなかったの気付かなかったのだが、いとこの雪魅がいた。

「雪魅ちゃん・・・。」

「何やってるのよ?私がここにいたらおかしい?」

「え、だって雪魅ちゃん中学は卒業してるはずでしょ?」

「そうだよ。高校生だし。でも、今日は同じように入学式で、出なくて良かったから休みなんだよ。」

雪魅は春季の入学式を見に来たのだと言う。懐かしい卒業したこの校舎にも来る理由が出来るとかいって。

「あらやだ。雪魅ちゃん、悪いけどちょっと行かないといけないから、春季の事お願いできる?」

「いいですよ。」

そう言って、母は走り去っていった。

「おばさん、忙しいみたいだね。」

「本当に忙しいのかなぁ?」

クスクスと魅雪が笑っている。それに春華も一緒になって笑う。

「あ、そう言えば。」

雪魅はふと思い出したとつぶやきながら、春季にある話を始めた。

「えっとね、どうやら私の家系、秋葉おばあちゃんいるでしょ?おばあちゃんのさらにお母さんからずっとその家系は妖精に出会うみたいなんだよ。」

「え?」

まさか、雪魅がそんな事を言うとは思わなかった。

「私も、去年のクリスマスに会ったんだよ。妖精に。だから、もしかしたら春季も会うかもね。」

何を根拠に言っているのかはわからないが、春季は会ってみたいなと思った。雪魅が信じているのなら、会ったと言うのなら本当だと思うから。

雪魅からいろいろと妖精の事を聞いていた春季。雪魅は少しお手洗いに行ってくるとその場を去った。

「妖精・・・かぁ・・・。」

一人残った春季は階段のようになっている石段の上に座って空を見上げ、自分が会うかもしれない妖精はどんな子なんだろうと考えていた。

そう、本当に会えるとは思っていなくて、会ってみたいと思っていただけだったのだ。だが、現実は以外と上手く出来ているようだ。

「・・・桜・・・?」

今まで視界に入らなかった桜の花びらが、春季の側に風にゆれて流れてきた。

その桜を見ていたとき、どこからか声がした。

「こんにちは、そこのお嬢さん。」

「え?」

声がしたと思って、周りをさがすが誰もいない。だが、声は相変わらず自分を呼ぶ。

「お嬢さん、下ですよ、下。よく見てくださいよ。」

そう言われて、足元を見た。足元の段の上に小さな人型の何かがいた。

「・・・もしかして、君が妖精って奴?」

「その通り。」

そう言いながら、ぴょんと春季の膝に飛び乗った。

「始めまして、お嬢さん。私はフリンダ・ギルベス。春の使者、春を司る妖精です。」

「えっと、私は春季。」

「春季さんですね。」

二人は簡単に自己紹介をした。そして、フリンダは本題に入った。

「実は、今回妖精試験の試験官をしているのですよ。ですが、ちょっと手違いがありまして・・・。」

「試験・・・?手違い???」

「少し、困っているので助けてほしいのですが・・・。」

少し考えて、いいよと答えた。

「じゃぁ、来て下さい。」

春季は一本の桜の前まで春季を導いた。

「これが、私の守護する桜の木です。そして、これが力をコントロールする小瓶です。」

といって、桃色で飾りのついた可愛い小さな瓶を見せた。

「これが、妖精たち全員が持っている、力を制御したり使用したりするときに役立つ物なんですよ。」

と簡単に説明をして、本題に入った。

 

フリンダが言うには、試験を受けるはずだった子が二人、急に試験を受けられなくなってしまい、代行として試験官もやっている自分がやる事になったのだが、力の源が今足りないのだと言う。

「なので、春季さんにお願いしたいのです。」

「なんで私?何をしたら手伝えるの???」

「春季さんの心の思いを分けてほしいのです。」

「何それ?」

フリンダから言われたのは意外な言葉だった。

「妖精は全て、自然と言うものから力を得て力を使うんです。しかし、季節を司る妖精には、それだけでは力が使えないのです。」

「そうなんだ。じゃぁ、妖精と合った事がある雪魅ちゃんに頼んだら良かったんじゃない?」

「駄目なんですよ。すでに妖精と交友関係を結んでいる人間からはもらえないんですよ。出会う事は出来ますけど。」

なにやら、妖精の世界も規則がいろいろあって厳しいみたいだ。

「季節を司る妖精は、初めての試験での仕事で一人の人間と交友関係を結んで、思いの心をもらって力を使います。交友関係を結ぶ人間の数は妖精それぞれ。私の場合、試験で初めて交友関係を結んだ方は亡くなってしまったのですが・・・。それで、たりなくなってしまったのですよ。」

「寂しいね。」

「で、春季さんを見つけて、お願いしたいのですが?」

「いいよ。私がフリンダの役に立つなら。」

そう了承すると、フリンダは小さな右手を春季の右手の上に乗せて、何か呪文のような言葉を囁いた。

すると、空になっていた小瓶の中に桃色の液体が入っていた。

「これが、心の思い?」

「そうですよ。春季さんが私を思ってくれる思いですよ。」

そういって、フリンダは見ていて下さいねと言った。友人の春季さんにとっておきのものを見せてあげますと言った。

姿は見えなくなったけど、近くにいるのはわかる。

気配のする方向、今はまだ咲いていない桜の木の方向を見ていた春季。

「・・・すごい。」

先程まで咲いていなかった三本の桜の木が見る見る花をつけて満開となった。それを、風が優しく吹いて散らす。

驚いてすごいと感心している春季に声が聞こえてきた。

『 どう?これが春季のおかげで咲かす事ができた桜ですよ。 』

その言葉を最後に、フリンダの気配は消えた。それと同時に、雪魅が帰ってきた。

「ごめん、遅くなって。」

「大丈夫だよ。だって、妖精とあってたから。」

雪魅は驚く事はなかった。ただ、そっかと言うだけ。

「じゃぁ、そろそろ帰ろうか。」

「うん。」

春季は雪魅の後について歩き、学校を出た。

 

 

 

 

 あとがき

 

妖精シリーズ的話。ホワイトクリスマスにしようの後。

雪魅さん何気に登場。

ここで思ったのですが、今は亡くなっていないフリンダの最初の交友関係者ってだれだったのでしょうか?それも、関係させて後日書ければいいなぁ。



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