きゅう・・・7貴族も結構変なのが多いのかもしれない







その日、アパートの管理人の天狐のばあさんが一晩外に出るので、留守だった。そのせいで、俺はちょうど当番となり、あまりやりたくないが敷地内の掃除をする羽目になった。

「だいたい、この庭がそもそも異常だよな。」

どこかのワンダーランドのように、色とりどりの種類を無視した花々が季節を問わず咲いている。普通ではありえないことがここでは起こり得る。だから、住人達は気にしない。俺も気にしない。だが、異常だという認識はこの世界の常識として認識はしている。

「だいたい、毎日花束作ってどこに持ってくっていうんだ。」

管理人のばあさんは、毎日この花を摘み取り、花束として包装し、どこかへ持っていく。それがどうなったのかはいつも知らないし興味もない。だが、こうやって世話をさせられると、知る権利はあるのではないかと思ってしまう。

「ま、花より先にこっちを片づける方が先か。」

飛んでくるものを次から次へと避け、叩き落とす。すると、女が一人現れた。

「酷いわね。」

「何が酷いだ。不意打ちで攻撃するやつに言われたくない。」

「あらやだ。不意打ちをしても、気づいて叩き落とす貴方には、そもそも不意打ちという意味がないのだから問題ないのでなくて?」

「気持ちの問題だ。だいたい、ここでやったらばあさんの花がぐちゃぐちゃになるだろ。どうすんだよ。」

「そうね。それは悪かったわ。私が攻撃するのはアナタで、花に罪はないもの。」

そう言って、女は叩き落とされた紙切れの一つを拾う。

「でも、ひどいわね。私が毎晩気持ちを込めて作った千羽鶴をこんなにボロボロに…。」

「なら、攻撃に使うな。だいたい、お前の本業は予知だろ。繰術は嫌いなんだろ?」

「ええ。そうよ。人の心をも操る力なんて、いらない。だって、それは本心からほど遠いもの。」

弱い。弱いから、守りたい。だけど、弱いから、強い私達は嫌われる。だから、人は嫌い。でも、人が好き。だから、迷った私はここにいる。そんな私が気になるのがアナタ。だから、観念していい加減恋人になりなさい。そういう女に、すっぱりきっぱり今日もお断りを入れる。

本当に、自我が強い。だから、龍神は苦手だ。奴等は7貴族であり、それぞれ色と属性を持つ龍の集まりだ。今は蒼い龍が長であるらしいが、この女は白龍で未来を見る予知属性で、他者の心を視れるが故に人見知りで人嫌いになった。そんなある日、何かよくわからないうちに俺を好きになってアタックすることにしたらしい。

強すぎる故に、理解されず混ざれない。それはわかるが、この女の場合、人の話を聞かない強引さも混ざれない原因だと俺は思う。ハンターとは別の意味で面倒な奴だ。

「どうしたら、アナタは私のものになる?」

「そういってる間は絶対に無理だな。」

「そう…でも、諦めない。これ。プレゼント。今度は何も仕掛けてない。ただの、お守り。」

そう言って、渡して去って行った。以前にもらったのは、仕掛けがあって少々困ったことになったが、今回はただのお守りのようで一安心だ。

「ま、ありがたくもらっておくか。」

あれでも、7貴族に名を連ねる中で、一番の占術師。彼女が作るお守りの効果は誰もが知ってのとおり。だから、ありがたくもらっておくのだ。それで、また暴走して困ることになるのだろうが、結局俺は何だかんだといって今の生活が好きで、このアパートの住人のことを気に入っているのだ。

「…水やらないとな。」

帰ってきて怒られないよう、とにかく今は仕事を再開することにした。