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おかしな連中が集まる、おかしな連中の為の集会。おかしな連中のことを知る為のこの日、いつものようにそれなりにたくさんの『まがいもの』が集まっていた。 「今年も多いな。」 とある一角。ヴァンパイアの力に目覚めてどうしようもない、身内が人間しかいない連中への講義。俺はここで月に一度の講義を行うのだが、年々増えている気がする。多くても少なくても、参加するともらえる金額は同じだ。ならば、増えるのは面倒が増えるだけでうれしくない事態だ。 「で、先月より三人増えて二十。先祖還りの増加について協会も7貴族も考えるべきだな。」 ったく。とにかく始めるぞと言うと、毎回参加して前にいる双子の男の子と女の子、真っ黒装束で頭からかぶって顔も見えない恥ずかしがり屋もここまでくると異常な書類上女と、ちゃらい男。あとは、ごく普通の生徒のような連中。 「さて、毎度のことだが、新しい奴もいるから先に言っておくぞ。他人の血は許可なく勝手に吸うな。衝動が抑えられなくなる前にどうにかしろ。」 その為に、輸血用の血を入手する方法や代用のきく普段用のものを探しておくことと、教える。それで、全員に周囲の人間や家族構成、好きなもの、もし代用のきくものが見つかった場合は毎度渡す紙に書かせる。 「血が受け付けない奴も中にはでてくる。その場合は、大抵血以外に衝動を安定させる何かがあるはずだ。周囲に迷惑かけそうになったら、そこにある住所、俺のアパートだが、そこにこい。」 めったにないことだが、時々いるので面倒になった俺は来させて無理やり抑え込む方法を選んだ。力の強いヴァンパイアなら、弱いヴァンパイアを抑え込める。周囲を襲って面倒が増えるより、その方がましなのだ。 「あと、ハンターってやつが徘徊してる。充分気をつけろ。だが、挙動不審すぎるとかえって目立つからなしだ。」 普段通り振る舞うことが大事だと言って、俺は毎度のメインである小さな瓶を取り出した。 「で、ここにスプーン1杯分だが、俺の『血』が入ってる。これだったら、衝動抑えることにも、怪我を治すのにも使える。どう使うかはお前等の自由だ。どうせ来月もやるから、そうそう足りないという事態にはならんと思うが。」 とっとと、後ろへ回せと、瓶を配る。本当、ヴァンパイアなのに血の消費がひどすぎる。 「さて、次だが、聴覚な。蝙蝠を隷属させることもできるんだが、本来聞こえない『音』で識別するわけだが、そのせいで、日常の中で今まで聞かなかった音が混じるかもしれない。」 もし、聞こえないのなら、それはそれにこしたことはない。時々その音が異常な音に聞こえて耳をおかしくしてしまって何も音が聞こえなくなってしまった者もいる。 「とにかく、ヴァンパイアのレベルを測る。」 パチンとその場に呼び出す一匹の蝙蝠。少しだけ驚くざわつく気配。 目で『音』を発する指示を出す。見れば、聞こえている連中と聞こえていない連中と一目瞭然だ。その『音』で俺は今聞こえる連中に指で机を二度たたけと指示したのだから。 「新人の人には、音が痛みになってるみたいだな。」 一人だけ、どうも聞こえるが異常になるタイプがいたようで、ある何でも屋の住所と紹介人である俺の名が書いた紙と御代代わりとする品が入った布の袋を渡した。 「あの、これ…。」 「あわない奴には、苦痛でしかない。きっと、耳の音は違う種族の影響が強いんだろう。ここにいけば音をどうにかしてくれる耳当てなり薬なりをくれる。そういう店だ。その袋渡したら貰えるから、自分の目で見て確かめて、自分の意思で判断して選べ。」 そういって渡すと、小さく礼を言う少女。 「さて、今日はそろそろ終わりだ。解散。興味ある奴はまた来月な。」 そう言って、俺の講義は終わった。 あの双子がいつものように追いかけてきて、お礼をいって、兄の元へ走る。おかしなことに、あの双子は父親の遠い先祖のヴァンパイアの血が濃く出たが、兄は母親の狐の血が濃く出たらしい。 ちなみに、父親はずっと人間で人間として過ごしたが、狐の女と出逢い、それでも彼女を選んで今は幸せらしい。 いいことだ。だが、ヴァンパイアのことについては、母親も狐なので教えられずここにきているらしい。 それはいい。だが、アパートにおしかけてきて人間界の愚痴を言うのだけは勘弁だ。だから、あの双子は素直でいい子だが、あの母親は苦手だ。俺のだらけた生活の邪魔をされるからだ。 きっと、今日双子から話を聞いて、近いうちにくるのだろう。面倒だ。 「あと、話があるなら聞くが…何か用か?」 上から下まで真っ黒の書類上女であるが確認できない奴。いつも後ろでこそこそしている。 「あ、あの…その…また、アパート、行っても…いい、ですか?」 「ああ。」 「あ、ありがとう…ございます。」 |