に・・・食事事情が時々困るんです








その日、冷蔵庫を開け、中に入っていたアセロラドリンクを飲んでいた。

俺はヴァンパイアだ。だが、血を吸う必要はそれほどない。トマトとか今飲んでいるアセロラとか、赤いものなら、多少代用がきくのだ。そういう意味では、人の中に紛れて生きる身としては楽なもんだ。

だが、時々、血液の成分を摂取する必要に駆られるのも事実。衝動がひどくなって人を襲う前にどうにかするのも、生活するうえで大事なことだ。

あまり、乗り気ではないが、仕方ない。俺は部屋を出て、アパートの隣を訪れた。

相変わらず俺の家と同様鍵がかかっていないお隣は、簡単に開く。

「おい、いるかー?」

中に入って呼ぶと、生返事が帰ってきた。

そこには、寝転がりながら漫画を読んでいる男がいた。

「相変わらずだな。」

「んー…何だ、ヴァンパイア小僧か。何か用か?」

「いつも通りの要件だ。」

「あー…わかった。条件は後で言う。今いいところだから、5分だけ待て。」

そう言って、客である俺を無視して再び漫画の世界に浸る。だが、それが彼の日常なので邪魔する気もない。適当に台所から飲み物を出して、飲む。後、ハンカチみたいなもんはないかと箪笥を物色し、タオルを見つけて出しておく。

すると、ちょうど終わったらしく、いいぞと呼ばれる。

「でも、ほとんど必要なくても血を飲む必要があることが残るのは面倒だな。」

ほらよと、腕を差し出す。そして、にやりと笑った男が条件を言う。あまり聞きたくない。だが、人間の血を吸うわけにもいかないし、このアパートの住人の血はほとんどが『濃い』為にあわない。しばらく吐き気や体調不良によって動けなくなったり、腕が動かなくなったり、いろいろ支障がでた。

俺も理由はわかっているし、彼等も理解している。

ここにいるのは、こんなだらだらしている変人が多いが、7貴族という、俺たちのような世間で妖怪だとか悪魔だとかいう存在達の中で力の強い7つの種族に属するものが多い。その為、強すぎる血が反発しあうのだ。

この男、7貴族であり、立派な鴉天狗だ。だが、どういうわけか飲んでも異常がでなかったので、それから厄介になることにした。だが、代償はもちろん存在する。彼だってただで血を渡すわけない。

「今回は、お前の血な。」

「…。」

「もちろん、いつものように、俺たちのような妖怪専門の何でも屋が欲しがってるからだ。」

毎回変なものを要求される。まさか、今回は血を要求されるとは思わなかったが。

「お前は怪我しても治癒能力が高い。強いからな。だが、7貴族になれない下級の混ざった吸血鬼達は弱すぎる。だから、治療の際に輸血が必要になる。そういう時、やはり種族にあった血がいいみたいだしな。」

それに、その方が強い力の血によって治癒能力が一時的に高まって治るのが早いのだと彼は言う。

世間のことに興味がないので、確かに他に貴族と名乗れない吸血鬼が存在することは知っていたが、そういうことならまぁいいかと軽く応じた。

腕に噛みつき、相手を殺さない程度にいただく。久しぶりに喉を通る赤は、相変わらずまずい。ヴァンパイアやめたいと思う程度に、俺は血の味がキライでやってられない。

だが、そんなことを考える暇なんてすぐに消える。

さっそくと、キラキラした目で迫ってくる男に、根こそぎとられるんじゃないかと思うぐらい、血を抜かれ、倒れ込んだせいで。