じゅういち・・・最初は自己紹介から








その日、ポストにハガキが一枚入っていた。差出人に覚えはない。だが、宛先がないし、切手もないところをみると、ここまで届けに来たのだろう。

いったい何だと裏面を見ると、そこには助けてくれてありがとうと書いてあった。

何だと考えると、そう言えば先日あったことを思い出した。

「成程。ばあさんなら、読み取れるから理解してここに入れるのもわかるな。」

ここの管理人である天狐のばあさんは、特殊な能力があり、植物や物の記憶を視ることができるのだ。

失せ物探しとかをさせたら、対象物の近くのものから記憶を視て、いつ誰がどこへやったのか視ることができる。その為、そういう方向で昔は仕事もしていたと聞いたことがある。

「ま、一般人が怪我なく無事だったのはよかったことだ。」

だが、それは嵐の前の静けさのような、前触れだったことにまだ俺は気付いていなかった。

「おや、ちょうどよかった。あんたに客だよ。」

管理人のばあさんがそう言い、客として示したのは、一人の少年と見覚えのある少女だった。

「ああ、あの時の。」

そして、本日届いていたハガキの送り主だ。

「本当に、こやつなのか?」

不審そうに、俺をさして言う失礼な少年。だが、なるほどとすぐに理解。だが、解せないことがある。彼が人かそうでないかは俺には関係ないことだが、彼が俺に用があるとは思えない。

「で、何の用だ?こんな『化け物の巣窟』にお前の何も知らない『友達』を連れてくるなんておかしな話だ。」

「…友人が世話になった相手に礼を言わぬ程、無礼であるつもりはない。」

「だが、その礼は本人からきたけどな。」

ほらと、ハガキを見せるが、少年は納得しない。

「でも、普通の人間が、付喪神を連れてるとはな。」

「友達だあら。壊れて、動かなくなったけど、大事な友達なの。」

そこまでいわれたら、付喪神になって悪さすることはないだろう。寂しさから悪さするやつらだから。

「じゃあ、結局要件は何なんだ?」

「ワシはこやつを守るのが今の使命じゃ。それを害成す敵は容赦せぬ。」

「俺が害があるからつぶしにでもきたか?」

「いや、なに。ヌシはそうではなさそうだと今判断したところだ。」

そして、改めて礼を言う少年。見た目に反して態度が上役のじじいと似ていて違和感を感じたが、今は無視だ。

「だが、いいのか?そっちの小娘、お前の『力』の影響でおかしくなるぞ。」

二人が互いを見る。そして、彼等は言った。病院から出られずに死ぬぐらいなら、外で自由に出歩いていろんなものを見たい。その為に力で寿命が縮むぐらい問題ない、と。

それなら、俺も言うことないから適当に言葉を返し、二度と会わないと思っていた。

その数日後のこと。

「おや、小僧。寝坊かえ?」

「今日は明るいから出たくなかっただけだ。」

「そうかえ。なら、挨拶しておけ。新しい住人じゃよ。」

そう言って紹介されたのは、先日出逢った二人だった。けれど、少しだけ違っていた。

少女はあの時のままだが、少年の方が変わっていた。もしかしたら、今の青年の姿が本来のものなのかもしれない。

「今日からよろしゅうに。古時計の憑神、ケイル。こやつはワレの病の進行を止めることによって今を生きておる、言わば亡霊、優那。今しばらくの夢幻の時、よろしく頼む。」

また、このアパートに変わった奴が増えた。

「こちらこそ、何かあれば。俺はヴァンパイアのレイシェルフ。面倒だからレイと呼んでくれ。」






あとがき
やっと、名前がでた主人公っぽい彼。
このまま、対象の名前出ずに続けようと思ったのですが、さすがに挨拶する際に名乗る必要はあるなということで、今回から、皆名乗ることになりました。