嘘つき

 

 

たった一言だけ

その言葉で僕は嘘をついた

逃げる為に、嘘で覆い隠したんだ

 

臆病な僕は気付かない

嘘がどんなものなのか

どれだけ君を傷つけたかなんて

考えてもみなかったんだ

 

ただ

僕は僕を守る為に嘘をついた

 

 

 

 

嘘は嘘で僕の真実を君に

 

 

 

 

「・・・嘘つき。」

そう言って、君は僕の前から立ち去った。振り返ることなく真っ直ぐ走っていった。

ただ、僕は呆然とその後姿を見ていただけだった。

 

だって、嘘つきだという君の言葉を覆すことなんて出来ないから。

まったくもってその通り。僕は嘘つきなんだ。

そう、弱い臆病な自分を隠す為に、嘘をついたんだ。

 

「・・・しょうがないだろ。」

そう、しょうがない。嘘をつくしか今の僕には自分を守る術も、君を守る術もないのだから。

「・・・ちゃんとお別れをしたかったんだけどなぁ。」

お別れ。時期にくるお別れ。もしかしたら二度と会えなくなるかもしれないお別れ。

だからこそ、しっかりとお別れをしたかった。君が、大切だったから。

 

だけど、臆病な僕は嘘をついてしまった。

まったく関係のない話をして、別れを言う前に嘘をついた。

 

 

 

 

「私ね。好きな人が出来たんだよ。」

「へぇ。」

「それはね。私の事をとってもよくわかってくれて優しい人なんだよ。」

「・・・そう、なんだ。」

「ねぇ。好きな人いる?」

「僕はね、いるよ。大切な人。」

「誰?」

「・・・君。」

「・・・へぇ。一緒だね。私は貴方だよ。」

 

そんな会話をしていた。そう、そんな会話をしていたからこそ、言えなくなってしまったんだ。

別れが来ることを。

 

「じゃぁ、両思いだね。」

「・・・。」

「どうしたの?」

「・・・でも、僕は君と一緒にはいられないな。」

「どうして?」

「それは言えない。」

 

僕は考えた。別れが言えないから。

何か別に理由はないかと探した。

 

「どうしてよ。」

「・・・まだやらないといけない事があるから。」

「何よ、それ。」

「・・・初恋の人との決着。」

「・・・・・・・・・嘘つき。」

「どうしてさ。」

「貴方は嘘をつく時、いつも私の目を見ないもの。」

「・・・。」

「ねぇ。本当はどうして。」

 

黙ったままの僕に、君は嘘つきと言って、走って行った。

せっかく思いが通じ合ったのに。

だけど、本当は最初から通じ合っていたのかもしれない。ただ、お互い言わないだけで。

それなのに、僕は壊してしまった。

君に嘘をついて黙って壊した。

でも、しょうがなかったんだ。きっと君は僕を嫌うから。

 

僕と君とでは違うんだ。

 

ちょうど十年前。

そう、今日と同じ嘘をついていい日。エイプリルフールの事だった。

その日、僕は嘘をついた。

今日と同じように嘘をついたんだ。

その時に変わってしまった。

嘘は真実だったんだ。

 

僕は、あの家の子じゃなかった。

僕は、君と同じ人ではなかった。

 

僕はいったい何者・・・?

 

答えはとっても簡単だった。

僕は天から落ちた天使。

二度と戻る事が出来ない、半人前の天使。

だけど、生という時は君なんかよりとっても長い。

 

そんな僕。

たった一度だけチャンスがあった。

それが今日の夜。

天から降りる光の階段を上れば僕は帰れる。

本来あるべき場所へと、帰る事が出来るんだ。

 

だから、長い別れとなる。

二度と会えないかもしれない別れ。

だから、今まで言葉にしようとしなかった。

だけど、最後に言葉にしてしまった。

 

もう、人の世とはお別れ。空に月があがった。

ほら、光の階段も現れた。

僕は光の階段を見上げ、覚悟を決めた。

 

「・・・何処へ行くつもり?」

「・・・!」

「驚いたって顔ね。ま、しょうがないと思うけどね。」

「・・・。」

 

本当に驚いた。君がまさかそこにいるなんて。そして、君の背中に・・・。

君の背中に僕と同じ・・・僕より立派な翼があるなんて。

 

「それで。はっきりと返事もらえないかしら?」

「・・・。」

「黙ってるつもり?でも、長くはその階段がもたないからはやくしないと帰れないわよ。」

「・・・だって。」

「だから。私の事、嫌い?それとも、好き?」

「・・・好き。」

「ならいいじゃない。」

「わかってないの?今日は嘘をついてもよい日。今はもう、12時を過ぎたから違うけどね。」

「でも・・・。」

「もう。辛気臭いなぁ。ほら。帰ろうよ。本来あるべき場所へ。」

 

手を引かれて階段を上っていく。

そして、だんだんと思い出していく昔の記憶。

 

自分は人の姿で幼い頃、落ちて拾われた。

その時に記憶をどこかに置いてきた。

だけど思い出した。

嘘は終わったんだ。だって、思い出した。

 

「・・・ありがとう。コルディア。」

「やっと思い出したか。ま、カルトだししょうがないけどね。」

 

自分の幼馴染で、なんでも知ってる頼りになる君。

心配して追いかけてきて、迎えに来てくれた君。

 

 

嘘は結局嘘。

やっと君に僕は真実を言える。

 

ずっと言おうとしていた言葉。

 

「好きだよ。ずっと前から、ずっと。」

「そんなことはずっと前からわかっていたよ。」

 

堕ちた日に言おうと決意した。

だけど、結局いえなかった言葉。

 

これからは、ずっと言い続けるよ。

僕の気持ちを素直に

嘘をつかずに真実を

 





        あとがき

 なんだか無理やりな展開になってしまった話・・・。うーん、修行不足っすなぁ。
 いちよう4月1日にあわせたエイプリルフールものです。
 設定としては、嘘つきからはじまる話。そのまんま
 天から落ちた記憶を失った天使が人として過ごす。そして、気付いた時にチャンスがやってくる。
 だけど、自分は好きな人がいた。別れが来ることがわかっていた。
 なので黙って行こうと思っていた。だけど、相手の方が一枚上手。なんと相手も自分と同じ天使だった。
 それも幼馴染で探しに来たという。まぁ、そんなお話です。



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