昔、お月様にはここと同じように、たくさんの家があって、人が住んでいました。

 

 しかし、そんなことは地上の人達は知りません。


 だから、お月様の中だけの秘密なんだよ。

 

 そんなお月様は私達に暗い夜を照らしてくれる偉い人なんだが、それだけではないんだよ。

 

お月様は卵を地上に配るんだよ。月の卵っていう卵を配るんだよ。

 

 お月様に住んでいる白い鳥が満月の夜にだけ、地上に降りてきて配るんだよ。

 

 お月様の指示に従って赤や青や緑や黄色、七色の卵をそれぞれ一つずつ持って、


 白い鳥達が降りてきて、配るんだよ。

 

 どうして、お月様は白い鳥に卵を運ばれるのか知っているかい?

 

 それはね。お月様が頼んで運んでもらった卵は、不思議な力をもっているからなんだよ。

 

 その力はね、人を幸せにしてくれるんだよ。

 

 だから、お月様は私達に幸せをわけようとして、卵を配るんだよ。

 

 

 卵はね、優しいお月様と同じでね、いつも人のそばにいるんだよ。

 

 見えない?そんなことはないよ。


 私達が、卵や鳥達を見ようとしないから、見えないんだよ。

 

 ほら、ゆっくり、そう、ゆっくりとあそこを見てごらん。

 

 あそこに、幸せを届けに来た、白い鳥がいるだろう?

 

 ずっと、こっちを見ている、真っ白な鳥がいるだろう?

 

 ほら、青い卵をそこに置いた。

 

 どうやら、私達には青い月の卵を置いていったみたいだね。

 

 どうした、見えないのか?

 

 大丈夫だ。見えなくても、大丈夫。

 

 目をつぶってごらん。光が見えないように、しっかりつぶるんだ。

 

 ほら、見えるだろう?

 

 飛び立った、白い鳥の羽と青い卵が。

 


 


 そうだ、幸せを届けに来てくれた白い鳥にありがとうを言わないといけないね。

 

 月の卵を運ぶ鳥は、運び終えたら消えるんだよ。今なら間に合うから、一緒に言おうね。

 


 


 運ぶ鳥は、月の卵に魔法をかけて、卵の不思議な力を出させます。

 

 卵は、魔法をかけてもらって、初めて人へ幸せを与えます。

 

 運ぶ鳥は、魔法をかけた後、力を無くして消えます。

 


 


 可哀想だと思っただろう?でも、それは言ってはいけないんだよ?

 

 白い鳥達は卵を運んで魔法をかけることを仕事としているんだからね。

 

 そのことに、誇りを持って、魔法をかけて最後を迎えるからね。

 

 可哀想って言うんじゃなくて、お疲れ様って言うんだよ。

 


 


 そして、君が幸せだと感じたら、彼らは喜んで良かったと思うだろうね。





        あとがき

 これはある物語の中に登場する物語として考えたものです。
 ですが、登場させるはずの物語は少し気に入らないところがあったのでやめました。
 それでももったいないので、ここにこっそりと載せたり。
 白い鳥が七色の月の欠片である卵を置いていく。それは幸せの形。
 祖母が孫に話しかける物語として考えたものでした。
 なので、語りかけになっております。
 どんどん、読みきりは可笑しな内容のものが多くなりますね。いいのかなぁ?


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