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終章 隠れた真実
娘がカレンで、多くの親がいない子供と共に暮らしている場所をゴードに教え、屋敷でカレンと再会した。 「クロウ。何処いったのかと心配していたのよ。」 心配かけてと、涙ぐむカレン。 今の彼女には肩に重しとしてしか乗らないが、いつか彼女がこの国を立派にすることだろう。 芯はしっかりとしているから。そう、あの目がバドリックとは違い、しっかりとしていた。やはり、知らなくても血を受け継いでいる。彼女と目が同じだから、きっと誰からも愛されるよい王妃になるだろう。 カレンが来た頃、隣国の使い達も到着し、後に正式にバドリックの処分を発表すると、拘束して自国へと連れ帰った。 こうして、やっと解放されたのだ。あの男による権力の束縛から。 そして、彼女の姿を見て、無事に育っていた事を知って喜ぶ者がたくさんいた。 「大きくなられたのですね。」 記憶にある中では、まだ幼い赤ん坊状態だったカレン。無事に成長していたことにゴードは喜び、抱きしめた。 少し恥ずかしそうにしていたが、抱きしめられるその腕を彼女の記憶が覚えているのか、自ら腕を回してしばらく二人はそうしていた。 そんな二人を見た後、今の間にと、カインとキーアは逃げ出すように屋敷から出た。 やはり、自分達にはこういった場所は合わないし、いざお礼を言われても照れくさいだけ。それに、世間では泥棒なのだ。せっかくの平和を乱してはいけないだろう。 そう思って、二人は立ち去ったのだ。 だから、案の定お礼をしようとした彼等は、気付いた時にははすでに遅く、二人の姿はなかった。 探しに屋敷を出ても、ついに見つける事は出来なかった。 あたり前だ。人が歩ける場所に彼等はいなかったから。 最初にこの町に来たときのように、空から町の外へ出たのだから。 だから、町の外に出る境にいる門番も知らない。 すでに町から、国から出て空を歩いていた二人。 「悪い事ばかりじゃなかったね。」 「そうだな。」 なんだか、おかしい。まだいつものカインの顔に戻っていないことで、どうしたのだろうとキーアが首をかしげていた時だった。 「いい加減、姿を見せたらどうだ。毎回毎回・・・ばればれなんだよ。」 突如、カインは何もない宙に向かって細身のナイフを一つ投げつけた。警戒心をむき出しにして。 その反動で、猫の姿でカインの肩に乗っていたキーアは突然の事で驚き、落ちないように必死にしがみついて体制を整える。 そして見たものは、ぐにゃりと歪んだその場所から、ナイフを起用に左手の日本の指で捕らえて立つ男の姿だった。 相手の顔を見て、キーアも猫の毛を逆立てる。 その男とは、以前顔を合わせている。 「あの人の空間の手助けをしたのは、お前だな。」 本来、どんなに拒んでも、力のない者はあの世へと案内されてしまう。それがないし、あの空間は彼女の意思でかわるとしても、あまりにも完璧に外から隔離された場所だった。あの人の力ではない『結界』というものがかすかに働いているのだと気付いてから、この男の存在を捨てられなかった。 何度も、自分達の前に姿をみせたこの男の存在。何が目的なのかはわからない。だが、カインにとってはあの方の命を縮める原因なので嫌っている。キーアは、現れては毎回余計なことをしてくれるので嫌っている。 つまり、二人とも嫌っている男ということだ。 「さすがといいますが。・・・それにしても、あまりに時間をかけすぎではありませんか?そんなに時間はあるのですか?」 「うるさい。」 「あんたがいなけりゃ、とっくにもっと先へ進めてたわよ。邪魔するからでしょ。」 キーアは文句を言ったが、くすくすと相変わらず嫌味な笑みを見せた男。それがまた癪に障る。 またどこかでと言って姿を消した。消えた後も、先ほどまで男がいたその場所を睨んでいた。 青い空だというのに、あの闇色の服がとけたその場所を。 「あの野郎。絶対にさせねぇ。」 「・・・無茶だけは、しないでよ。」 「わかってるよ。」 「・・・私も許せないけどね。あの男のことになると、貴方は周りが見えなくなるんだもの。」 キーアは嫌っていても、カインとあの男の関係は知らないまま。だが、あえて聞こうとはしない。あの時の行動の理由同様に、決して口にしないから。 そこまで口を閉ざすのなら、彼から言いだすまで待つ。いつか、話してくれると信じているから。 釘を刺せば、苦笑する彼の顔があった。やっと、いつもの彼に戻った。 それにほっとして、カインの肩に乗ったまま、キーアは人の姿に戻った。 「とりあえず、次はどうする?」 「あいつがいないところだな。」 「そうね。」 「それよりも、のけよ。」 「嫌よ。楽だもの。」 今は気にしていてもしょうない。欠片を集めるのが先だ。それが今の自分達の目的。 カインには別の目的もあるが、今はキーアと一緒に欠片を集める時間も大切にしたいから、あの男の事は頭から抜き去る。 キーアとしばらく言葉で言いあった後、埒があかないので、もういいと諦めたカインにクスクス笑うキーア。 横目で見れば、やっぱりカインはカインよねという。そして、それでこそカインだから、私は貴方が好きよと言う。 突然の事で固まって聞いていたカインの額をぴんっと指で弾いた。 「何するんだよ。」 「固まって動かないからよ。」 さて、次はどこになるのかしらと、欠片がある場所を占う。あの者達から渡された、場所を示す鏡を使って。 「次は・・・。決まったわ。」 「どこだよ。」 「ほら。とにかく異空間の扉開いて。」 「へいへい。」 いつもと同じように、口の少し悪い黒い猫との会話をしながら、旅を続ける。 「次は海辺の町よ。」 「そりゃいい。お前の好きな魚食べ放題だな。」 「そんなに食べないわよ。」 空に扉を開いて、二人は開いたその中へ入った。 扉が閉じてしまえば、空の色にそれは溶けて、跡形もなくなった。 そこに二人がいたことさえ、幻であったかのように。 抜けた先は、キーアが言うように、潮の香りがと心地よい風が迎えてくれた、海辺の町。 欠片がある場所へ向かい、二人は行く。 何度も立ち止まったが、その分前へ進んで。 そしてカインは、この笛の音を多くの場所へ届けて、あの方に届くようにと願いを込めて・・・。
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