| +++++次は誰が遊んでくれる? 日が暮れた夜の街に時折聞こえる不思議な歌。 帰りが遅くなったお父さんが、急ぎ足で家族の待つ家へ帰る途中のわき道からだったり、酔っ払いがふらふらと歩くその先からだったり・・・ その歌はいつもどこからか聞こえてきた。 けれど、決して誰も歌の主を見たことはなかった。 だが、その街の人々は誰一人として歌を聞き入ったり主を探したりすることはなかった。 なぜなら、この街に伝わる言い伝えがその歌が何なのか答えをくれていたからだ。 『パンプキン・パンプキン・ダークナイトパーティ パンプキンおばけがやってきた〜 パンプキンおばけはやってきた〜 クラック・クリック・クルック・クレック・クロック パンプキンおばけがみつけたよ パンプキンおばけはみつけたよ 何を見つけた何を見つけた?どれどれこれは今夜の生贄 パンプキンおばけが連れて行く パンプキンおばけは連れて行く 何をどこへ何をどこへ?一緒に遊ぶ仲間をここへ 朝がくればパンプキンおばけ消えちゃった そして一緒に仲間の声も消えちゃった』 カボチャを被った子ども。黒いマントをつけてやってくる。 この歌が聞こえたら子どもは家へ。さもないと連れて行かれて戻れなくなるよ。 だから街では夜に子どもの声は聞こえない。ただ子どものこの歌だけが響いてる。 大人は知らないふりして通り過ぎる。決して姿をみないようにして。 ほら今夜も歌が聞こえてくる。遊び仲間を探しに来た子どもがカボチャとマントをかぶってやってきた。 『パンプキンおばけがみつけたよ。パンプキンおばけはみつけたよ。』 「君が噂のカボチャの迷い子?」 『違うよ。パンプキンおばけは迷子じゃないよ。』 「そっか。僕は通りすがりの亡霊。」 『亡霊?すごいすごい、はじめてあった。パンプキンおばけ、はじめて違うおばけにあった。』 カボチャとマントを被って顔が見えないけれど、声の調子からとてもうれしそうにいつもの不思議なリズムの歌に合わせて答えた。 そんな子どもに亡霊と名乗った奴は少し悲しそうにしながら子どもに近づいた。 「ねぇ、もういいんだよ。君を縛るものは何もないよ。」 『パンプキンおばけはいつも自由に街を歩く。だからパンプキンおばけは縛られない。』 「思い出して。君は知ってるはずだよ。帰っておいで。・・・僕とは違って、君はまだ『生きて』いるんだからね。」 『何の話?何の事?パンプキンおばけはおばけだよ。生きているけど、君と同じでしょ?』 「違うよ。今日が最後なんだ。君が君の身体に戻れる最後の期限なんだ。」 『何の事?君は誰?パンプキンおばけの知らないパンプキンおばけのことを知ってるの?』 「ああ。はやくお帰り。本当の『パンプキンおばけ』が君を仲間として引き取りに来る前にね。」 パンプキンおばけは首をかしげる。けれど、亡霊のことをどこか知っている気がしたから話を聞いた。 『やっぱりわからないよ。パンプキンおばけはボクだけだよ。』 「違うよ。さぁ、向こうに真っ直ぐ歩いてごらん。そうしたらわかるよ。」 パンプキン被った子どもは亡霊の言う方向へと歩いていった。少しだけ小走りになりながら。 見えなくなった背中にほっと一息つき、亡霊が歌い出す。 「クラック・クリック・クルック・クレック・クロック パンプキンおばけがみつけたよ 彷徨う迷子の魂を パンプキンおばけはみつけたよ 魂が行くべき細い道を・・・・・・・・・・・・ 君はまだ、パンプキンおばけがお迎えにいく魂じゃないよ。」 亡霊はすっと姿を消した。 今晩も不思議な曲調の歌が街に聞こえてくる。 遊び仲間をきっと探してる。だから子どもを夜に外へ出してはいけないよ。 パンプキンおばけが仲間にしてつれていっちゃうんだから。 「パンプキンおばけがやってきた パンプキンおばけはやってきた 迷子の魂探しにやってきた 君はもういない?それともまだ生きている? 夜明けの前にお迎えに 夜明けと共に行くべき場所へ パンプキンおばけは仲間を探してる パンプキンおばけは仲間を連れて行く 君はまだ、この世にいるものだから行くべき場所へ連れて行ってあげる」 ++++++++明日天気雨から雪 扉を開けると、空は曇り始めていた。 天気予報では雨になると言っていたが、思ったよりもまだ降る気配はない。 傘は用意したが、目的地に辿りつくまでに雨が降るようには思えない天気だった。 そして、自転車に乗って進むこと数分。どこからか聞こえる声に、空耳かと最初は思ったが、確かに聞こえるそれに自転車を止めて周囲を見渡す。 しかし、どこにも声の主の姿はなく、やはり空耳かと自転車をこごうとした時、再び声が聞こえた。 今度は、さっきよりもはっきりとした声で、どんどん自分へと近づいてきた。 どういうことだと見落としがないように周囲を見渡していると、突如、頭の上に衝撃と声が聞こえてきた。 何だと、頭に落ちたものを掴んで目の前にもってくると、それは小さな『人』の姿をしたものだった。 「何だ、これ。」 誰かが落とした人形だろうかと思ったが、それから声が聞こえ、しかも勝手に動いたのだ。 驚いて、しかも何と声をかけていいものかと考えて固まっていたら、それがオレに向かって話しかけてきた。 「はじめまして、マスター。」 オレはこいつのことは確かに初対面だが、そんな名前でもないし、マスターと呼ばれる意味もわからない。何より、これはいったい何なのだろうか。 「ボク、ユキル。天空の氷を司る使い人。助けてくれた君がきっとボクのマスター。」 「・・・。」 「君の名前はなに?」 「冬火。」 「トーカだね。これからよろしく。」 つい名乗ってしまったが、よくわからない怪しい奴に構ってる暇もなければ、関わる気もない。 「悪いが他をあたってくれ。」 「ダメ。マスターは一人。使い人は一人前と認められるまで、地上で見つけたマスターの元で修行することになってるの。」 「人違いだ。」 「そんなことありません。同じ火を灯すもの同士、導かれると氷使い様が言ってました。」 「オレは知らないから人違いだ。」 「そんなことありません。」 真剣に言うその小さな存在に、オレはどう扱えばいいのか困り果てた。オレは急いでいるのだ。構ってる暇は今はまったくない。 けれど、どこか妹と似てる仕草に放っておけないのだ。 「とにかく、オレは急いでる。話は後で聞いてやる。だから、あとにしてくれ。」 「はい。」 それは満面の笑みを浮かべ、妹の笑顔と重なった。 そして、再び自転車をこぎ始めると、雨ではなくさらさらと雪が舞い始め、この小さな奴との奇妙な生活が始まった。 +++++魔神と少女 「ねぇ。何してるの?」 しばらく、私の後ろでじっと見ていた少女が話しかけてきた。私はただここから空を眺めているだけで、そんな私を見ていても面白くはないだろうに、それでも少女はじっと私を見ていた。 気付いていたが、知らないふりをして空を見ていたら、とうとう話しかけてきた。 それでも、私は何も答えずに背を向けたまま空を眺めていた。 どこまでも続く、澄んだあの青を。 「ねぇってば。聞こえてる?」 ひょいっと少女は私の前に顔を覗きこむようにして、今度こそ無視をさせるつもりはないようだった。 「・・・。」 「だから、ここで何してるの?」 「・・・空を見ていた。」 「それだけ?」 「ああ。」 元々人とのかかわりが苦手な私にとって、会話は続かない。だから、この少女もまた、すぐに立ち去るだろうと思っていた。 しかし、立ち去るどころか私の隣にきて、同じように空を眺め始めたのだ。 「・・・何をしている。」 「あんたと同じことをしようと思ったの。同じ目線にたったら、何してるのかわかるでしょ?」 「・・・。」 錯覚を覚える。少女は私にとって大切な主と同じことを言ったのだ。 「そういえば、あんた、名前は?私は、レナ」 「・・・。」 「名前、ないの?」 「・・・クロフィス」 「クロフィス?じゃあ、クロちゃんだね。」 間違いなく別人であるのに、少女は私の今は亡き主と似ていた。それが、今の私にはとてつもなく辛い。 けれど、この少女のことが少しだけ気になった。何より、もしかしたら、主の願いを叶えられるかもしれない。 「レナ、といったか。」 「うん。レナだよ。」 「お前は、魔神を知っているか。」 「知ってるよ。強い力を持ってる神様の一人でしょ。」 「魔神と契約する気はあるか?」 「もしかして、クロちゃんって魔神なの?」 「・・・。」 「もう、ちゃんとはっきりしてくれないとわかんないよ。」 むっと頬を膨らませて怒る少女に少し困りながら、私は言った。魔神であると。 そして、私は少女と契約した。 その日から、主を失い、ただぼんやりと主の面影を追いかけるように空を眺めていた一人きりの神に新たな主が現れた。 +++++日記過去ログまとめ 突発的に日記に書いてたものなので、他のシリーズや短編長編みたいに何かしらの繋がりなかったりします。 けど、どこかでいつの間にか繋がってることもあるので何ともいえないけれど。 というか、つなげるのが好きなんだろうね、私 |