三人組

部屋への光は雨戸が閉まっている為に射さず、とても薄暗い。

しかも、何日も、もしかしたら数ヶ月の間掃除をしていない、それも使われていないような部屋である。

一言で言ってしまえば、埃っぽい。それもかなり放置されたのがわかるぐらいだ。

そんな部屋へ現れたのは三人の男達だった。まだ年も若く、通常では学生として勉学に励んでいても可笑しくは無い三人。

そんな彼等は、その部屋に来て、そうじをしていた。

・・・そのはずだった。





「オマエなぁ・・・。」

突如、何かが飛んでくるの察知し、持っていた箒でガードすれば、飛んできたそれは箒にあたって足元に落ちた。

それは、自分の視界にしっかりといる、明らかに掃除をする気がないといった、黒いマントを羽織り、いかにも妖しく口元にバンダナを巻いて後ろで止めている男が先ほどまで持っていたはずのちりとりである。

何気に、チッといった舌打ちが聞こえた気がした。

「ヤルキあんのかこら!仕事だろ!第一、その暑苦しいもん脱げ!」

怒鳴るが、相手は済ましているのか聞いていないのか、反応を見せない。

「大体なぁ。俺等は生活する金が必要だから、働いているんだ!何さぼってやがる!」

実は、これは彼等三人が引き受けた仕事であった。

ちなみに、紹介が遅れたが、今怒鳴っているのは、頭に赤いバンダナを巻いた少年で、名前をクロウド・ディスカートと言う。

そして、黒いマントを羽織り、紺のバンダナを口に巻いているのがキラルア・グラスディ。

そんな彼等が口喧嘩をはじめるかと思われたとき、三人目の首に長い黒髪を一つに束ね、バンダナを巻いているカルロット・リーヌラが口を挟んだ。

しっかりと、叩きを持って掃除をしながらである。

「ほどほどにして、しっかりやれよ〜。」

と、喧嘩を止める気はなさそうだ。まぁ、毎日の事なので、いちいち気にしていられないというところだろうが。

それに、掃除を終えて片付けさえ終われば仕事は終わりで、報酬をもらえるのだ。

仕事さえ進めばそれで問題がないといったところだろう。

「大体な、カルロもカルロなんだよ。」

「何が〜?」

相変わらず、視線を相手に向けずに掃除をしながら、あまり聞いていなさそうな応答を返しながら対応するカルロット。だが、クロウドは気にせずに話を続ける。

「なんでこんな仕事を持ってきたんだよっ!」

「何でと言われてもね。結構条件が良かったからに決まってるだろ。」

確かに、価格の条件がよければ、それに越した事はないし、文句も言わないだろう。だが、内容にもよる。

「俺等ってさ、基本は何でも屋だが、こんな事を主にする何でも屋じゃねーだろ。」

だから、キラルアがやらないんだと文句を言うが、手を動かせと言われ、それ以上は相手にしてもらえなかった。

その後、相変わらずキラルアは掃除をせず、文句を言いながらも今晩や明日の食費やその他の出費の事を考えて、仕事をこなしていく。

カルロットは言うまでもなく掃除をし、どんどん最初は終わるかどうかと思われていたがなんとか終われそうな状態になった。

その時、三時を知らせる時計の音が鳴り響く。

「あと二時間もあれば、終わるな。」

ふうと少し一息を着くクロウドが眼にするのは、やはりといっていいのか、立っていてかなり邪魔なキラルアだった。

「やらねーんだったら、外出とけよ・・・。」

「・・・。」

「今度は無視かよ。」

「・・・静かにしろ。」

何なんだよと言うクロウドだったが、ふと気がついた。

「・・・へぇ。仕事は二件、引き受けていたってわけ?」

「ま、そうなるね。たまたま偶然にも重なって、ちょうど良かっただけだよ。」

掃除の方もあらかた片付いたし、こっちも片付けようかと、今までかなりやる気のなさそうだったカルロットの目が変わる。

キラルアの目も獲物を捕らえるようなハンターのようなもの。

つくづく、危険な奴等だよなと言いながらも、クロウドもまたいろんな意味で物騒な人間である。

「さて、やりますか。」

チャッとどこからともなく出し、そして構えるのは左手に三本のナイフ。

ナイフを使った戦闘がクロウドは得意だった。

そして、カルロットは容姿には似合わず、物騒な銃器を持っている。彼自身がかなり改造しているものなので、この世に同じ物は二つと無い代物だ。

ある意味、武器商人としてでも働けそうである。

「ここか?」

「間違いない。」

部屋の扉の外から聞こえてくる男達の声。目的は、この部屋にあるこの絵画だろう。

彼等は盗賊団である。それも、指名手配中で、まだ正体も居所もつかめていない者達。

先日も、絵画を盗んだが、今回はいつもと違って目撃者が出てしまい、しょうがなくどこか安全な場所で保管できるところとして、ここを選んだのだろう。

「しっかりしてるよな、相変わらず。」

入ってきたと同時にナイフを投げて、威嚇する。

頬の横を通り抜け、今入ってきた扉の端に刺さるナイフ。

「・・・あれを片付ければ問題ないんだな。」

「そうだね。生きていれば問題ないみたいだから。」

物騒な会話のはずだが、彼等は気にもしてない。反対に、盗賊団の方が慌てただろう。

まさか、こんなところに人がいて、それも掃除をしていて、それなのに自分達にこれだけのプレッシャーを与えるのだから。

こんなどこにでもいるような若い男達が見せるようなものじゃない。何度も、自分達と同じような、もしくはそれ以上の危ない橋を渡ってきたものだと理解する。

「さすが、キラだね。今回、これを試したかったんだが・・・。」

残念そうに、手に持っている銃器を見るカルロット。

まぁ、彼の場合、出番が無い方がいいにきまっている。いろいろと危険だからである。

クロウドはキラルアが片付けた男達を縛り上げる。

「これ、持って行けばいいんだっけ?」

「任せた。」

「・・・帰る。」

気が合っているのか合っていないのか。そんな三人で、今日も仕事を片付けていく。





今夜、しっかりと掃除と盗賊団捕獲のお金をもらって帰ってきたカルロットはしっかりとしまいこんだ。

いつか必要な時の為に少しずつ溜めておくカルロット。

だが、今日はいつもより少し豪勢な食事だった。

こうして、今日も彼等の一日は終わる。




そして今日も、あまり目立たない掃除や配達の仕事を請け負って、生計を立てるのだった。