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水神と大雨、時々雷鳴 その日、数十年ぶりの豪雨で、酷い雷もあり、一部の地域で停電したりと、大変なことになっていた。 「ある意味で、懐かしいね。あの頃より酷いけど。」 「…。」 「前回と違って、今回は確かに貴方のせいではないわ。」 「…。」 「けど、水神なら、もうちょっとくいとめることぐらいしてほしかった。」 周囲では片づけに翻弄される人々がいる。 そのすぐ近くを一人の女が通り過ぎていくが、誰もそれに気づかないのか、こちらを見ることもない。 それどころか、女のすぐ後ろをついてくる大きなトカゲのような生き物も見えていないのか、誰も驚く気配すらない。 「…本当にすいませんでした。」 すうっと、トカゲの形をしたものが、人の形になり、前を行く女に思いきり謝った。 「ま、過ぎたことをこれ以上言うのもあれだけど。とにかく、桜妖華が必死に土砂崩れを防ぐ為に頑張ってるから、さっさと行って助けるわよ。」 「ああ。」 女と人型になったトカゲはそのまま周囲の人の目に留まることなく進み、とある学校へと足を踏み入れた。 「本当、ここは雨が降るとすぐに水につかるよね。」 ここまで酷いことにはならないから、1階にも普通に使用しているが、そろそろ考えるべきかもしれない。 そう言えば、かつては交流があったとある学校もこちらのトラブルで雨の影響が出て、地下浸水起こして申し訳ないことをしたなと思い出す。 「桜妖華。ごめん、遅くなった。」 『…来てくれたのね。』 「当たり前じゃない。」 あと、周囲の土壌が崩れたりしないように、水の流れが人の命を奪わないように押さえてくれて、本当にありがとう。そう言うと、大分消耗しているだろうに、いいのといって、笑った。 『ここは、いつか貴女が戻る時、帰る場所。貴女と出逢え、私が救われた場所。』 守りたい、そう思って、今もここにいる自分ができることをする。だからいいのだと彼女は言う。 「本当、見習ってほしい。」 じと目で隣を見ると、居心地悪そうにしながら、ゴホンとわざとらしくいい、あとは引き継ぐと彼は言った。 「散々飲んだくれて、酔っ払って今まで寝てたんだから、今度はちゃんと仕事してよ。」 「…わかってる。」 集中し、水の流れを掌握し、導く。水神の彼にとって、呼吸するのと同じ、簡単なこと。 あとは、緩んだ土壌の水を調節し、あまり得意ではないが、大地が崩れないように固定するように働きかける。 「…うん、周辺の気配が安定した。」 「当たり前だ。」 「なら、そうなる前からちゃんと仕事して。」 「…すいませんでした。」 ふぅと一息つき、せっかく会うのがこんなことでごめんと桜妖華に謝り、周囲の状況確認で歩いてくると別れた。 「いいのか?」 「何が?」 「いつも、あいつに会うとおしゃべりが長いだろ。」 「ああ…でも、今日は疲れてるから、無理させたくない。…きっと、帰るまでああしているに決まってる。で、帰ってから眠るの。」 「そうか。」 会って、昔の話をしたり、今のあたりさわりないことを話すのは楽しい。だけど、無理をさせたいわけではない。 彼女は、どれだけ疲れていても、笑顔でつきあってくれる。それがわかるから、今日は帰るのだ。 「それに、流れでほころんだ周辺結界の張り直しもあるし、ちゃんと最後までやってもらうから。」 「わかってる。」 新しい物語が始まった今、これから何が起こるかわからない。最善の策を先に張り巡らせるにこしたことはない。 「それに、はやくしないと、視える子がここにいるからいろいろ面倒だしね。」 「そうだったな。」 この日を未来として断片的に視る少女と、人から視えない自分達すら視える少年には視えてしまう。 まだ、自分達は彼等と関わるわけにはいかない。 選択肢の最終期限が迫る中、出逢ってしまったら、もう逃げられない。 きっと関わることを選ぶのだろうが、できれば関わらない方がいいに決まっている。 |