終章 仕上げ

 

 

 床も拭き終わり、展示で使用する模造紙と、表紙用の色画用紙を買って、湿気取りもしっかりと置いて。なんとか片付いた部室を見渡す。

 濡れた色画用紙の端のカットも完了し、あまりにも多いので捨てる事にした。

「お疲れ様。」

なんとか終了したので、幸里は家から持ってきたジュースのペットボトルをあけて、友香が用意した紙コップに注ぎ、杏と泉と悠美に渡す。

「・・・飲めるよね?」

「飲めますよ。」

飲めるのなら大丈夫だなと、幸里もカップに口をつける。

 空にはまだ、虹の橋はうっすらと残っていた。

 これから、文化祭の用意と印刷、そして展示用の仕上げもしないといけない。

「忙しくなるなぁ。」

頑張って新学期最初の時にはなるべくお願いねと、挿絵の件を言うのは忘れない。

「新学期はちょうど日も日だしなぁ。どうする?」

「やるの?」

「そうだなぁ。今日来ていない人達の分の表紙の下書き集めて、決定しようかな。」

 幸里は抜けたのでほっと一息。だが、目次などのページを作る作業があるので、あまりほっと出来ない。

「沢さんがやってくれるような事を言っていたけど。どうしようかな。」

「書いてもらうの?」

「ま、後々書くのは彼女達だしね。お試し?」

飲み終わった紙コップを机の上に置き、ふと思い出した。

「ねぇ。次の部長どうする?」

 去年は三年にあがるのが幸里しかいなかったので、強制的になったのだ。今は友香を引き込んで三年は二人となっているが。

「どうしようかな。かなり問題だよね。」

年齢から言えば高校一年になる沢。しかし、所属年数で言えば、副部長もしている杏や泉である。

「やりたい?」

「え?」

 えって言われたら、こっちもえっと困るのだが。

「文化祭後にあみだでもする?去年の副部長決定みたいに。」

「適当だね。」

「そういうクラブでしょ。たぶん。」

 とりあえず、今は文化祭の用意でいっぱいなので置いておく。

「原稿、出来上がるかな。」

「あ、まだやってない。」

「頑張ってね。詩?それとも、今度は物語?」

「物語が書けるわけないじゃない。」

「でも、前半書いたでしょ、この話の。」

「それはそうだけど・・・。」

 解散した後、駅までの道のりで交わす会話。

 虹の橋はもう、空から消えていた。しかし、幸里の記憶の中には、しっかりと刻み込まれている。

 去年のように、文化祭で何事もない事を祈りながら。

 そして、先輩達と会える事を願って。

 今日という一日は終わり、時期に新学期を向かえる。

 

 

 

 新学期の朝。夕立のように突然の雨が降りながらも、学校へと向かう。その間にしっかりと雨は上がっていた。

 空には、うっすらと七色の橋がかかった。

「これも、あのトカゲのせいかなぁ?」

トカゲと言えば文句を言うだろうが、幸里にはトカゲなのだ。

「悪い奴じゃなかったけどね。」

 まだ人気のない学校の門を潜る。

 今日も一日がはじまり、文芸部の活動もはじまる。

 



 終わり




あとがき
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
前作、あなたに願いをの続編として、本来の本編である桜華ではなく叶舞サイドのお話でした。
桜華が非現実なら叶舞は現実に近いお話として比較もかねて書いていました。
何より、叶舞の方は実際にあったことが一部含まれていますので、李瀬にとっては懐かしい思い出でもあるわけで、桜華より現実味があったりします。
一応、叶舞サイドはこれで終わりとなります。ですが、桜華サイドはまだ続きますので、お付き合いいただければと思ってます。