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序章 深い闇がやってくる 深い深い、その闇が やってきて全てを飲み込んでいく ぼっと、灯りがついた 薄暗い、辛うじて見えるぐらいの、闇を照らす灯りがついた さぁ、はじまるよ 我等の集会が、宴が 宴が始まる前日・・・ 早夜は、番人の正装を持ち、嫌な予感を感じていた 何かが起こる前触れのような、この感じ 思い出すのは、最近姿を現すあの黒服の存在 窓から見上げた夜空に浮かぶ月が、一瞬だけ紅く染まる 血塗れたように、紅い色に染まり、元に戻った 宴の会場の扉は開かれた 行けば、きっと何かが起こる 予感でしかないけれど、確信とも取れる何かがある また、彼女達を巻き込みかねない事になると思うと、宴の参加をやめようかと考えてしまう 「おや。行かれないのですか?」 ふわりと、窓の外から降り立った黒い影 それは、自分の心配の原因である黒服の男 「今日はいい月ですね・・・。」 「そうね。気味が悪いぐらいにね。」 「くくく・・・貴方だけだ。気づいているのは・・・。」 もう一人、気づいている人がいますけどねと言って、男は消えた そして、消えた後に耳に届いた言葉に、驚きが隠せなくなる 「させないっ、そんなことっ!」 聞いてしまったこと それは、決してありえないこと だが、あの男ならやりかねない 「灯女・・・。」 「何?」 背後に現れた気配の名前を言うと、姿を見せた 今では大人しくなった彼女に頼みを言っておく 自分が行っている間に、何かあった時のために 「お願いね?」 「わかったわ。・・・いってらっしゃい。」 すうっと灯女が消えたのを確認した後、早夜は覚悟を決めて、その正装に袖を通した そして、番人にそれぞれ与えられた言葉をつむぐ そうすれば、自動的にその場所へ運ばれる 「何事も、ありませんように。」 祈らずにはいられなかった 「明日は、楽しくなりそうですね・・・。」 高いビルの屋上のフェンスの上に立ち、夜の街を眺める男 「そろそろ、終わりですよ・・・。愚かな番人達よ・・・。」 言葉は夜の闇に消え、男も消えた 今はただ、風が変わりなく吹くだけ 少しずつ、時の流れが変わりはじめている |