一 リレー小説の相手

 

 

「今日だったよね?リレー小説の相手に会いに行くの。」

「そうだけど・・・。うわ、もうこんな時間じゃない。」

「要、急がないと遅れるわよ。・・・ほら、カードも未来がよくないと言い出しているわ。」

「夢−、今はカード出してないで・・・。あ、要鍵閉めとかないと!」

「やばいですよ。バスの時間がぎりぎりです。」

桜華高等学校文芸部の面々は慌ただしく部室を後にした。

今日始めて、リレー小説というもので知り合った相手の文芸部の所をへ行くのだ。

しかも、合同部誌をすることにして、今日はその内容を決めに行く大事な日だった。

だが、五人にはそのことよりも重要なことがあった。確かに、これも一つの活動として重要な事だが、それ以上に重要なことが起こるかもしれないのだ。

先日、活動をしていたとき、あの曰く付の窓が淡い光を放ち、勝手に開いたかと思うと季節外れの桜の花が舞い散っている。

これは以前、雅美が巻き込まれたときに目撃した現象と同じだった。ただ違ったのは、そこから相手が現れたことだ。

「どうかしたんですか?姿を見せるなんて。」

首を傾けてたずねると、少し哀しそうにしながら桜の精霊、桜妖華は訴えたのだった。

『私と同じ華の精霊が、私と同じように哀しみで心を閉ざし、孤独のふちにたち、近々表へ出て動き出していまう。』

自分が表に出て雅美を取り込もうとしたようなことが起こると、桜妖華は言うのだ。

「でも、急にどうしたんですか?それに、いったいどこでですか?」

『場所は、これから貴女方が向かう学校。そこで、取り込まれる原因となる鍵を持つ少女がいる。彼女は何も知らないから、導いてあげて。でないと、悲劇が起こってしまうかもしれない。』

自分は自分のことを知る龍華や早夜、そして話を知って手を延ばしてくれた雅美がいた。だけど、その少女は何も知らない。精霊が見えなくて混乱して悲劇を生むかもしれない。かつて自分が悲劇を起そうとした時と同じようになるかもしれない。

桜妖華はあの桜の木から遠くへと動く事は出来ないから、五人に頼みに来たのだった。

『お願い・・・。貴方達にしか頼めない。きっと、貴方達ではないと駄目だと思う。早夜は力が強すぎるから、相手は警戒してしまう。私のように知っているものではないから。』

「わかりました。今日行って、注意してみます。」

「そういえば、あっちは近々文化祭だったよね?」

「・・・あら・・・。文化祭の雲行きが妖しそうだわ・・・。私達の時と同じね。」

「どうしてこう、文化祭で可笑しな事が起こるのでしょうね?」

「さぁ?何かあったりしてね。文化祭を呪うとかいって騒ぐ人が亡くなっても呪ってるとか?」

「しゃれにならないからやめておこうね。では、とにかく今日行ってみます。」

「近々だったら文化祭かもしれないし、文化祭もこっそり行かない?」

「いいけどね・・・。」

やったーと喜ぶ京古。まだまだ子供ねと冷めた眼で見る夢のこともお構いなしだ。

「とにかく、行ってきます。何かあったら、行って下さい。」

そういって、要達はリレー小説の相手、叶舞中学高等学校文芸部へと向かったのだった。

 

 

まずは顧問の教師が待っているといっていたのだが、始めての学校で何処にいるのかなんてわからないので、門にいる守衛に聞いてみたところ、門の隣にある校舎の二階にある図書館にいるのだという。

要はありがとうございますとお礼を言って、図書館へと向かった。そこには数名の教師と生徒、それと司書がいた。

「えっと、志木先生っておられますか?」

一番近くにいた司書に聞いてみたところ、志木を呼んでくれて、気付いたらよく来たわねと笑顔で迎えられた。

「じゃぁ、文芸部の方、たぶん皆いると思うから、案内するわ。」

ちょっと待っててねと何かをとりにいったと思ったら、行きましょうと図書館を出て歩き出した。

五人は遅れないように付いていき、外に出てしっかりとまわりを見た。何か違和感は今のところ感じないので、大丈夫だろうと判断し、前にある校舎の中に入っていく志木を追いかけた。

そして、驚いたことに、文芸部は地下にあった。しかも、下駄箱もだ。

「あら、二人は今来たの?」

部室前には二人の生徒の姿があった。どうやら、彼女達が部員らしい。

中はなにかしら賑やかな声が聞こえてきた。楽しくやっているみたいだなと思っていると、二人が扉を開けた。

「いらっしゃい、お二人さん。」

中から声が迎えた。

「こんにちは。」

「こんにちは・・・。」

声の主である部長に挨拶をする新入生。

「皆そろっているわね?」

高めの声で部室を見渡して、部員がそろっているかどうか確認する。

「相手の方達が来たから、連れてきたのだけど、大丈夫だったかしら?」

「・・・ええ、今はまだはじめていないので問題ありませんよ。」

なんだか、急に空気が変わったように感じたのは気のせいだろうか。とにかく、中へ入るように勧められたので部室へと足を踏み入れる五人。

 


 これが、叶舞と桜華の文芸部が対面した瞬間だった。