|
最終章 あなたの願いを まずは表紙を決定し、どれを最初で最後に持ってきて、中はどの順にするかなど、人数も作品も多いので結構時間がかかったが、皆満足のいくようになった。そのはずだった。 「また最初・・・。しかも、これまで・・・。」 「また最後だ・・・。なんでこれまで・・・。」 と同時に同じようなことをいう二人がいたが、あえなく無視される。 二人ははぁと同時にため息をついて、今は作業をしなければいけないと動き始めた。 今回は休日ということもあって、ほとんど生徒はいないし教師もいない。だから、作業中に印刷しにくるものはほとんどいないので、占領して使える。 「さ〜て、さくさくやりましょうか。」 まずは志木に始める事を伝えて、今回はもう一台使えるので、そのもう一台の管理者である瀬戸 直美にも連絡しないといけない。 「こちらも瀬戸先生の方にもいきますが、そちら側の印刷機での印刷はそちらから出す人に任せてもかまいませんか?」 「問題ないですよ。」 そういって、機械を覚えるのがはやい芳と運ばせる為に雅美に確認をとった。 作業は始まった。長い長い作業は始まった。 今は一時過ぎ。今日中に追われたらいいなと誰もが思ったが、かなり難しいところだ。 「いってらっしゃい。」 風妃は幸里と双葉と惟智と雅美と芳の五人を部室から送り出した。 作業はスムーズに進められていった。 「そろそろ、印刷と運びの二人と変わらないとね。」 そういって、印刷を教えて慣れてきた幸里に任せ、戻ってきた惟智と未玖に交代を頼む。要達の方は印刷はそのままで、運びを京古に頼んだ。 「次、交代してきてね。」 そういって、後半も頑張る。時間はもうすでに三時を回っていた。 「まだ、テープ止めないといけないのよね・・・?」 「・・・それ、言わないでほしいなぁ・・・。気が遠くなるから。」 「あら?私は事実を言っただけよ?それに、占いでは今日中に終わらないと出ていたもの。」 そんなことを占っているのなら、黙っていてほしいと思う要。 そこへ、よく印刷日に手伝いに来る吉野 秋が現れた。 「あ、よしちゃん。」 「手伝いにきた。・・・でも、邪魔だった?」 「そんなことないよ〜。ありがたいし。」 何故、別のクラブの部長が部員でもないのに手伝いに来るのか謎だが、いつも気にしない。ゲストとして中身を書いている人だし、この四人の知り合いだから現れる人だと幸里は認識していた。 「あ、あと十ページ分だ。」 今自分の折っているページ数を見てつぶやくと、あと少しだと、はりきる人達。 「あ、ちょっと電話してきます。」 現在は五時半。作業途中だが、いつものように杏は電話をしに外へ出る。だが、皆気にせずに作業に没頭する。今はこれを全て終わらせることしかない。 「終わったー。」 杏が戻ってきて、しばらく作業をした後、表紙を含めて印刷と下準備完了だ。 「やっぱり、人が多いとなんかいいよね。それにさ、こんなに太くなるの始めてじゃない?なんかうれしいー。」 「それに、百部もはじめてだよね。」 今回は共同という事で、五十ではお互い二十五部で少ないので百部という長い道を目指したのだった。 「やればできるものだね。」 そういうが、テープはまだだ。 「もう遅いし、今日はお開きにしましょうか。」 「明日も休みですし、明日もよろしいですか?」 「こちらはかまいませんよ。受験でもありませんし。」 それを言われると少しいたい風妃だったりする。 「それではまた明日。解散!」 こうして、皆それぞれ帰路についた。 次の日の休みも、一時から集合して、今度は部室ではなく適当な教室へいって作業した。 「どう?今日中に終わりそうかしら?」 「ええ、今日中に終わらせる予定です。」 それだけ聴いて、用事があるからと志木はどこかへいった。 皆一生懸命やって、やっと、本当の完成というゴールに到達したのだった。 その後皆で志木が出してくれたお金でお菓子とジュースを簡単に買ってきてそこで小さなお祝いのようなものをした。 こうして、長い共同制作は幕を閉じたのだった。 今は四月。三年だった四人は卒業していった。 「あの話、しっかりと読んでくれたかなぁ?」 幸里はあの日作った共同制作の部誌を読んでいた。 「・・・気付いてくれるよね?」 パタンと冊子を閉じて本棚にしまった。 『あなたが願う願いを、叶うように私は願いましょう。』 あの話に出てくる精霊の言葉を借りて書いた、幸里から四人の先輩への卒業の言葉。 今年も楽しく過ごせたらいいなと思いながら窓の外をみた。 風に舞う薄い桜の花びらがあの日の紅い花びらを思い出させるかのようだった。
|