第四章 文化祭当日

 

 

 とうとう文化祭の当日がやってきた。

 昨日は部員全員の努力のかいあって、なんとか準備は終了した。

 クラスの舞台の方も、朝から急遽増える事になったシーンの練習に朝の早くから来てやっていて、あとは本番を待つのみ。

 また、少々変更箇所が出たらしいので、その確認をして、最初から最後までの流れをおさらいして、やってきた友香と麻那におはようと挨拶を交わす。

「どうなるかねぇ?」

「さぁ?はやく終わってしまいたい。」

「それもそうだねぇ。」

そんなことをいいながら、待機場所で椅子に腰掛けてくつろぐ。

 もうすぐで開会式。そして、文化祭の始まり。その後一時間もすれば自分達の舞台の宣伝としてグラウンドへ主演者達は行くし、その四十分後には本番。

 あまり動かずに、体育館の演目を見ていようかということになり、開会式が終わり次第、幸里と友香と夕子の三人は薄暗い体育館で時間を過ごした。

 そしてまず、宣伝としてグラウンドでパフォーマンスをする時間になったので、一度外に出てグラウンドへ向かった。

 自分のクラスはどんなことをしているかを見る為に。

 主演は十数名と少々少なかったが、舞台へは裏方以外全員出演ということがあったので、買出し組や飾り担当だった人達の一部はこの宣伝に出ている。

 本番の舞台にもちょっとだけ台詞もなく登場するのだが、宣伝に動いた彼等は結構やる気になっていたりもする。

 宣伝は話の内容の出だしをちょっとやる程度。のはずなのだが、出だしに少々つけたしがあった。

 音楽と共に舞台へ上がる彼等。踊り、歌い、最後に宣伝を忘れずにして舞台を降りる。

「・・・短期間でやったには結構できてるよね。」

「そう言えば、昨日八時までやってたみたいだよ?」

「まじで?」

今のこれは、ほとんど一日でしたものだ。主演メンバーは前もって練習していたが、途中で飾組の人が増え、結構手直しされたのだった。

「そういえば、夕子も幕やるけど、舞台にも出るんだよね?」

「そう。えっとな、最後に姫の結婚だったけ?それを祝うので周りにごちゃごちゃ出てきてくるくるまわるの。」

「・・・まわるだけ?」

「そう。簡単やろ?でも、出たくないから買出しだったのに・・・。」

「ま、それは諦めなさいよ。」

そこまでいって、時計を確認して四十分後の本番に向けて、カセットを取りに行かないといけないと、三人は待機場所へと向かった。

 そこでは、衣装を着替え、やる気ばっちりの主演メンバーがいた。

 若さがうらやましいなぁと思う幸里がいたとか・・・。

 

 

 自分達の前の項目が終了し、休みを十五分入れて、本番を迎える。

 幸里は夕子と別れ、友香と共に音響をするため、舞台袖から上に上がり、舞台と正反対の上へと向かった。

 実は、ここはある意味で特等席だったりもする。何せ、体育館の舞台がまっすぐ前にあるので、よく見えたりもする。

 着いた場所では生徒会の担当者一人と教師が一人、そして照明の二人がいた。

 今回、照明の注文が結構多かったので、いくら八人いたとしても、忙しい。

 それを考えると、音響は結構楽かもしれないと思ったりもしたが、油断は大敵と、鞄からカセットを取り出す。

 休憩中に流れていた曲は泊まり、舞台が幕を開ける。

 

 

 王と后の二人が娘の相手を選ぶ為、国中に知らせを出しました。

『次の国王に誰がなるか』と、国中に娘の相手を立候補するものに呼びかけました。

 すると、集まったのは百を越える若い男がいました。

 その中から、十数人に絞れた頃、娘のお姫様がそれぞれに課題をだしました。

 といった、洋風かぐや姫のような、それでもってオリジナルのお話。誰が考えたのかは不明・・・ということになっているが、ほとんどの者は誰が考えたのか密かに知っていたりもする。

 お姫様の課題は難しく、どんどん脱落者が増えていく中、最後の一人になったとき、広間の入り口が開き、一人の若い男が現れました。

『こんにちは、お姫様。お初お目にかかります。』

現れたのは魔法使い。気まぐれだが腕は確かで有名な魔法使い。

『どうしてこんなところへ?』

『それはもちろん、忠告をするためですよ。』

そういって、魔法使いは姫に忠告をしました。同じことを繰り返しても、集まるものは同じで、決して貴方の眼に適い、伴侶となれるものはいない。そう、魔法使いはいい、姿を消したのでした。

 お姫様は失礼な人だといいながら、最後のものの課題を審査したところ、結局彼女の眼には適いませんでした。

 同じように、数日後再び知らせをだして同じように課題を出して最終審査をしましたが、課題にチャレンジしたものは前回と違いましたが、彼女の眼に適うものはいませんでした。

 王はそれからも二度三度、同じように行いましたが、結局駄目でした。魔法使いの言うとおり、お姫様の眼に適うものは現れなかったのです。

 ならばと、お姫様は魔法使いならば自分の相手となるべき相手がわかるはずだと、魔法使いを訪ねにいこうとしました。

 そんな感じで進んでいたが、ふと何かおかしいことに気付いた幸里。

 なんと、あるはずのないものが舞台に舞い散っていた。紙ふぶきは最後なので、今あるのはおかしいのだ。

「ねぇ、あのひらひら飛んでるもの、何だと思う?」

隣にいる友香にそっと聞くが、そんなものはないという。どうやら、あれが見えていないらしい。

 いったいどうなっているのだと首を傾げていたら、下の席にあの文芸部の面々がいることに気付いた。

 様子を見ていると、どうやら彼女達はその花びらが見えているようだった。小さく指を刺しながら、何か小声でいっている。

「ねぇ、このままこのカセット流しておけばいいんだよね?」

「そのはずだよ。どうしたの?」

「ちょっと、下いって来る。あれ、おかしいし。」

そういって、友香の返事を聞かずにその場を離れる。後ろにある扉から校舎の階段を使って下に降り、とにかく彼女達と合流しようと考えたのだ。

 

 

「桜妖華の言うとおり、みたいね。」

「まったく、どうして私達はこう、おかしなことにばかり巻き込まれてしまうんだろうねぇ?やだやだ。」

要と芳は目の前に現れた、通常の人には見えない花びらを見てため息をつく。彼女達は、桜妖華と出会ってから、こういったものはよく見るようになったのだった。

「でも、結構面白い体験だと思うけど?だって、普通じゃできないことでしょ?」

「あら?それじゃぁ、貴方だけあちら側に取り込まれてみるかしら?そうなるように、仕組んであげてもよくてよ?」

「それは遠慮しとく。夢は手加減ないからさ。」

楽しい体験は今のうちにしておくべきだが、夢が企めばなんだかこういった事態より恐ろしく感じるので辞退したいと思う京古。

「でも、これが無害かどうかはわからないから、何とかしないといけないかもしれないわね。」

腕を組んでどうしようかと考える要に声をかける人物がいた。

「あの、川神さん。」

肩を二度ぽんぽんっと叩いて呼ぶのは幸里だった。

「あら、貴方は確か、ここの文芸部の印刷していた方ね。名前は確か・・・。」

「水茨さんですよ。で、私に何かようですか?」

「えっと、確認しておきたい事が一つ二つと・・・。」

「・・・何か?」

「皆さんは、見えていますよね?舞台を取り巻くあの花びらを。」

舞台を指差していう水茨の言葉に、目の前にいる五人はそれぞれ反応を見せる。

やはり、彼女達は見えているのだ。

「同じ音響で友人の子にはどうやらあれが見えないみたいで、もしあれで何かあったら困るなと思って・・・。」

確かに、今ここで何かあれば困るのは幸里のクラスだけではなく生徒会や教師達が慌ただしく動く羽目になるだろう。

「今はなんとも言えませんが、確かにあれは私達には見えます。そして、通常の人には見えません。」

「貴方が見えるのは不思議なのよね・・・。どうしてかしら?」

そういった夢の言葉にもしかしてと、雅美が一言。

「これって感染する?」

「・・・ありえない話ではないけど・・・。」

「突拍子もないこというなぁ・・・。ま、いいけどね。」

「そっかぁ、感染しちゃうのか。じゃぁ、気をつけないとな。」

「私達はこういったことの危険人物扱いになりますね。」

そんなことを五人はいとも呑気にいっている。

幸里の所属しているここの文芸部もけっこうこのような感じだが、こんな通常ありえないことが起こっていることに関しては別だと思う。いや、思いたいのかもしれない。

「とにかく、しばらくここであれの様子を見ておきます。あとで、彼女達・・・呼んできてもらえますか?」

「部長達、ですか?」

「そう。感染しているとしたら、見えるかもしれないでしょう?そういった場合、結構巻き込まれやすいので。」

「とにかく今は貴方の仕事をするべきです。私達が今日、ここへ来た理由を後で話しますから。」

彼女達がそういうので、幸里はとりあえず、あと少しなので仕事場所へと戻る。

「私達の文化祭同様に、ここでも大変なことになりそうね。」

 まだ、文化祭は始まったばかり。先はまだまだ長い。

 この先何が起こるかは、起こってみてからでなければわからない。