|
第三章
文化祭前日 幸里は土曜ということで、電車の時間を気にしすぎて、学校へはやく来すぎてしまった。 「・・・とにかく、クラスの方の仕事の説明聞いておこうかな・・・。」 最近、朝はやくから来るクラスメイト達の事を思い出して、自分の仕事で、変更部分を確認する事を思い出した。 集合場所へ行くと、すでに舞台に上がるメンバー達は集合して練習を開始していた。 幸里のクラスがする文化祭の出し物は、舞台で演技だった。 もちろん、幸里は舞台に出るのではなく、裏方で動く。 「あ、おはよう。」 中に入って、クラスメイトに挨拶をし、自分の荷物を片付けて、台本とペンを手に持って、確認の内容を聞く。 「こっちの音はこれに変えて、あ、ここはなくなって、こっちに変わったから。」 一つ一つ説明を聞いて、台本に書き込んでいく。これを間違えば、おかしなところで、まったく関係のない音が入ってしまうので気をつけないといけない。 ある程度確認して、リハーサルまでに流れを覚えようと台本と睨めっこをしたいた時、友人の芳川 友香と山本 夕子がやってきた。 「あ、おはよう、お二人さん。」 「おはよう。」 二人はかばんをおいて、幸里の書いている内容を見た。 「あ、もう聞いたん?」 「うん、さっき。はやく来て暇だったから、休憩中だったみたいだから聞いといた。」 「でも、うちのは聞いてないのやろ?」 「そりゃぁ、夕子とは仕事が違うからねぇ。舞台幕でしょ?」 「そうだけど・・・。」 二人とも、かばんから台本を取り出して、夕子は最終確認をしに聞きに行き、友香は幸里の内容を写した。 「しかし・・・。ありえないー。」 「ちょっと、水茨―。やめてよ。」 ありえないと暴走しながら、巻き込んでやるという感じでこしょこしょをしかける。それに反応して、友香は逃げる。そうやって、しばらくの時間を楽しんだ。 リハーサル前の最後の流しをする為、全員準備を始めた。 時間が来たので、リハーサルをする為に体育館へとやって来た。 「音響照明は来て下さい。」 と、誘導する生徒会の掛け声に集まって、ついていく。自分達にあてられた仕事をする為に。 リハーサルは無事に行われて、あとは今日やったことを忘れない事と、舞台に上がる人間がどじを踏まなければ問題はない。 「今日は解散!」 そういって、クラスメイト達は放課後練習もしくは帰る、部活に出るとそれぞれわかれて行動した。 「芳川ちゃん、福川さん、悪いけど、部活行くから。」 「そっか、わかった。先に帰るな。」 「バイバイ。」 幸里はクラスメイトの友香と福川 麻那と別れ、部室へと向かった。 部室には既に人がいた。 「こんにちは。」 扉を開けて、既に来ている風里と梓月に挨拶をした。 「いらっしゃい。」 部長はそういって、二十分待つと指示を出す。二十分の間に、他の先輩は来るらしい。新入生は少し予定が違うので来ないかもしれないので、メモを残して、会場となる教室へ先に行く事にする。 二十分経過すると、本当に未玖と平宮は来た。 「さて、皆さん。きびきびと働きましょう。」 「はーい。」 と、作業開始である。 会場となる教室は、部室のある校舎の二階の特別教室だ。 一年の間に作った部誌と本の紹介、そして志木が行った、アンケート調査の結果報告。 アンケートは全校生徒に、どんな本と漫画を読むか、どんな時に読むかなど、いくつか質問が書かれた紙に答えられたものを、志木がまとめて、幸里達に結果を書くように指示して、今に至る。 「でもさぁ、こんなのやって、誰か見るのか?」 「さぁ、あの人の考えることはわからん。」 「でも、今までなかったから、それはそれでいいんじゃないですか?」 「そうだったら、あの人が最後までやったらいいんやんか。」 「それをやらないから駄目なんだよね・・・。」 五人それぞれ感想を述べながら、今回まとめたその結果の模造紙を、教室を囲うように並べたパネルに貼り付けていく。 「よし、終わり。次は本の紹介っと。」 全員、それぞれ書いてきたものを出して、それぞれ同じようにパネルに張っていく。 そこへ、お決まりのごとく、志木がやってきた。 「・・・また、きた・・・。」 小声でポツリという風妃。志木には聞こえていなかったようだ。まぁ、聞こえていても彼女は気にしないだろう。 「どう?できてる?」 「はい、なんとか。」 風妃の中では、いちいち出てくるなという感じで荒れているだろう。 それが、よくわかる。だが、誰もそのことには触れない。皆、触らぬ神には祟りなし状態なのだから。 志木が教室内に残っていた教卓の上に花瓶を置いて、花を生けていた時、パネルを必要としているクラス、クラブは取りに来て下さい、と放送が入った。 「よし、行くか。」 「頑張ってきてね。」 志木がそういうが、風妃ははいと答えて、すぐさま教室から出て行った。他の部員も続くように出て行った。 今はいくら敵だとしても、はやく運びを終えてしまいたいのだ。 「こういうときって、人数少ないってつらいよねぇ〜?」 「言うな、道が遠くなる。」 「でも〜。」 そんなことを風妃と未玖は話しながら、地下にある生徒会室前までやってきた。 この前にある倉庫にパネルがしまわれているのだ。 「えっと、どこのクラブですか?」 生徒会がチェックを入れる為に聞く。 「文芸部です。えっと、枚数は九枚。」 「えっと、文芸、文芸・・・あ、文芸部ですね。」 確認してチェックをいれ、奥からパネルを取り出していく。 「はいどうぞ。」 「枚数分はこっちによけて置いておきますから。」 「わかりました。」 風妃と未玖、惟智と双葉。そして・・・。 「・・あまってしまう私はどうすれば・・・?」 一人でこれを一枚運ぶのはきついだろう。 「持てなくはなさそうだけど、持ちにくいし・・・。」 そんなことを考えていると、ふと志木が現れた。 「どうしたの、水茨さん。」 先ほどまでは特別教室にいたはずの志木が確かにここにいた。 「えっと・・・。」 「あ、そっか。五人だから人数が足りないのね。」 なら手伝うわとにこにことしながら片方を持って幸里を手招きする。 今はしょうがないかと思いながら、幸里は志木に従い、パネルを運び始めた。 作業は全員四往復して終わる。 「よし、終わり。お疲れ様でしたー。さて、次はあの残りをするよ。」 そういって、まだと中の作業を指差す。 まだまだ、用意が終わる気配はない・・・。
|