ここは、小中高校とある私立の高校、叶舞。

今日も、平和に一日を始めて終わる…はずだったのだが…?

「あーもう!何でページが合わないのよ〜?!」

今では元がついてしまう部長だった彼女、楼湖 風妃が叫んでいた。







   番外編 最後の制作







いかにも平和で学校は基本的に講座を受ける生徒のみがやって来て、その他の生徒は休みである第二土曜日の事。

彼等文芸部は、顧問の都合などにより予定がくるいつつも、今日に印刷日を持ってきた。

いろいろと予定が変更されて困りつつも、全員が集まった。

先輩は忙しいのにと思いつつ、以前連絡で電話した時の事と、担任の事を思い出す。

まだ、部長だけは試験が終わっていないのだ。その大切な時間を割いて今日やる事になったのだ。

それがどうだ。全員が暴走号という部誌の名前のごとく、かなりのページ数を記録し、今はそのページを入れたのだが、なぜか合わず、彼女は叫んでいた。

「何でー?!」

「絶対おかしい!」

「ろうちゃんが書き間違ったんじゃないの?」

「ろうちゃん言うな。それに、間違ってはないと思うよ。だって、書いたし。」

なんでだとうなりながら四つに原稿を分ける。

「絶対、何かの呪いだー!」

「きっと私のせいだー。」

「何かついてるんだ。」

「この前からおかしいんだよ。さて、全員見直しするぞー!」

まだ、彼女の権力は健在だったりもする。

授業がなく、学校へこなくなった四人がそろい、ページの確認に自分の分をぺらぺらとめくっていく。

その横で、たった一人残る高校生であり、拒否権なしで部長になる羽目になった水茨 幸里が中学新入生の二人、永倉 杏と木咲 泉と困っていた。

なんと、こっちはページが多すぎたのだ。

そんなこんなで、二時間も作業が遅れる事になってしまった彼女達。

結局、三年生組の間違いは発見されて書き直し、幸里達の方は、ページを急遽増やして下準備を完了させた。

今回も、文化祭同様に三種類つくることになる。部数は少ないのだが、どれもページが多い。特に、三年生組が圧倒的に多い。

心配なところは、ホチキスがとまるかどうかの事。大丈夫なんだろうかと思いつつ、作業を開始。

とまぁ、こんな感じで今日も顧問と立ち向かう。

今日中に終われるのだろうか?それは誰も言わない、考えたくもない謎で事実。

 

 

作業はゆっくりながらも続いたが、現在の時間は6時前。中学生はそろそろ帰らなくてはいけない。さらに、先輩達組はそわそわしだす。

「あー、もう。テレビがー!」

「予約してきたらいいじゃない?」

「してないわよ、そんなもの。」

「私はしてきた。でも、見る。」

「見れるかー!」

それを見守るのは、幸里が連れてきたクラスメイトの芳川友華。彼女は黙々と作業を続けていた。

その後、上の教室へ移動してもいいかという提案をし、移動した先輩達。何をするのかなぁ?と幸里は印刷していた杏と交代し、先輩の分の印刷を開始する。

中学生の二人が帰ったので、来ない原稿を回収するのと同時に、印刷したいくつかの束を持っていった。

するとそこでは…。」

「…先輩…。」

「あ、ありがとう。」

「うわ、来たー!」

などと言う。つくづく、相変わらず先輩は先輩だなと思う幸里だった。

そう、彼女達は教室のテレビを使い、見たかった番組を見ていたのだった。もちろん、しゃべっている時と変わらず、手はしっかりとうごいている。そこは、さすがだと思う。

戻って印刷をして、なんとか先輩達の分は終わったが、卒業式にあげる予定の最後の部誌は出来なかった。

来週という予定で今回は切り上げて解散する事にしたが、昼間言っていた通り、疫病神が誰かにいるのか、幸里はインフルエンザにより、印刷日に行けなくなった。

そのおかげで、たまたま来た元部長は少し嫌な顔をしつつ、手伝い、巻き込まれてしまった友華も手伝う。杏は欠席で泉と三人と言う驚異的に大変な事態となってしまった。

それを、今日熱が出なかったらもう学校が行けると考えつつ、今頃印刷かなとのんきに考える幸里の事なんか、気にもとめる余裕もないだろう。

 

それからしばらくして、どうしてか集まる三年生四人組。幸里も用事があって、部室に行ったらすでに彼女達はいる。

そこでふと、今日は三年生が出席してどこか行っていたような事を思い出す。

床には、分厚い冊子が並んでいた。

「あ、水茨さん。アレは何?!」

元副部長だった山杜 未玖が言う。最初は何のことだろうと思ったが、風妃がいう事でよくわかった。

彼女は読んでいた。卒業用にあげようとしていた部誌の内容を。

わかっても、アレは何と言われてもアレはアレとしか言いようがない。これでも抑えて書いて、かなり似ていると思うのだが。まぁ、受け取り方はいろいろあるのでどう受け取ろうが、私にはどうでもいいのだが。

「…読んじゃったんですか?」

「あはは。」

「楽しみなくなるじゃないですかー。」

これでは、せっかくあげたときの楽しみがない。

「あ、インフルエンザ、大丈夫?」

奥にいた平宮 惟智の問いに大丈夫だと答え、これはもらって行きますねと、今日ホチキスがおされたであろう分厚い冊子を頂く。

「またねー。」

「はい。」

部室を去る幸里。その後、どんな会話が繰り広げられていたかなんて、知らない。

だが、縁というものはすごいと思う。

帰りに顧問のところへ寄ってからしばらくして友人と帰ったので、結構時間が経っていた頃。

駅前で彼女達を発見した。

さて、縁はいつまで続くのかな?

 

今日も、文芸部は賑やかに一日の幕を引く。