今年も出す、年賀状

唯一の繋がりともいえる、もの

出会いはちょっとしたきっかけ

その後は皆会う事はなかなか出来ないけど

ずっと一緒だよといった約束があるから

このままが続いて、いつかまた一緒にいられると思っていたから

その時は考えていなかったんだ

 

 

 

  届かない年賀状

 

 

 

もう書いた?と聞いてくる母親にもちろんと、幼い少女は頑張って書いた四枚の葉書。

去年も出した、年賀状。今年もその時期がやってきて、少女はずっと、夕食も食べずに一生懸命書いていた。

母親も、年賀状の相手を知っているから何も言わずに見守っていた。

「ほら、終わったなら食べないと駄目よ?」

そういって、母親は少女、雅美を抱き上げて、テーブルにつかせた。

 

雅美と彼女達、あの五人が出会ったのは、あの日あの場所で起こった事件がきっかけであった。

たまたま五人共、母親に連れられて、最近出来たデパートの安売りに連れて来られていた。

そこで、事件が起こったのだ。

そこには、使用人達の目を盗んで逃げ出した、雅美の友人、そして、多くの会社を経営する社長の娘がいた。

一人になるのを待っていたと言わんばかりに、五人がその場にいた時に体の自由を奪われた少女。

雅美はもちろん、助けようと走っていく。その時に、危ないから駄目だと、腕をつかむ相手がいた。

見ると、そこには同い年ぐらいだがしっかりとしたお姉さんに見える少女がいた。

「駄目。今行っては駄目なの。」

近くにいた綺麗な長い髪を持つ少女も同じように、下手に動いては駄目よと言った。

そう、その二人こそ、要と夢だった。

男達は友人を連れて逃げ出そうとした。周りは気付いていなかったから、簡単に逃げる事は出来る。

目撃者はここにいる小さな子供五人だけ。

「どうしよう。唯ちゃんが…。」

要の袖をつかんで、今にも泣き出しそうな雅美。

「だーいじょうぶ。とにかく、気付かれないように追いかけるの。」

そういって、よしよしと頭を撫でてくれる少女。彼女が京古。

「ここから一番近い出口は非常口だけど、どうするつもり?」

そう、子供とは思えない口調で冷静に何かを見ながら言う少女。彼女が芳。

「…う、追いかける。お願いして、…唯ちゃん…。」

ここではじめて出会った五人は誰も何も言わずに協力し合い、追いかけた。

下手に言っても混乱させるし、見失って逃げられても困るのだ。

「非常階段からだと、下へは裏口だから…。」

どうしてそんな事を知っているのと聞けば、このデパートは父親が設計し、構造も設備も整えたので、よく知っているのだと、芳は答えた。

裏口はしっかりと開いていて、男達はすでに姿は何処にもなかった。

「…南、ね…。」

何かカードを見てつぶやく夢。どうしてわかったのか判らないが、そうなのならば急ぐに越した事はないと、南に向かって走りだす。すると、少し向こうにあの男達がいた。

少女を抱えて、車に乗るところだった。

「唯ちゃん!」

雅美の声で、男達は焦ったのか、慌てて扉を閉めて車を発射させた。

「どうしよう〜。」

また泣き出しそうな雅美をよしよしと宥めながら困り果てる京古。

「…要さん、車のナンバー覚えられましたか?」

「…咄嗟だったから、少ししか…。」

はっきりと覚えていなければ訴えても同じキーワードでならたくさんある。

「車種は特定できたんですが…。」

芳と要がどうしようと困っていた時、夢がまたカードを見てつぶやいた。

「近くにある光。七つの数字を持ち、希望への言葉を持つ者。」

「どういう意味?」

「さぁ?」

怪しげに笑みを浮かべながら首をかしげる夢。駄目だと芳は奥であたふたしている京古に声をかける。

「えっと、京古さんは覚えていませんか?あの車のナンバー。」

「そんなの覚えてないよ〜。」

さらに困り果てる京古に、車のナンバーなら、覚えているよと、けろりと答える雅美。

しかも、全てばっちり覚えていた。これなら、もつ車は一台しかない。

芳がすぐさま何かを文字打ちする。要が何か言いながら、二人はメールを送った。

 

 

その後、いろいろあって勝手に何処かへ行ったと怒られながらも、連れて行かれた子が助かった事を知って安堵の笑みを見せた。

 

そして、その日から数日後。五人はそれぞれに年賀状を書いた。

雅美にとっては覚えたところの文字を使って書く年賀状は楽しめた。

 

 

今年、二回目の年賀状を書いた。

それはポストへと投函されて送られた。

 

だが、届く事はなかった。

一枚も、届く事はなかった。

 

彼女達全員、別の場所へ引っ越していた。

雅美もまた、引っ越していた為に、届く事はなかった。

 

 

そうして、お互いからの年賀状も手紙も届かなくなって数年。

 

 

そんな事があったなと久しぶりに思い出した雅美の元へ、一通の手紙が届いた。

それは、懐かしいあの四人からの手紙。

四人は同じ場所で再会をしていた。

そして、近々会おうという、言葉で締めくくり、やっと、手紙が届いた。

 

 

高校へ入学して五人がそろう、一年前のお話…。

 

 

 

 終わり




     あとがき

  何故かシリーズ化の如く、続いていく文芸部面々のお話です。
  本人が結構気に入っているので書いているというのも理由なのでしょうが…。
  さてさて、今回は過去の五人の出会い編です。
  しかし、なんだか無理やりな設定です。うう。
  この時から彼女達は普通の子供からかけ離れていたのかもしれません。
  京古ちゃんが、一番まともかも。たぶん。夢ちゃんと芳ちゃんはかなり年齢サバ読んでいる気がします。
  いいのかなと思いつつ、このお話。
  過去の出来事としては、この内容がだいたい五分の一かな。
  とりあえず、お正月なので、年賀状を書く五人様という事で。