|
一人残さないと誓いましょう 「そっちへ逃げたぞー!」 今晩も月明かりを頼りに逃げる女泥棒は、追っ手からだけでなく、先日惚れたと言った悪魔という二つのものから逃げていた。 「あんたのせいでばれたんでしょ!あっちいきなさい!」 「え〜俺っちはマーリンと一緒がいいのだが。」 「あんたの髪は目立つのよ!」 泥棒は捕まればそれでおしまいなのよと言えば、少し考えて、アーノルドはマーリンを抱き上げ、何かを口ずさんだと思えば空に飛び上がった。 「ちょっ、何してるよのっ!」 おろしなさいと暴れるマーリンを落とさないように必死に耐えるアーノルド。 「落ち着くんじゃ。俺っちはマーリンが捕まることは望んでおらん。」 ほれと、追っ手の行く先を指差した。なんと、そこには『マーリン』がいた。 「えぇ?!」 次のあの角を曲がれば消えるから、奴等も驚きじゃろうなと笑うアーノルド。まさにその通りになったので、やはりバカっぽいがこいつは悪魔だったんだと再認識せざるえないマーリンだった。 「ま、見つかった原因はあんただけど、助かったのもあんたのおかげだからお礼はいっとくわ。」 「やった〜マーリンからお礼〜。」 喜ぶ顔はまるで子どもそのもので、面白い奴だなと思った。そこまでは良かった。 その後、アーノルドにキスさえされなければだ。 「お前は何やらかすんじゃー!」 と、つい空中にいるというのにアーノルドの頬を思い切り殴った。 もちろん、バランス崩したアーノルドはマーリンを支えられるはずもなく。 「げっ・・・落ちるぅ〜。」 やっぱ悪魔は悪魔じゃねーかと心で文句を叫びまくり、これで死ぬのか、こんなことのために一生終わるのかよときっと目をつむって落ちるのを待った。 しかし、落ちることはなかった。 「危なかったさ〜。」 ふうっと一息つきながら、マーリンをしっかりキャッチしたアーノルドがいた。 「まったく、いきなりグーはおなごがすることではないぞ。」 驚いたではないかと言うアーノルドにあんたがいきなりキスするからだともう一発おみまいしようとしたが、しっかり今度は避けられた挙句にしっかり腕を攫まれた。 片腕でしっかり抱きかかえられるとは少し不覚だと思いながらいると、 「何をいっておるかあ。礼はあれにきまっておろう。」 そう祖父が言っていたと自信満々に言ってのけた。 「はぁ?」 もう、それは見事な間抜け顔だったであろう。そして、初めて悪魔というものを恨んだ。この悪魔の祖父という肩書きを持つ悪魔であろう人物を。 「こっちではね、お礼はキスじゃないのよ。ありがとうって言葉やプレゼントなの。」 「おや、そうなのか?」 「たまにキスという例外もあるけどね・・・今の貴方は私にとってその例外のお礼に値する人物じゃないの!」 わかったかとはっきり切り捨てたつもりだった。しかし、相手は悪魔。常識なんてものは通用しないのだ。 「ならば、俺っちがその例外になれる男になればよいのだな。」 明日から頑張るぞと反対にやる気が増えた。もう勝手にしてちょうだいとマーリンでなくても言うだろう。 「あ、そうだ。今晩はマーリンを連れて行きたいところがあってだな・・・。」 だから、迎えにきたんだと、わざわざ目立つ悪魔が来た理由を述べた。 「行くぞ〜。」 と、断る間もなく飛んで行く。さすがにここで止めてもややこしい面倒な会話になりそうなので諦めたマーリンはついたその場所で驚くはめになる。 「すごい・・・。」 山に囲まれた人があまり入り込めないその場所に咲き乱れる一面の花。 「俺っちのお気に入りの場所なんだぜ。」 へへへっと笑うアーノルド。悪魔だけど、人よりいい奴だと思えた。マーリンにとって、この悪魔よりも人間の方が憎い存在だからだ。 「ねぇ・・・一つだけ聞いていい?」 「ん?俺っちが答えられることなら何でも答えるぞ。」 マーリンのためならなと豪快に笑う男。悪魔なら、たとえ騙されても恨めるかもしれない。でも、この悪魔なら私をおいていくなんてこと、しないかもしれない。 「私を置いて先に逝くような悪魔なら、私は今すぐ貴方をお断りする・・・と答えるわ。貴方は、私より先に逝くなんて事、絶対にしない?」 しばらく考えたアーノルドは言う。 「絶対とは言えない世の中だから言えん。だが、俺っちはマーリンをおいていくようなこと、するつもりはないぞ。」 女一人守れぬ腰抜けは根性たたきなおしてやる〜ってじいちゃんがあの世から戻ってきそう出しなと笑う。 この男なら、希望を持ってもいいのかもしれない。少しだけそう思った。 この場所を知るこの悪魔なら。 この場所に花を植えたのは、マーリンとかつて一緒にいた、育て親の二人。 今は亡き二人を思い出し、涙が零れる。だから先ほど、二重の意味ですごいと驚いたのだ。 あの時の種がこんなにも咲き誇り、彼等が生きていたらきっともう一度戻ってきてこの光景を見ていただろう。 「私は・・・私より先にいなくなる人は絶対に好きになんかならないからねっ。」 「なんかようわからんけど、俺っちはマーリンおいていくようなことはせんぞ?」 むしろ俺っちの方が寿命が長くてマーリンにおいていかれそうだと冗談を言う悪魔に抱きつく。これ以上、涙を見られたくなかったからだった。 アーノルドは首をかしげながらも、マーリンの気が済むまでと、好きなようにさせておくのだった。 それが今のマーリンにはうれしかった。何せ、思い出してしまったのだ。過去の悲しい思い出を。 そう。それはとても残酷な朝の出来事である。 「いいかい。ここから私達が迎えにくるまで動いちゃ駄目よ。」 「どうして?」 「今度は大きな仕事で、潜入するのだけど・・・。」 捨てられていた私を育ててくれたこの二人は泥棒だった。だから必然的に私も泥棒という仕事を手伝うようになっていた。 確かによくないことだとはわかっていた。だけど、理不尽な世の中だ。金のあるところから奪うしか生きる道がない者にとっては、これが最後のかけなのだ。 だから、親に捨てられた自分はどのみち生きるにはこれしかないし、生きる術を教えてくれた彼等が本当の家族のようで大好きで、いつも一緒だと思っていた。 いつも、仕事にはついていったら別の場所で待機が多い私は、今日もそうなんだと思っていた。 だけど、おじさんの言葉がとても意味深だった。 『もし、明日の朝になっても戻らなかったら、追っ手がここにくるかもしれないから、近くの町へ逃げなさい。そして、教会でこれを見せなさい。』 と、手渡された紙。最初はただ、この紙が暗号で教会で見せたら会えるのだと思っていた。 そして、言われたとおり、寂しいと思いながらも夜を過ごし、朝がきた。 立ち上がり、土を叩いて落とし、歩き出した。もちろん、追っ手がと言われたので人の気配がないかどうか気にしながらだ。 そして、たどり着いた街。教会はどこだろうと探している途中だった。 『タカルタ城に侵入した泥棒が捕まって処刑されたらしいぜ。』 『噂だと、泥棒はわざわざ捕まりにきたようなもんらしいぜ。』 『最近、この国の国王はダメだな。昔は良かったのに・・・。』 そんな話し声が聞こえてくる。一瞬、あの二人ではないかと思ったが、そんなはずはないと教会を目指した。 教会から丁度出てきた人物に声をかけようとした時だった。 「神父様もって来ましたよ。」 と、白い布で包まれた何かを持ってきた。大きさ的に大人ぐらいの人が入ってそうな大きさ。 「神父様も葬儀となると大変ですね。」 「これも仕事ですからね。」 ではこれでと立ち去った男達を見送り、神父が布を少しめくる。そこから見えた顔には見覚えがあった。 「まったく、貴方はバカですよ。」 どうして死んだのですかと、その場に座りこみ、地面に手をたたきつける神父に、私は泣く事も声をあげることも何もできなかった。 そして、自分と同じように、彼等のことを知っていて悲しむ人がいるのだということを知った。 「あ・・・どうされましたか?」 服の袖で涙を拭い、無理に作られた神父の『顔』。もし私がいなかったら、誰もいないここで一人泣いていただろう。 「あの・・・神父様はこの二人の事を知っているんですか?」 その問いにしばらく戸惑っていたが、どうですよと神父は答えた。 「私も彼等も、同じ孤児院で育った仲間なんです。孤児院といっても、ここの教会のようにね。」 中央から支給される援助で成り立っていた孤児院でバカ騒ぎをしていた仲間なんですと答えた。 「でも、これで私はもう一人です。彼等も、彼等の兄弟も皆・・・あの孤児院にいた仲間全員死んでしまいましたからね。」 二人がたまに出かけては帰ってくることがあった。それはここへきて、たまには子ども達にいいものを食べさせろと援助しにきていたからだと初めて知った。 同じ孤児院育ちだからこそ、援助があっても育ち盛りの子どもには満足いく食事ではないことをよくわかっていたからだろう。 「神父様。これ・・・。」 あまりの真実に忘れかけていた紙を神父に渡した。 それを受け取り、中身を見て、貴方が・・・そうですか。と、神父は目尻に涙を浮かべて、私の名前を言った。マーリンと。 どうして知ってるのと聞けば全ての真実を教えてくれた。 孤児院で唯一兄弟姉妹がいた育て親の二人。あの二人の兄弟姉妹がくっつき、子どもができたこと。だが、二人とも流行り病で亡くなり、国の争いが酷くなった為に、皆ばらばらになってしまっていたこと。そして、マーリンが持つそのペンダントには重要な意味を持ち、狙う輩がいて消息不明だと知らされていたこと。 「絶望的でしたが、信じていて良かったです。これでちゃんと約束が守れそうです。」 そう言い、神父は言った。 「これを持って、いますぐこの国の外へ逃げなさい。」 それは、多額のお金がつまった袋だった。 「それと、その貴方が巻き込まれる争いの原因でもあるペンダント、預けてくれませんか?」 素直にそれを神父に渡すと、ありがとうございますと頭を撫でられた。 その優しい笑顔はあの二人と同じだった。 「あと、一つお願いがあります。他の子たちは今、シスターに頼んで外に出かけています。この子だけは朝体調が悪かったので・・・今は元気なのでつれていってもらえませんか?」 ここなんですけどといえば、わかったと答えて引き受けた。 飛翔門のところまで行き、何故か胸騒ぎを覚え一度だけ教会の方向を振り返る。 「お姉ちゃん?」 「あ、大丈夫。大丈夫よ。行きましょう。」 番人に行き先を告げれば、連れて行ってもらえる違う門へ。それから移動して子どもを預け、どうしようかと考えていた時だった。 残酷な朝はまだ終わっていなかった。 『タカルタの教会の一つが爆発したんだってよ。』 『へぇ〜そりゃ教会敵にまわしたも同然だな。で、どこのどいつなんだ?』 『それがわかんねぇらしいよ。』 そして、聞こえた教会の名前。それはさっきまで自分があの神父と会話を交わしていた教会だった。 「嘘・・・でしょ・・・。」 立っていられなくなったマーリンは崩れるようにその場に座り込んでしまった。 どうして、知り合う人、大切な優しい人達がこんなにもたくさん死ななくてはいけないのか。 これを神が許しているというのか。 そんな時だった。 「あの・・・。」 先程子どもを合流させた時に子どもを引率していたシスターだった。 「貴方のその状況だと、噂を聞いてしまったようね。」 それも、思った以上にはやく。その口ぶりから、今日の出来事はまるで知っているようであった。 それは、彼女が犯人ではないかという疑いさえ持てる。 「あの子に、神父様は手紙を預けました。そして、これをお返しします。全ての原因であり、全ての真実を貴方に。」 それは、確かに神父に預けたはずのペンダントであった。 「私は手紙もすでに目を通しましたので、これは貴方に差し上げます。処分は自由です。」 ではこれでと、立ち去るシスターの目から零れる涙を見た。はっと、彼女はあの神父が好きだったのではないかと思えた。 「・・・どうしてこんなことになっちゃうんだろう・・・。」 零れそうになる涙を堪えながら、手紙を見た。そこには、全ての一連の犯人が書かれていた。 『この日が来ることはわかっていた。それに、僕はもう病気で体が蝕まれ、先は長くないからどちらが先かという違いだった。許しておくれ、シスター。いや、ミリア。君と子ども達だけを残す事を許してほしい。センタラフェンス教会へ行けば迎え入れてくれるはずだ。そのように手配はしておいた。それと、もし何かあるのならマーリンの手助けとなってあげてくれ。 さて、これを見ているかはわからないが、マーリンに真実を語ろうと思う。きっと、それが僕の最後の仕事なのだと思う。私達は同じ孤児院で育ち、家族同然として育った。しかし、私達の養父の神父様が突然襲われて亡くなった。一番怒ったのはリーダーとして孤児院でもムードメイカーで引っ張って行っていたラストルダだ。そして、神父様の手帳から、真実を知ってしまったことで、僕達の運命の歯車は狂い始めたんだ。手帳には記されていた。タカルタ女王を裏で操る者がいると。そして、それが誰であるのかも。きっと、タカルタ国民もフージェル国民もセントラルバレスの国民さえも知っている人物。女王にいつも口出すあの男だ。名前は言わなくてもわかるよね?それに、そのペンダントを開けたら君の本当の両親の写真が入っているだろう?それの下に男の写真と証拠の隠し場所が書かれているんだ。だから、奴等はそれを狙っていた。 ある日、女王がバカだからこの貧富の差の暮らしがあるし争いも減らない。しっかりやらなければいけない女王が一人の欲にまみれた男のためにかき回されることはあってはいけないし、命を奪う権利なんかないと講義しに行こうとした。一度言うと、意思を周囲の様子を見極めて判断しなおさない限り突き進むラストルダを止める彼の妹とリンシャールの兄。私も加わって一度は弾き留まった彼だったけど、事態は最悪なことになってしまった。昨日のことを目撃していた者が告げ口を行い、妹と兄の二人が捕まり、殺されてしまった。ちょうど、子どもも生まれ、幸せな家庭を気付いていくという時にだ。自分のせいでともちろんラストルダは嘆き悔やみ、叫んだ。そして、証拠を持ち、争いも増えた為に立ち去った。病死の仲間もいるけど、あれは本当は毒殺だ。少しずつ毒を混ぜられて殺されたんだ。誰が証拠を持っているかわからない。だから、あの孤児院の人間を全員殺そうとあの女王はしている。それがいけないことだとわかっていても、あの男の指示に間違いはないと女王は信用しきってしまっているから、もう止まらない。 今日もしかしたら二人は死ぬかもしれない。そして、私も死ぬかもしれない。 彼等が前日私に言ったように行動して死を待とうと思っている。いつも私を見張っている輩がいるからすぐに仕掛けてくるだろう。マーリン、君からペンダントを預かったのを確認したら、君が離れたと同時に僕は死ぬだろう。 その証拠など、どうするかは君達次第だよ。 真実を語るのがいいかどうかはわからない。だけど知っておいてほしい。君の本当の両親と君をそこまで育てた二人の生きた証を知ってほしい。 もう少し、はやく君と出会いたかったよ。言いたい事もたくさんあったからね。 ゲシェルタ・アーカンシェル 』 手紙を破き投げ捨てたい思いだった。どんな思いで神父様はこれを書き、さっきのシスターは私に渡したのだろう。 「絶対に許さないから・・・許さないんだから・・・。」 大切な人達を傷つけ、奪っていくあの女王。いつか殺人として捕まったとしても、殺してやりたいと思った。 だが、あっけなく終わった。女王が死んだのだ。理由は知らない。そして、新たに即位した女王は、とてもまともでいい人だった。ただ、妹が前の女王のようだと言われていたので、やっと平穏に戻ったのかと思えるほどだった。だが、あの男がまだいる今、気を抜いてはいけない。 今度は女王を監視する側でいようと決めた。おかしくならないように。そして、この恨みの吐け口の向かう道として。そうでもしなければ自分が保てないし、ぶつける矛先がなかったのだ。 そして、聞く女王の夫の死亡。遺体は未確認だが、生存は望めないとのこと。 それを素直に嘆き悲しむ女王の姿を見て、自分がはずかしくなった。いくら前の女王が悪かったとしても、彼女は違うのだ。勝手に決め付けている自分がいる。 ただ、この悲しみに漬け込まれないかだけが心配だったが、女王は少しずつ立ち直っていった。 これなら安心だと思えた。だから、『見張る』のはもうやめて自分のために生きることにした。 やはり、生きるためにはお金が必要ということで、お金を盗む泥棒に戻った。見張っている間もやっていたが、今度は孤児院に送るための分もある。 教会の援助さえない個人の孤児院への援助資金。 そして、ある盗みをしてへまをした夜、出会うことになる。赤い髪の悪魔と。 悪魔だし変な奴だけど、彼の笑い方は少しおじさんやおばさん、神父様と似ていたから、惹かれるものが自然とあったのだと思う。 残酷のあの朝の出来事が全て忘れることもできないし、忘れようとも思わない。むしろ、覚えていたいと思う。忘れたら、彼等の存在がなくなってしまうからだ。 「ねぇ。貴方は私の何に惹かれたの?」 落ち着いてから、アーノルドの顔をみないまま、問いかけるマーリン。自分なんて復讐を誓うような穢れた人間だ。それも、盗みをおかす大犯罪人でもある。そんな自分を好き好んで関わろうとするこの悪魔に、聞いてみたいと純粋に思った。 「俺っちを俺っちとして見てくれたことと、俺っちにはじめて向かってくる女だったからじゃろうか・・・。う〜ん・・・あまりこうといえることはないのではっきり言うのは難しいんだが、内に秘めた強い決意が格好よかったからじゃろうな。」 強い女は面白いとにかっと見せる笑顔は、いつか強い女になれよと頭をなでてくれたおじさんと同じだった。 「そっか・・・。」 純粋にうれしかった。ちゃんと見てくれているような気がしたから。そして、アーノルドもまた、自分をちゃんと見てくれる女にあえていなかったことを知った。 彼の力を欲した悪魔の女は媚を売ってくるのだと言う。そういうのが嫌いで、立ち向かってくるマーリンが新鮮だというのがうなずける。 「今日は遅いし、この花のお礼に、私の家に招待してあげるわ。」 私を運んで疲れてるでしょうしねと言うと、いいのかと遠慮がちに言う。 なんでも、祖父から女の家には自分が行くという意思を持ち、相手が招いてくれない限り入るなといわれているらしい。しかも、招かれていないのに入った場合は、恨みをかうと教え込まれたらしい。 その話には笑ったが、しっかり教育してくれてそこはありがとうとお礼を言うマーリン。 「ただし、私に手を出さないでね。」 「わかっておる。そんなことをしたらじいさんが・・・。」 「わかったわ・・・。とりあえず帰るわよ。」 少し風もでてきたからだ。 「私は素直で真っ直ぐで、さっぱりした貴方が好きよ?」 でも、そう簡単には貴方には落ちませんからと先に釘をさされる。 だが、少し近くにいけたことがアーノルドにはうれしく、実はまったく聞いてなかったりする。 立ち去る際、一度だけ花の方を振り返り、その後は振り返らず進む。 ここで、このまま眠っていればいい。二度と同じ事は繰り返させはしないから。 あそこには、ペンダントと証拠が埋められている。そして、彼等の遺骨の欠片と形見の欠片も。 彼等がきっと守ってくれるだろう。その悪行をとめる最後の鍵を。 その後、結局マーリンはアーノルドと共にあることを誓う。 そして、いなくなったりしないでと、独りにしないでといえば、アーノルドは答えた。 『貴方を愛し、一人残さないと誓いましょう。』 しかし、数年後、彼は姿を消す事となった。 「帰ってきてくれるんでしょ。アーノルド。」 離れていく家族に少しずつ不安を覚える。それが現実になろうとは、まだ思わなかった。 アヤが魔堕ちし、アーノルドと同じ悪魔へと姿をかえた。元は同じでも、力を手に入れて去っていった。元気でやっているとは知っているけれど、マリーも教会から滅多に帰ってこなくなった。 「はやく帰ってきなさいよ、バカ。」 「母さん?」 「何?マチルダ。」 「無理はしないでね。・・・あと、父さんは大丈夫よ。」 「そうよ、母様。父様は約束破った事なんてないんだから。」 でしょっとマルディシャが言う。子ども二人に言われてたらだめねと、マーリンは椅子から立つ。 「さてと、今日も一日花屋頑張るわよ〜。」 「それでこそ母さんね。」 「さすが母様。」 あとがき アヤの父さんと母さんの過去編でした。 マーリンの身内は皆殺されたという残酷な事実を知るというお話。 ちなみに、このときの女王はキャサリンの母です。 代々女王が国を治める女系の王族なのですが、側近に悪い方へ、自分の良い方へと導くやからがいるので・・・といういろいろな設定がありつつ。 たぶん、キャサリンあたりのお国騒動はかかないかも・・・かも・・・たぶん。 ちなみに、この後も父さんかなりマーリンに近づいては喜ばせようと非常識なことやってます。 そんな彼を怒りながらも許すマーリン。仲良し夫婦にすでにできあがってる感じの二人(笑 悪魔側の父さんの身内が一切でていないのは・・・ だすとややこしくなっちゃうからだったり(苦笑 |