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序章 出会いは突然に・・・ 時は世紀末を迎えた頃・・・。 昔はありがたいなどと言って褒め称え、祀り上げていた神の多くは、その存在を忘れられていった。 一部の神は今でも変わりなく、いや現在でも、盛大に祭祀られているのだが・・・。 この、住職も参拝客も来ない無人となった神社の神は、時に忘れられたかのようにただ存在しているだけで、人々の記憶からだんだんと忘れられていった。 この神社の神はもともとは狐で、まだまだ幼い子供のような心を持っていて、昔はよく住職や参拝客にいたずらをしていたのだが、今では人も来ないので、楽しみがまったくない。 心細くなり、寂しい狐の神は自分の社にこもり、また昔のようにたくさんの人々で賑わう日を思い、眠っていた。 そんなある日の事。 長い年月の間に風雨にさらされた神社は寂れ、取り壊しをするぞとまで言われていた神社に、珍しく可愛いお客が来たのだった。 「やっと、見つけた。」 どうやらその可愛いお客、少女はここを探していたようだ。 狐の神は、偏狭の地とも言われているここへ来た少女に少々興味を持ち、姿を見られないようにして現れた。 だが、それは無意味だった。少女は狐の方を向いて、話しかけたのだ。 「こんにちは。はじめまして、きつねサマ。」 にっこりと微笑みかけて言う少女。邪気も汚れも感じない彼女なので、少し話の相手になることにした。 「・・・久しく、めずらしいものよのう。このような場所に客とは。」 「たまにはいいでしょ?」 そう、はっきりと言葉を返してくる。つまり、自分がわざわざ姿を消す事も、人に聞こえないようにして言葉を話すことも無意味。彼女はそういったものを全てを見聞きできる目と耳をもっているのだ。 「で、いったいわしに何用じゃ?このような場所にわしに会いに来るのじゃから、何か用があるのじゃろう?」 やっぱり、わかっちゃった?と少女は可愛げに答え、自分の用件を伝えた。 「私ね、今までいろいろな神社回って、こういった無人の古い神社の神様に聞いてるの。」 「何をじゃ?」 少女はあいかわらず微笑んだままで、すっと狐に手を伸ばして言った。 「私と一緒に来ませんかって。」 それが意味する事は、ここを捨て、離れる事。神にとって、自分のいる場所が存在理由の場所。 だが、今は何の未練も感じられなければ、この少女のことの方がとても興味がわいた。 何より、これ以上一人で暇を持て余すのは、退屈でしょうがない。この少女と共にあった方が暇をしなくてよいかもしれない。 この社も神社ごと風雨にさらされてぼろぼろで、近々解体されることにもなっているので、狐は迷うことなく、少女の手をとった。 少女はにっこりとさっきより花が開いたかのような笑顔で、改めてよろしくと、狐に伝えた。 狐は、いまだに使っていた術をといた。姿を消しても、声を隠しても、この少女には全て知られるのだから、無意味なのだから。 これが、少女鈴と七つの尾を持つ狐神蒼狐との、出会いだった。
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