春を届けにやってくる使者

暖かく争いのない穏やかな春を届けるのは、春の妖精

春の妖精が春を届けにやってくる

春を届ける使者として、相棒をつれてやってくる






   春を届けに…






ふわりと、桃色の花が舞い散る。

この地にも、春がやって来たのだ。



「春姫…。また無茶をして。」

やっと見つけたと言いながら、一人の青年が相手に話しかける。

相手は、悪戯が見つかったような感じだったが、すぐにいいじゃない別にと、文句を言う。

「無茶もなにも、これが私達『春の使者』の仕事なんだから、しょうがないでしょ?」

「それでもです。春姫は無茶をしすぎなのです。こんなに急いで多量に力を使っては、お体に差し支えますよ!」

「ふーんだ。」

青年の忠告にも耳を貸さないといった風に、そっぽを向いてしまう少女。



まず、春姫と呼ばれた少女について話そう。

彼女は春を司る世界の主の一人娘。名前を華蓮。

春を司る主の娘という事で、春姫と皆から呼ばれている。

それ故に多少の我ままを許されて、大切に育てられて来た。

そんな華蓮の世話係りとなり、今までの時間を共にし、春を届ける旅の供をする事になった青年紅都を護衛として側に置き、我ままや無理を通してきた。

「あまり無茶をなさってお体を壊されるような事になれば、私が主様にしかられます。」

「大丈夫。文句は言わせないから。」

「そういうことじゃないのですが…。」

何を言っても聞かないと、困り果てる紅都。

「でも、敬語は嫌だって言ってるのに、まだ敬語じゃない。」

「しょうがないで…しょうがないだろ。言葉遣いの訓練をしてきたし、何より主様に粗相のないようにしなければいけないのだからな。」

指摘を受けて、敬語を嫌がる華蓮の為に普段の彼自身の口調で話す。

まったくもって、姫らしくない姫である。見た目は確かに姫だが、中身はただのやんちゃ娘だ。

それでも、そんな彼女を守りたいと思うし、愛しいと思う。

自分も、はじめは『姫』の子守りなんて、たいくつで嫌だと思っていたが、そうでもなかった。

毎日が忙しい日々で、すぐにいなくなるお姫様を探す日々だった。

「まったく、誰に似たんだかね。」

「あら?私は母上に似たのよ。」

そう言えば、母親の春王妃は昔かなりのお転婆な女の子だった事を、春王に聞いたなと、思い出す。

遺伝というものは、恐ろしいなと、しみじみと感じた。

「さ〜て、次の国へ春を届けに行きますか!」

時間は春を待っていてはくれないよ〜。皆が春の目覚めを待ってるよ〜と、元気よく立ち上がる。

その元気が何処からくるのか、是非にも教えて欲しいものだ。



何度も、見失っては、見つける。

それが自分の仕事。

そして今は、旅の助けをする事。

「きっと、貴方だけですよ。私が生涯仕えたいと思う相手は。」

何かいいました〜?と、すでに遠くまで歩いているお姫様に聞こえなかったのは幸いかそれとも…?

「置いていくぞ〜。」

「今行きます。・・・あ、前を見て!」

まったく、見ていないと危ないお姫様だ。

それでも、旅は続くし、自分は彼女についていく。





今日も、彼等が通った場所に春が来た。






        あとがき

 1500HIT代理リクの時葉samaに差し上げた絵のお話だったりします。
 振り回される護衛と、元気一杯な春を届けるお姫様でした。
 きっと、こんな感じで次の国へ行って春を届ける事でしょう。
 貴方のもとへも素敵な春が届きますように…。
 絵はこちらです。



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