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今夜はクリスマス 夢見る子供へ夢を届けるため、サンタの町は大忙し 赤い服と赤い帽子、そりに乗って夜空をかけるサンタ達 白い袋にプレゼントを詰めて 町から届ける為に飛び出す
クリスマスの贈り物
配達屋は朝からてんやわんや。 クリスマスと言う事で、クリスマスカードやプレゼントの配達がたくさんあった。 「二人とも、悪いけどこれ追加ね。」 配達屋の長、ミルディアドはまだ幼い二人に配達追加分を渡す。 ちょうど一年前に少しの日ずれで拾った二人。今ではしっかりと仕事を覚えて手伝ってくれる頼もしい二人。 「うん。大丈夫。じゃぁ、行って来ます!」 「行って来ます。」 と、笑顔で元気よく出て行くのはキャリーシャ。それに続いて出て行くのはリアルド。 「気をつけてね。」 それぞれの相棒として仕事をする龍と翼獣のアーシャニアとチャチェリアの背中に手をかけて飛び立とうとしている二人に声をかけて飛び立った。 「はやく帰ってきてくれるといいんだけどね・・・。」 心配そうに、飛んでいった二人の姿が見えなくなった空をまだ見上げていたミルディアドに、背後からラーティンスが声をかけた。 「大丈夫ですよ。あの二人、見かけよりはしっかりしていますしね。」 飛んでいった二人より少し年上に見える少年が立っているのを確認し、心配な物は心配なんだよと再び空を見上げるミルディアドに苦笑するラーティンス。 「本当に、親バカですね。普段は悟られないようにしていますけどね・・・。本当の父親だと言っても、問題なさそうですね。」 それだけ言って、次の言葉を言われる前に、ラーティンスは呪文を唱えて靴についている翼を使い、相棒のエルシャンドを肩に連れてその場から姿を消した。 誰もいなくなった場所で、独り言をぽつりと漏らして、ミルディアドも仕事へと戻った。 『親バカで悪かったな・・・。』 という独り言。誰にも聞かれる事なく、空に消えた。
シャンシャンシャン・・・ 鈴の音を鳴らしながら空をすべるようにそりが進む。 「担当は確か、十件だけだったよな?」 「そうだったと思うけど?」 そりには手綱があり、それを翼を生やし、立派な角を持つトナカイが引いていた。 そりには二つの影が乗っている。 通常言われるサンタの格好をしている少年と、トナカイの耳や角をつけた少女が乗っている。 少年の方はシャーディル・ヤードで、少女の方はシャリーヌ・ヤードで、二人はサンタの町出身の新米の兄弟だった。 昨年までは先輩についての仕事の補佐だったが、今年からは自分達だけで回る事になったのだ。 「そういえば、今年の雪は遅いよな?」 「そうだよね・・・。せっかくなんだから、ホワイトクリスマスになってほしいよね。」 サンタの町や今訪れようとする町では、クリスマスに雪が降ると良い事があるというような、言い伝えがある。 「おっと、急がないと夜までにつけないぞ。」 「急ぎましょうか。」 二人はトナカイに命令を出して、町へと急いだ。 もうすぐ日は暮れる。二人の仕事はもうすぐ始まる。 夢を届けるサンタの定めとも言う、仕事の時間は近づいていた。
この手紙が最後だとキャリーシャは宛先を見た。そして首をかしげた。 「ねぇ、これ、何処だと思う?」 キャリーシャは物知りの相棒、アーシャニアに聞いた。 キャリーシャはわからない宛先や今まで見ない名前は、大体アーシャニアに聞いている。 今回わからない宛先と相手は変わったところだった。 「『クリスマスの配達中の見習いサンタのシャーディルとシャリーヌへ』って、住所じゃないでしょ?」 アーシャニアも少し眉をひそめて宛先を見ていた。 「配達中って、私達みたいな配達員の事かな?世界にはいろいろと配達員や配達事務所とかあるみたいだし。」 それにしても、住所がほしいところだなと思う。 「そうだな。一度戻ってみるか。・・・たぶん、これは本人が来るからその時に渡せば良いはずだ。」 何を思ったのか、アーシャニアはそれだけ言って黙り込んだ。教えてといっても、答えてくれない。 いったいなんなんだと、首をかしげるキャリーシャの疑問は、今夜解ける事になる。 「とにかく、早く帰るように言われているし、帰ろうか。」 「御意。」 アーシャニアは大きく空で反り返って方向転換し、家でもある配達事務所へと戻って行く。 同じ頃、リアルドもまた、同じような手紙を最後に見つけて困り、ミルディアドに聞けばいいというチャチェリアの意見で配達事務所へと戻っていた。 二人は玄関でばったり会い、なんでだろうと首をかしげながら中へ入った。
二人は手紙の事をミルディアドに聞いてみても今夜わかるよと言うだけで、それ以上は答えてくれなかった。 いったいなんなんだと、同じ配達員で先輩でもあるラーティンスに聞いてみても、笑ってごまかされた。 そして、日は完全に暮れ、夜がやってくる。 「あ、雪が降り始めたよ。」 キャリーシャは窓から見える小さな白い雪が空から舞い落ちるのを見て、中にいる皆に伝えた。 「今夜はホワイトクリスマスだね。」 楽しそうに降ってくる雪を見ていたら、空に光の線が射したのを見た。 見間違いかと目をこすってもう一度も多時には、すでにその光はなかった。 ちょうどその時、夕食ですよとミルディアドに呼ばれ、キャリーシャは今の事を忘れ、夕食を堪能する事になった。
今日は早く休んだら良いと、部屋に行かされたキャリーシャとリアルド。なんだか、二人が隠している事に気付いている二人は、なんなんだろうと、部屋に戻ってもずっと考えていた。 下の階の音や電気がなくなれば、静かな暗闇に包まれる。 本当に皆が寝たのかなと、二人は同時に部屋の扉を開けてみると、同じ事を考えていたのだと、クスクス笑うキャリーシャと照れているリアルドがいる。 やはり、可笑しいぐらい静かなので、何かあるのではないかと、二人で話していると、キャリーシャの部屋から光が射した。 雪を見ていたときに空に走った光とそれは似ていた。 二人はこっそりと部屋を覗くと、そこには赤い服と帽子の少年と少女がいた。 「あれ?いないよ??」 「おかしいな。もう、寝ているはずだと思ったのに。」 そんな二人の会話を聞いて、寝ていた方が良かったのと、後ろから声をかければ二人に驚いた顔で見られてしまった。 なんだか、かくれんぼをして見つかってしまった時と似ているなと思いながら、二人が持っているプレゼントを見て、それ、どうするのと聞いてしまった。 それに困る二人はさらにどうしようという思いがあった。それは、町の掟に反するからだ。 届け先の子供に姿を見られてはいけない。それがまず一番重要な掟。それを、はじめて先輩なしで来た日に見つかるなんて、間抜け以上に、この先仕事が出来ないもしくは追い出される可能性もあり、かなり困っていた。 「えっと、貴方達も配達屋さん?」 そえれを聞いて、そういえばここは配達屋だった事を思い出す。 「じゃぁ、知ってるか?シャーディルとシャリーヌって言う人の事。」 それを聞いて、さらに二人が驚いたのを見て、何かいけない事を言ったのかなと首をかしげていると、二人は口を開き、自分達がそのシャーディルとシャリーヌだと名乗った。 今度は二人が驚く番だった。まさか、目の前に現れるなんて思わなかったのだ。 そこでふと、アーシャンドが本人が来るという事を言っていた事を思い出した。つまり、ミルディアドを含め、相棒達も皆、知っていたのだ。 「じゃぁ、これ届けないと・・・。」 キャリーシャは机の上から一枚の封筒を取り、リアルドも部屋に戻って封筒を取って来て、二人にそれぞれ渡した。 二人はなんだろうと見ながら、封筒を空けて中身を見た。そしてまた、二人は驚いていた。 しばらくして、少年の方が二人の方を向いて、改めて自己紹介をした。 「今晩は、はじめまして。サンタの町の新米で、シャーディルと言います。こっちは妹のシャリーヌです。」 「今夜は私達に素敵なクリスマスプレゼントをありがとう。お返しではないけれど、これはサンタからのクリスマスプレゼント。」 そういって、二人はそれぞれ二人にプレゼントを渡して、もう一度ありがとうと言って、姿を消した。 「なんだったんだろう?」 「あ、お礼言うの忘れた!」 急な事で反応が遅れたキャリーシャは御礼を良い忘れた事にショックを覚え、どうしようとその場で悩みだした。 とにかく、もらったプレゼントを机の上において、寝ることにした。 仕事で飛び回り、夜遅くまで起きていた二人には、眠気で限界だったのだ。 この事は明日、ミルディアドに聞けばいいのだと、考えながら、夢の中へと旅立ったのだった。
空になった袋を綺麗にたたみ、再びもらって手紙に目を通す二人。 「まさか、サンタもプレゼントもらえるなんてね。」 二人とも、うれしそうだった。 サンタは本来、プレゼントを配る物で、貰う事は無い。幼い頃から疑問に思ってきたが、それが仕事だからと言われ続け、そういうものなんだと思い込んでいた。 サンタはプレゼントがもらえないのが当たり前。 だが、今年はうれしいプレゼントをもらった。 二人がもらったプレゼントは両親と町の長からのクリスマスの言葉と一人前のサンタと認める通知表が入っていた。 二人は来年も頑張ろうなと言って、自分達の家目指してそりを走らせた。
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